応用地質
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48 巻 , 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 川崎 了, 趙 祥鎬, 金子 勝比古
    2007 年 48 巻 4 号 p. 162-169
    発行日: 2007/10/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    一般に, 岩石は自然の浸食や人工的な掘削などによって地表にさらされると酸化され, 結果的に岩石の強度が低下する. このような風化作用を受けた岩石の風化層厚を現場において非破壊, 簡易, 定量的に推定することができれば, 応用地質学および地盤工学などの分野において有効と考えられる.
    筆者らは, ボーリングコアなどの岩石あるいは露頭している岩盤の比較的薄い表層の風化層厚を非破壊, 簡易, 定量的に推定する手法を新たに開発するために, 風化した岩石を模擬した4種類の人工風化岩を作製し, それらを用いたエコーチップ反発硬度試験を行った. そして, とくに人工風化岩の風化層厚および風化層と未風化層の反発硬度の比に注目し, 実験的な検討を実施した. 本論では, 最初に岩石あるいは岩盤の表層における風化層厚を評価するための人工風化岩モデルについて説明する. 次に, 人工風化岩の風化層の作製方法および作製された風化層の均質性に関して検討した結果について述べる. 最後に, 人工風化岩の反発硬度と人工風化岩の風化層および未風化層の反発硬度を用いて, 人工風化岩の風化層厚を非破壊, 簡易, 定量的に推定することができる新たな一手法について提案する.
  • 黒木 貴一, 磯 望, 後藤 健介
    2007 年 48 巻 4 号 p. 170-179
    発行日: 2007/10/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    2003年九州豪雨により太宰府市では多数の斜面崩壊が生じた. 斜面崩壊の発生した原川流域の斜面Aに対し, 基盤岩の節理と地形との関係, 土層のクリープと地形との関係, 土層と斜面崩壊との関係を議論した.
    基盤岩にはE-W走向の南向き緩傾斜の節理A, N-S走向のほぼ垂直な節理B, ENE-WSW走向の北向き急傾斜の節理Cがある. これらの節理が谷壁斜面の形態や分布に影響を及ぼしている. また, 基盤岩は節理の影響を受けた階段状, 谷状, 鍋底状の形状を持ち, 気候環境を反映した埋没遷急線も見られる. 土層のクリープは地表の遷急線の下方では大きいが, その大きさは基盤深度の急変や埋没遷急線にも影響され変化する. クリープの結果, 土層は谷底付近に達し, 浅い凹型斜面と平坦地を構成する. 斜面Aの斜面崩壊は, 浅い凹型斜面と平坦地で角礫状風化部やマサよりも上位にあるクリープした土層が浸透水により不安定化し生じた.
    節理は基盤岩の形状のみならず, 斜面崩壊にかかわる土層の発達や地形の形成過程にも影響を与えている. したがって, 地形調査とともに土層, 樹木, 基盤岩の節理の調査を斜面に対し実施することで, 斜面崩壊の発生場所の予測精度が向上するものと思われる.
  • 麻植 久史, 小池 克明, 吉永 徹, 高倉 伸一
    2007 年 48 巻 4 号 p. 180-191
    発行日: 2007/10/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    過去の活動記録が少ない活断層で大規模地震が発生していることから, 地震の発生メカニズムを理解するうえで, 活断層の深部構造の解明がますます重要になってきている. 本研究では, 地域により微小地震の発生頻度や傾向が異なる布田川-日奈久断層帯に注目した. その地域性の要因を明らかにするために, 深部探査に有効なMT法を用い, 比抵抗分布に基づく深部構造と微小地震分布との関係について検討した.
    まず, 日奈久断層の北部と中部におけるリニアメントの下部で比抵抗の不連続境界がほぼ垂直方向に見出せた. これは, 広範囲に低比抵抗帯を伴わないので, この地域のダメージゾーンは小さい. 一方, 日奈久断層の南部では断層沿いに低比抵抗帯が現れた. ここは日奈久断層と臼杵-八代構造線が交差する位置に当たるので, 大きなダメージゾーンが形成されたと考えられる. また, 1995~2005年の震源分布に基づくと, 布田川-日奈久断層帯は北からI~IVの四つの区域に分割できる. 各区域において, MT法深部比抵抗分布と震源分布とを重ね合わせ, 地震発生メカニズムについて考察した. これより, 布田川-日奈久断層帯は地形的には連続した同一断層系のように見えるにもかかわらず, 破砕構造, 力学的物性, 応力環境は大きく異なることが明らかになった.
  • 山岸 宏光, 中筋 章人, 野崎 保, 平野 吉彦, 中川 渉, 安田 匡, 棚瀬 充史, 須藤 宏, 三戸 嘉之, 永野 統宏, 小野 雅 ...
    2007 年 48 巻 4 号 p. 192-202
    発行日: 2007/10/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    平成19年7月16日午前10時13分, 新潟県中越沖の深さ17kmを震源とするM6.8の地震が発生し, 新潟県柏崎市, 長岡市, 刈羽村, 長野県飯綱町で震度6強の大きなゆれを観測するとともに, 各地で大きな被害が発生した. 日本応用地質学会では, いち早く先発隊として野崎北陸支部副支部長が17日に現地調査を開始し, 22日にはその結果を速報としてホームページ上に公開した. ついで北陸支部 (山岸支部長) が主体となり, 学会本部の新潟県申越地震による土砂災害研究小委員会 (千木良委員長) が支援する形で, 現地調査を行うことが決定し, 調査団を募ったところ13名のメンバーが参集した. 現地調査は, 8月3日に猛暑 (36℃) の中で行われ, 13日にはその成果をホームページに公開した.
  • 森 一司
    2007 年 48 巻 4 号 p. 203-206
    発行日: 2007/10/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    転倒枡式雨量計を利用して, アースダム下流法面からの浸出水量の自記観測を行った結果, 微かな流量を精度良く測定することができ, その起源が雨水であることをほぼ特定できた.
  • 大野 博之, 奥 真美, 吉田 雅文, 堤 俊明, 松島 範行, 山口 義人
    2007 年 48 巻 4 号 p. 207-217
    発行日: 2007/10/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    近年, 欧州だけでなく東アジアにおいても経済の発展に伴いエネルギー需要が高まってきている. これまでの化石燃料によるエネルギー供給ではこれらすべての需要を賄うことは不可能である. また, 化石燃料の利用では, 地球温暖化の要因である二酸化炭素も多く排出するため, 環境面でも問題がある. 最近, こうした動向を受け, 太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが注目を浴び, その利用促進が欧州や日本だけでなく東アジアでも進められている. こうした再生可能エネルギーは, 地域分散型のエネルギー供給であり, 大きなインフラ整備が不必要なものが多い. 分散型エネルギーの供給にあたっては, 地産地消の概念のもと, 個々の地域に対応したコンサルティングが必要となる. 地質に携わるわれわれは, 個々の地域の状況を現場で把握してきた. そうしたことからも, 今後は, こうした問題に対応していくことが地質技術者としての一つの道となろう.
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