応用地質
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48 巻 , 5 号
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  • 田中 元, 山田 琢哉, 横田 修一郎, 鈴木 茂之
    2007 年 48 巻 5 号 p. 232-240
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    岡山県西部の三畳系成羽層群分布域では地すべりが多発している, これらの地すべりは, 地質素因の一つとして脆弱な炭質層の存在が指摘され, 成羽層群地すべりと呼ばれてきた. 一方, 本層群では顕著な褶曲構造を反映して広い範囲で地層が変形していることから, れも地すべりを規制している可能性がある. そこで, 褶曲構造を主体とした地質構造と地すべりブロックの分布, 形態, 移動方向の関係を検討したところ, 地すべりの多くは褶曲した層理面に規制されていることが明らかとなった. これには褶曲翼部の傾斜に支配されて変動するタイプのほかに, 小規模な向斜構造の軸とプランジ方向に支配されて変動するタイプが認められた. 後者の地すべりブロック内部には向斜構造がよく残存していた. これらのことから, 成羽層群地すべりの地質素因として, 炭質層に加えて褶曲構造の存在を挙げることができ, 多数の地すべりは両者の影響のもとで生じているものと考えられる.
  • 安田 匡, 山岸 宏光, 浅野 敏昭
    2007 年 48 巻 5 号 p. 241-252
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    北海道余市町に位置する史跡フゴッペ洞窟は, 海岸沿いの丘陵 (丸山) に位置し, 海食作用で形成されたと考えられる洞窟の壁面に岩面刻画が描かれた約1,600年前の遺跡である. 洞窟の地質は新第三紀中新世の凝灰質砂岩である. この壁面刻画が1950年ごろに発見されて以来, 保存施設としての覆屋が設置されてきたが, その後風化が進み剥離が進行していることと, また洞窟内部の壁面および天井面には不連続面が分布しており, 不連続面に沿って岩体の崩落の恐れがあることが懸念された. このため, こうした問題点の進行状況を把握する目的で崩落危険度調査および評価を行った. 調査は目視と不連続面測定を主体とした応用地質学的調査で, 評価内容は壁面に設定したグリッドごとの状況調査結果に基づく評価および不連続面の分布による岩体崩落の評価等である. その結果, 日常の保存管理に活用できるリスク要因マップが作成でき, また崩落の危険箇所の抽出が可能となり, 不安定岩体の変位のモニタリング観測の実施計画立案に役立った. この応用地質学的調査は剥離状況等を定量評価するものであり, 日本や世界の岩面刻画遺跡や石仏遺跡などの, 今後の遺跡保存を目的とした調査手法の基本になると考えられる.
  • 高橋 学, 藤野 翔, 竹村 貴人, 道口 陽子
    2007 年 48 巻 5 号 p. 253-257
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    5ミクロンの解像度で3次元画像を取得できるマイクロフォーカスX線CTを用いて, 種々の拘束圧・間隙水圧条件下での岩石の変形様式を可視化した. 岩石供試体に拘束圧と間隙水圧を同時に負荷できる新しい圧力容器を開発した. 直径10mm, 高さ20mmのベレア砂岩と能登珪藻泥岩の円柱状供試体を用い, 各供試体の15度おきの直径を各拘束圧・間隙水圧条件下で測定した. 各岩石の直径は有効拘束圧の原理に従いながら有効拘束圧の増加とともに単調に減少した. 載荷中, 特定の方向の直径変化が著しいことが確認され, その直径変化は最大8%に達し, 結果として載荷中における変形の異方性が生じた. 本文で示したようなマイクロフォーカスX線CTによる変形測定手法は, 種々の拘束圧・間隙水圧条件下における小さなそして不規則な形状をした岩石の変形計測に適していると言える.
  • 藤井 幸泰, 渡辺 邦夫, 村上 和哉
    2007 年 48 巻 5 号 p. 258-264
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    古シルクロードに位置するタジキスタン共和国アジナ・テパ仏教遺跡の修復・保存活動が, ユネスコ文化遺産保存日本信託基金によって行われている. 2006年の活動の一環として, 遺跡の修復・保存を目的とした現況の記録作業が行われた. 記録作業には写真測量技術を適用し, 倒壊の危惧される六つの壁の三次元可視化と, 遺跡の地形図作成が行われた. その結果, 写真測量技術が現況の記録および修復プランの計画に大変有効であることが明らかとなった. 壁の三次元可視化は, 断面線などから浸食の状況を把握し, 倒壊の危険性の客観的判断に利用できる. また精度の高い地形図は, 修復プランの計画や, 今後の経過報告として利用される予定である.
  • 稲垣 秀輝, 大野 博之
    2007 年 48 巻 5 号 p. 265-272
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    災害による環境破壊が, 世界中で幾度となく起こっている. これらの災害としては, 人為災害と自然災害があり, 環境破壊としては, 社会環境の破壊と自然環境の破壊がある. 従来から, 災害からの人的・物的被害の軽減は, 応用地質の大きなテーマの一つであるが, 災害による環境破壊という観点での研究は少ない. ここでは, 著者らは地質に密接に関連した人為災害の一つである鉄穴流しに注目し, 山地部での森林破壊・土壌浸食と平野部での土砂の氾濫や天井川の築堤などの事例研究を行った.
    次に, 自然災害では火山噴火や地震・豪雨などによる社会環境や自然環境の破壊があり, ここでは, 2000年三宅島噴火による森林破壊と, 2004年新潟県中越地震での山古志地区の森林被害や天然ダム, 土砂流出による自然環境劣化などについて述べる.
    環境破壊の軽減策としては, 災害が発生してから対処することが多く, 問題が多い. 今後, 木の根の強度を入れた斜面安定の評価手法である粘着力合算法を利用すると, 木の根の発育を良好に保つことを通じて, 予防医学のように災害の少ない健全な環境を作っておくことが可能である.
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