領家帯に代表される弱磁気異常地域における空中磁気調査の適用性について検討した.調査地域は領家帯に属する土岐花崗岩の分布域を含む約40km四方の領域であり,測線間隔は400m,センサーの対地高度は400mである.データ処理の結果,日本でもっとも磁化率の低い花崗岩の一つとされていた土岐花崗岩に起因すると考えられる磁気異常が検出された.この結果を検証するため,深度1,000m級のボーリング孔のコアの磁化率を測定した結果,土岐花崗岩は比較的大きな磁化率(2×10
-3(SI))を持つ部分と,極めて低い磁化率(5×10
-5(SI))を持つ部分に大別されることが明らかになった.また,この土岐花崗岩中で比較的高い磁化率を持つ部分の3次元分布をモデル解析によって求め,このモデルが空中磁気調査データに現れた磁気異常を十分説明できることを示した.さらに,瑞浪層群中の蜂屋累層および中村累層の自然残留磁気に起因すると考えられる磁気異常や,美濃帯の堆積岩類分布域に土岐花崗岩と同程度の規模の花崗岩類が地表近くまで貫入してきている可能性を示す磁気異常を抽出することができた.以上のことから,領家帯に代表されるような弱磁気異常地域においても,空中磁気調査は地質構造調査法として活用し得ることが示された.
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