応用地質
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50 巻, 5 号
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論文
  • 川辺 金光, 杉本 文男, 今井 忠男
    2009 年 50 巻 5 号 p. 262-272
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     亀裂の発生や進展を定量的に評価することは, 岩盤構造物の長期的な安全性を検討するうえで重要となる. 亀裂の進展規準には, 線形破壊力学の応力拡大係数と破壊靱性値に基づいた方法がある. この概念は, 岩盤力学と岩盤工学の分野で広く適用されている. ただし, 破壊靱性値は等方性と仮定される場合が多い. しかしながら, 岩石が内部亀裂の影響によって異方性の力学的性質を有する場合, 破壊靱性値も方向特性を示すと考えられる. これまで, 破壊靭性値の方向特性, および岩石内の構造的な特徴との関連性については十分な検証が行われていない.
     本研究では, 変位様式がモードI(開口型)を取り上げ, 破壊靭性値KICの方向特性を評価することを目的とした. なお, 試験片には直交異方性の力学特性を有する粗粒な花崗岩を用いた. 具体的な考察内容は以下のとおりである.
     1) KICの方向特性をSCB試験で評価するための実験法について.
     2) KICの方向特性と試験片の構造的な特徴点との関連性について.
     3) 巨視的な引張破壊における最大亀裂長について.
     その他, 石工職人の経験則を, KICの方向特性の観点から定量的に考察した.
  • 青木 卓也, 五十嵐 敏文, 飯尾 佳浩
    2009 年 50 巻 5 号 p. 273-279
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     トンネル建設後もトンネル湧水がアルカリ性を呈する地点において, そのアルカリ性の原因を究明するために調査ボーリングコアを用いた溶出試験を行うとともに, 現地水質調査および地球化学解析によって自然環境を活用した合理的な中和方法を考察した. その結果, アルカリ性の主な原因が, トンネル掘削区間に分布する頁岩や砂岩などに介在する方解石の溶解という自然的原因であることがわかった. さらに, 希釈水となる周辺沢水の流量が少ない場合, 沢水との混合だけではトンネル排水のpHは十分に低減できないこともわかった. しかし, PHREEQEによる解析によって, 大気中の二酸化炭素の溶解を促進させることにより, 中和することが可能であることが示唆された. このことから, 中和処理装置を設けることなく, 自然の浄化作用を活用するアルカリ性地下水の影響を低減する対策の可能性が示された. ただし, 大気中二酸化炭素の溶解を促進するために, 現地地形を踏まえ, 二酸化炭素と地下水との接触にかかわる時間や面積の影響を調査する必要がある.
  • 高橋 学, 加藤 昌治, 漆松 雪彦, 朴 赫
    2009 年 50 巻 5 号 p. 280-288
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     ベレア砂岩の流体移動に関連した空隙構造を定量化するため, LINDQUIST et al. (2000)による3DMA手法を取り入れた. その結果, マイクロフォーカスX線CTから得られた, 応力状態が異なる空隙の3次元情報を取得することができた. 直径600μmのガラスビーズを用いたCTボリュームデータおよび3DMA解析を用いたポアとスロートの幾何学情報(ポアサイズ, スロートサイズ, チャンネル長さ, 配位数等)に関するデータの検証結果を紹介する. また, ベレア砂岩の大気圧, 25MPa静水圧条件下におけるこれら幾何学情報の定量的な差異について報告する.
短報
資料
  • 金折 裕司, 廣瀬 健太
    2009 年 50 巻 5 号 p. 295-304
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     長門峡は, 阿武川中流の山口県阿武郡阿東町御堂原から萩市川上の滝橋に至る約9kmの区間と, 佐々並川の佐々並川ダムから下流約1kmの区間である. ここは大正12(1923)年に『名勝及び天然記念物』の指定を受けるとともに, 昭和35(1960)年に県立自然公園に指定されている. 長門峡の開発と観光化には, わが国で最初の地質屋である高島北海(本名 : 得三)が大きく貢献している. 長門峡と命名したのも北海である. しかしながら, その経緯や高島北海の貢献についてはほとんど知られていない. 本資料では長門峡の開発の歴史をたどりながら, 高島北海の果たした役割とその偉業について紹介する.
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