応用地質
Online ISSN : 1884-0973
Print ISSN : 0286-7737
ISSN-L : 0286-7737
51 巻, 3 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
論文
  • 鹿園 直建, 吉田 直樹, 中田 正隆
    2010 年51 巻3 号 p. 112-121
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     北海道幌延地域のボーリングコア試料(珪藻質泥岩, 硬質頁岩)を用いて, 水-岩石反応実験を行った. その結果, アルカリ性溶液(初期pH=9), 酸性溶液(初期pH=5)ともに初期に急激に中性化し, その後は徐々にpHが減少していった. このpHの減少は, 黄鉄鉱の酸化反応による. この反応式より求まる硫酸イオン濃度とH+イオン濃度の比は, 実験のこれらの分析値の比と異なり, かなり低かった. このことは, 生成するH+の大部分が消費されることを示す. この相異は, H+イオンと陽イオン(アルカリ土類金属イオン)とのイオン交換反応, ケイ酸塩鉱物(長石)の溶解反応によるH+イオンの消費によって説明される. すなわち, 本実験試料は, 黄鉄鉱の酸化反応により発生したH+イオンのほとんどを消費する強い緩衝作用をもっているといえる.
報告
  • 西山 賢一, 横田 修一郎
    2010 年51 巻3 号 p. 122-129
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     熊本県・天草上島に分布するタフォニを調査し, 形態的特徴等について検討した. 当地域には多数のタフォニが古第三系砂岩の急崖に形成されており, それらの確認範囲は海岸域だけでなく, 山地域にも及ぶ. 一部のタフォニでは, 天井から剥離・落下した砂粒子が底部に堆積しており, タフォニの一部は岩石表面の継続的な剥離によって現在も成長中であることを示している. また, 剥離の進行する天井部では概して岩石の強度が低く, かつ含水状態が高い地点が認められ, 天井部での岩石の風化が著しいことを意味している. 当地域のタフォニの形成に関しては, 岩石表面での塩類風化とそれに伴う強度低下が大きく関与したことが推定される.
  • ―インドネシア東部地下水開発プロジェクトでのケーススタディー―
    吉澤 拓也
    2010 年51 巻3 号 p. 130-139
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     近年, 地球規模の水問題に対する関心が高まっている. 近年の新興国の人口増加とそれに伴う食料生産の増加により, 利用可能な水資源はますます希少となっているが, とりわけ賦存量の少ない地下水資源の保護は, 喫緊の課題となっている. わが国では, 地下水を水源とした飲料水開発や農業開発のプロジェクトを, 政府開発援助の枠組みで東南アジアやアフリカなど世界各地で実施しているが, 近年最も重視されているのが事業の「持続性」である. 近年地下水開発ポテンシャルが十分ではない地域も開発の対象地域に挙がるケースが散見され, 改めて地下水資源の開発における持続性の検討が重要となっている.
     本報ではインドネシア東部乾燥地帯を対象とした農業用地下水開発プロジェクトについて, 調査でとくに留意した持続的な開発可能量の検討方法を紹介する. 検討では, 地下水涵養量の算定を数種類の簡便な方法で行うとともに, 塩水浸入なども考慮して開発計画を立案した.
短報
  • ―とくに600余人が亡くなった小林村と小学校が全壊した神木村の場合―
    今村 遼平, 中筋 章人
    2010 年51 巻3 号 p. 140-145
    発行日: 2010年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
     2009年8月6~11日, 台湾は台風8号(台湾では莫拉克台風と呼んでいる)によって, 200年確率という大豪雨災害をうけて, 全土にわたって大きな水害・土砂災害を受けた. とりわけ中部~南部の災害はひどく, 高雄県甲仙郷の小林村では8月9日の早朝, 旗山渓両岸の大崩壊とそれによる天然ダムの決壊により村の集落のほとんどが流失し, 600~700人が亡くなった. 8月8日はこの地方では “爸々節” という父親を祝う日で, 各地から子供達が集まって来ていたというが, その実数がわからないため, 正確な死者数さえわからないのである. 同じ日の午後, 南投県信義郷の神木村では, 隆華国民小学校が鉄砲水(堰き止め湖の決壊による)の直撃を受けて, 完全に破壊されるという大被害を受けた.
     これらの災害は, 200年確率という大豪雨(台湾の年間降雨2,500mmのところに, 3日間で2,600mmが降ったとも言われている)が最大の誘因であるが, 山地が急傾斜・流れ盤のうえ, 過去の崩積土が全山に広く分布していて, それらが多量に水を吸って流動化して大崩壊を起こしたということや, 村落や小学校が現河床から5, 6mの比高しかない低位段丘面上に立地していたという素因も見逃すことができない.
feedback
Top