応用地質
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58 巻, 6 号
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報告
  • ―阿蘇大橋地区 砂防災害関連緊急事業(直轄)―
    片山 政弘, 光武 孝弘, 野村 真一, 石濱 茂崇, 中出 剛, 土居 陽介, 堀川 毅信
    2018 年 58 巻 6 号 p. 387-394
    発行日: 2018/02/10
    公開日: 2019/08/26
    ジャーナル フリー

    平成28年4 月16日に熊本地方を震源とするMj7.3(Mw7.0)の熊本地震(本震)が発生し,阿蘇大橋近傍では規模の大きな斜面崩壊が発生した.この斜面崩壊地では,国道や鉄道などへの被害が激甚であったことに加え,繰り返される余震によりさらなる斜面崩壊が生じることが懸念された.このため,本事業では安全性を確保しながら調査や施工を迅速に進めることが求められた.今回,人が立ち入れないような斜面崩壊地において,航空レーザ計測,UAVによる写真測量・計測を施工の進捗にあわせて実施し,さらにこれら結果を活用した地表踏査,地山安定性評価などを実施した.また,土留盛土工の規模や形状および頭部排土工の掘削範囲の設計は,測量成果により作成した3 次元データと地表踏査の結果に基づいて行った.これらの対策工事は無人化機械にて行い,施工中は動態観測などにより斜面を監視しながら安全に工事を進めた.また,これらの一連の調査・設計・施工はICT(情報通信技術)を活用しながら実施した.

  • 清水 功, 秦野 輝儀, 津田 延裕, 星野 慎司, 加藤 卓也
    2018 年 58 巻 6 号 p. 395-401
    発行日: 2018/02/10
    公開日: 2019/08/26
    ジャーナル フリー

    電源開発(株)の水力発電所の多くは設置後50年以上経過しており,設備の維持管理の一環として,導水路をはじめとする無巻トンネルの地質リスク調査を平成27年度より実施している.無巻トンネルの地質調査の効率化,高精度化を図るために,ハンドヘルドレーザースキャナーを用いてトンネル形状の計測を実施したので,その適用結果を報告する.ハンドヘルドレーザー計測の精度等の性能を確認するため,地下発電所搬入路トンネルで予備検討を実施し,その後,実際に崩落があった水路トンネル内の調査に適用した.ハンドヘルドレーザーの長さの計測精度は概ね10cm以下で,岩盤の表面の凹凸や不連続面を可視化することも可能で,トンネル空洞形状を簡単に把握することができた.また,地質観察結果と組み合わせることにより,精度の高い地質モデルを作成できることを確認した.

  • 中里 裕臣, 井上 敬資, 紺野 道昭, 伊藤 吾一, 佐藤 透
    2018 年 58 巻 6 号 p. 402-407
    発行日: 2018/02/10
    公開日: 2019/08/26
    ジャーナル フリー

    GPSを用いた大規模地すべり斜面の自動変位観測システムとその長期観測結果を紹介する.活動的な地すべりの対策工施工までの動態監視から,対策工施工後の効果判定までの長期にわたる長寿命な観測手法として,GPS観測システムが取り上げられたが,対象ブロックが北向き斜面であったことから,まず手動観測による適用性評価を行った.また,変位観測に対するGPS干渉測位の特性を実験により把握した.GPS観測システムは,不動地の基準点1 箇所と地すべり地内の移動点5 箇所で構成され,2003年10月より連続観測を開始した.各観測点では太陽電池を電源とし,オンライン観測には,当初は各観測点からの携帯電話回線を利用したが,後に野外用無線LAN回線により現地でデータを集約し,インターネット回線を通じて基線解析PCに送る方式とした.本システムにより2004年豪雨時の大きな変位や,その後の排水トンネルを主とする対策工の進展に伴う変位の沈静化を把握することができた.また,上下成分には基準点と移動点の標高差に応じた年周変動が認められ,気象データを用いた対流圏遅延補正の有効性が示された.

  • 宇津木 慎司, 中谷 匡志, 鶴田 亮介
    2018 年 58 巻 6 号 p. 408-415
    発行日: 2018/02/10
    公開日: 2019/08/26
    ジャーナル フリー

    近年,建設現場の生産性向上を目的としたi-Constructionと呼ばれる施策への取り組みが強化されており,ICT技術の積極的活用などを主題とした検討がなされている.これに対し,当社の山岳土木施工現場において,AI,CIM,画像処理技術などのICT技術を利活用し,施工現場における地質状況を自動判定するとともに,その結果や取りまとめた内容などを遠隔地にいる地質技術者がクラウドを介して一元管理するシステムを構築した.本論文においては,上述した①システムの全体概要について述べるとともに,②実際に施工現場における運用を開始している,CIMを利活用した施工記録および地質観察記録作成,保存システム,③斜面計測監視評価の高度化,3 次元化,そして④トンネル切羽や掘削のり面における地質評価の定量化,自動化に関する取り組みについて詳述する.

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