地下水流動経路を適切に評価することは,効果的な地下水資源の開発や維持管理,安全で経済的な建設工事の実施,土壌・地下水汚染対策の面で非常に重要である.本研究では,地形・ボーリング・地下水位および水質等の水理地質データを総合的に解析することによって,海岸砂洲の地下にある透水性の高い明褐色の礫を含む砂礫層が土石流によって形成された可能性があることを明らかにした.そしてこの砂礫層が,沿岸部の砂層を削り込み,砂洲を突き破って海へ達することによって,沿岸部の地下水流動経路になったことが判明した.地下水流動経路は局所的,一時的な地質現象によっても形成されることから,地形発達史や堆積物の特性等も考慮した水理地質構造の評価が重要と考える.