従来の岩石力学分野の破断面解析では断層の1方向の線粗さや破断面のフラクタル次元,二乗平均平方根粗さなどの破断面の代表的な特徴量が検討されてきた.しかしこれらの代表的な特徴量だけでは破断面の異方性や破断面全体にわたる特徴的な構造を数値化することができない.そこで本研究では異なる3主応力条件で破壊した岩石試料について,破断面の3次元情報である短波長成分の「粗さ」と長波長成分の「うねり」に分けて解析を行った.さらに,せん断方向に対する角度と線粗さの関係性を求める手法を提案した.結果として中間主応力の増加に伴い破断面の面うねりのラフネス(Wsq)が減少し,また応力条件によっては線粗さの異方性が確認された.本研究の結果から,従来の線的な評価手法では破断面の特徴から断層の動きを一意的に決定することは困難であり,破断面の3次元的な解析が必要であることを示した.