応用地質
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61 巻, 6 号
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論文
  • 藤井 幸泰
    2021 年 61 巻 6 号 p. 313-320
    発行日: 2021/02/10
    公開日: 2021/05/02
    ジャーナル フリー

    地震が多い日本では,安定陸塊に位置する諸国と比べて石造構造物が少ないとされる.しかし全国を見渡せば,各地で産出する様々な種類の岩石を利用し,各々の地域あるいは各時代の利用形態にあわせた石材としての利用がみられる.大谷石,来待石,多胡石,稲田石,小松石の5つの石材を取り上げて,岩石の種類や地質的背景について説明を行う.さらに石材の採取や加工のしやすさに関わる一軸圧縮強度の値,ならびに石材としての利用開始時期を文献調査によって明らかにした.堆積岩である凝灰岩の大谷石,砂岩の来待石ならびに多胡石は一軸圧縮強度がおよそ50MPa以下であり,古墳時代から利用が知られている.一方,強度が100MPaを超す火成岩の稲田石と小松石は,平安時代以降に利用されるようになった.輸入石材が多用されている昨今であるが,今回取り上げた石材のうち,現在も稼働している採石場は存在する.地元産業として継続できることを願うばかりである.

報告
  • 野城 一栄, 岡野 法之, 津留 恒誉
    2021 年 61 巻 6 号 p. 321-325
    発行日: 2021/02/10
    公開日: 2021/05/02
    ジャーナル フリー

    日本の鉄道で供用されている山岳トンネルは,多くが戦前に建設されたものであり,劣化やひび割れ等により剥落が生じることもある.事業者により剥落を防止するための対策工が施工され,安全な運行が維持されているが,鉄道トンネルでは,極力内空断面を侵さず,短い間合い時間でも適用可能な補修工法が求められる.そこで,筆者らは,供用中の山岳トンネルの剥落対策として,玄武岩由来のバサルト繊維を原料とするFRP帯板による補修工法を開発した.本工法は,バサルト繊維を樹脂で帯板状に成形したバサルト帯板を接着剤でトンネル覆工に接着し,アンカーと固定金具で覆工に固定することにより施工する.バサルト帯板によりトンネルの補強効果とひび割れで閉合した部分の剥落防止効果が期待できる.また,同じくバサルト繊維からなるバサルトネットを併用することにより小片の剥落防止の効果も期待できる.本稿では,開発工法の概要について説明するとともに,適用例について紹介する.

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