南魚沼市の地盤沈下は地下水の揚水によって生じる近年に少ない事例である.地盤沈下が進行すると被害が拡大・顕在化する可能性は高く,地盤沈下を生じない地下水利用の推進が求められる.降雪地域の生活に地下水を用いた消雪施設は不可欠なものであり,地域の環境と折り合いをつけて持続可能な地下水の広域利用システムを構築する必要がある.本論文は南魚沼市の地質特性と帯水層における地下水位および地盤沈下の計測結果を基に,地盤沈下の発生機構を検討した.その結果,南魚沼市の地盤沈下機構は浅層の帯水層で揚水しても,地下水位の低下は深層の帯水層まで及ぶために深層の軟弱粘土層が地盤沈下を生じるほか,浅層の軟弱粘土層は上下の両面排水により地盤沈下を促進する沈下機構を有することを明らかにした.
福井県東部に位置する勝山盆地は,同県の最大河川である九頭竜川水系を起源とする段丘および扇状地が発達した盆地である.本研究では勝山盆地周辺を対象として,常時微動観測情報に基づいて地下構造推定を試みた結果を検討している.常時微動の単点3成分観測から,H/Vスペクトルを求め卓越周期を判読し,その段丘・扇状地区分ごとの分布を調べた.また方位ごとの水平/鉛直スペクトル比を検討し,H/Vスペクトルから地盤の傾斜方向を推定できる可能性があることを示した.微動センサー間の距離を等比数列的に配置する展開アレイ観測を8地点で実施し,拡張SPAC法を適用することにより,Rayleigh波位相速度を算出した.微動観測から得られたRayleigh波位相速度およびH/Vスペクトルをターゲットとする逆解析により,S波速度と層厚の最適解を算出し,勝山盆地の2次元地下構造断面の推定を試みた.