マルチメディアを用いた表現活動においては, どのような情報を, どのように組み立てるかという「構成力」が重要である.しかし, 作品を構成する前に, 素材となる情報を解釈することの重要性も忘れてはならない.学習者は, 解釈によって情報から自分なりの意味を見いだし, その意味を伝えようとして, 作品を構成すると考えられるからである.情報の「解釈力」育成には, 知識の構造化の活動が有効と考え, 本研究では, 小学校6年社会科「貴族の世から武士の世へ」の単元において, 児童による知識の構造化の活動を取り入れた授業を行った.その結果, 児童は自分なりの歴史観を形成し, 歴史的事実の解釈を行うことができた.また, 学習のまとめとして制作したマルチメディア作品を, 児童及び8人の教師が6つの視点から評価した結果, 知識の構造化の活動を行ってから制作した作品の方が, 行わないで制作した作品よりも独創性について有意に高く評価された.これは, 知識の構造化の活動を行ったことにより, 児童が情報を解釈し, 自分なりの考えを形成しやすくなったためと考えられる.
抄録全体を表示