本論文では, 電子メールの内容の分かり易さと感情面との関係に注目した実験を行った.実験者が予め準備した分かり難い内容と分かり易い内容の電子メールを被験者に提示し, それぞれを読んでもらった後, その電子メールに対する返信メールを作成してもらった.この実験の過程で, 読み手としての被験者の感情面と, 返信メールを送信後の書き手としての被験者の感情面を測定し, 分かり易さによる影響を検討した.結果, 分かり難い電子メールは, 読み手に敵意感情やネガティブ感情を高く生じさせることや, その電子メールの書き手の感情を敵意と解釈させることが分かった.しかし, 分かり難い電子メールに返信メールを書くことで, 被験者に生じたこれらの感情が下がる傾向も示された.一方, その返信メールから, 相手の感情がより敵意でネガティブになると予測する傾向も見られた.結果から, 電子メールを分かり易く書くことが, 参加者の感情面にとって重要であることが示唆された.
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