タイでは従来, 経済面での地域格差は指摘されてきたが, 情報面のそれはこれまでほとんど把握されていない.筆者らは2004年8〜10月に, 地方での情報格差の実態を明らかにし, 格差解消にむけての現地行政機関の政策立案のための資料に供することを意図し, 北部タイの都市, 農村, 山村の3地区で調査をおこなった.まず, 政府や地方自治体が発表している諸統計の収集, 関係機関へ聞取り調査, 各地区の情報環境の観察調査等をおこなった.また, 3地区の小学校〜高等学校7校を対象に情報技術教育の実態調査をおこなった.さらに, 児童生徒を対象に情報接触の実態および情報活用能力に関するタイ語による記述式質問紙調査を実施した.これらの調査結果から, 3地区の情報環境の実態, 情報技術教育の格差, 児童生徒の情報行動や情報活用能力の現状を初めて明らかにした.そして, 格差解消のための課題も例示した.
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