本論文では,携帯メールを使ったコミュニケーションにおける感情面を検討するために実施した,2つの調査について報告する.これらの調査では,教師と友人の2種類の立場のメールの相手を想定し,それぞれとコミュニケーションする際の感情面について調べた.調査lでは,各立場に対して携帯メールを送るときの,メール文の内容を比較した.結果,教師へ携帯メールを送信する時には,名前,所属を明記し,丁寧語や敬語を用いるなど,誠実さを大切にし,友人へ携帯メールを送信する時には,話 し口調で顔文字を用いるなど,親しみを大切にする可能性が示唆された.調査llでは,各立場から届いた携帯メールに対して生じる感情が,何によって喚起されるかについて調べた.結果.教師の送信した携帯メールでは,誠実さが示されることで,また,友人の送信した携帯メールでは,親しみが示されることで,受信者は,よりポジティブ感情を高めて,より不快な感情を抑えることが示唆された.
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