本論は,教科「工業」の科目「課題研究」(以下課題研究とする)で行った,1)家電制御システムの製作,2)'非接触型'マウスの開発,3)それらを組み込んだ'家の模型'製作,の実践研究である.著者は,課題研究に関する先行研究として自由記述式のアンケート調査を生徒に実施し,その形態素解析を行っている.その結果,課題研究では,(1)「協調性」と「自主性」,「コミュニケーション」能力や「忍耐力」等が育成できること,(2)「協調性」と「自主性」を得るには「コミュニケーション」が重要な役割を示していること,(3)就職に「喜び」,「ものづくり」,「達成感」,「責任感」が活かせると感じていること,を明らかにしてきた.本論では課題研究におけるその先行研究を踏まえ,(1)明らかにしてきた学習成果について教育実践からも明らかにすることで,それを更に明確化すること,(2)明らかになった学習成果を得るために必要となる教育的条件を検討すること,を目的としている.それについて考察した結果,(1)実践からも既報で明らかにしたことが得られたこと,(2)課題研究の実践において,3つの'課題'が必要と推測されること,が明らかになった.
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