ファカルティ・ディベロップメント(Faculty Development : 以下,FD)の義務化以降,各大学においてさまざまな取組が行われていることは周知である.たとえばミクロレベルのFD活動である教員の授業改善を目指した教員研修では,講演,事例研究,ワークショップなど多様な形態の研修が実施されている.しかし,多くの場合,それら研修は形式的であり,研修を受講することにより教員はどのような力が修得できるのか,また,教員が研修で修得した力が所属組織にどのように還元されるのかが明確にされていないことが多い.組織的なFDが求められる中,組織としてのFD活動のあり方やその方法論について問い直すことが必要である.本稿では,FDを教授・学習における「組織的知識」を創造・蓄積する活動として位置づけ,組織的な知識創造を促す仕組みについて経営学等における知見をもとに検討を行った.
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