【目的】重症下肢虚血に対して下腿バイパス術を施行した患者において, 術後の歩行リハビリテーション (以下, リハビリ) が潰瘍治癒に与える影響を検討した.
【方法】2014年から2017年に重症下肢虚血に対して下腿バイパス術および包括的リハビリを行った74例を対象とし, 退院時functional independence measure (以下, FIM) の歩行点数より歩行可能群と歩行不能群に分類し, 患者背景, 潰瘍治癒率, 大切断回避生存 (amputation free survival: 以下, AFS) 率について比較した.
【結果】55例(74%)が歩行退院し,64例(86%)で潰瘍治癒が得られた.Kaplan-Meier法による潰瘍治癒率は両群で有意差を認めなかった(6ヵ月の潰瘍治癒率,歩行可能群82%,歩行不能群85%, p=0.75). AFS率は歩行可能群で有意に高かった(3年AFS率, 歩行可能群60%, 歩行不能群16%, p=0.047).
【結論】下腿バイパス術後の歩行リハビリは潰瘍治癒を阻害せず, 歩行可能であることは予後を改善する可能性がある.
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