健康の維持のために歩行は重要であるが, 歩ける足と足に合った靴がその前提になる. 本学は2012年から足育に取り組み, A市足育推進協議会のメンバーとして市民の足の相談に応じてきた. しかし, 相談は1回のみで, その後の変化を把握できなかった. また, 担当者が理学療法士の日には歩行や運動の指導を, 靴販売店員の日は靴選びを, という縦割り対応であった. 足のトラブルの対応は, 靴の選び方から運動, 角質ケアまで, 複合的なケアを要するため, 多職種連携による介入の成果を実証したいと考えた.
そこで, 近隣の靴販売店, クリニックと協力して, 足のトラブルがある市民に, 看護師, 理学療法士, ドイツ整形外科靴マイスター(以下, マイスターとする)が連携して複合的なケアを実施し, その変化を実証する介入研究を試みた. その結果, フットプリント, 歩行速度, 歩容, 胼胝鶏眼等のほか, モニター自身の自覚症状や認識を含めた身体的, 精神的な変化が認められた. 今後, 足のトラブル対策のためには, 職場での足の健診, 適切な靴の選定と調整力をもつ販売店員の役割, 参加者自身の行動変容が重要である.
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