頭頸部外科
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1 巻
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  • 丘村 煕, 小澤 哲夫, 中村 光士郎, 柳原 尚明
    1991 年 1 巻 p. 3-7
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     顔面神経麻痺に対する外科的治療の経験に基づき,本稿では顔面機能再建法の基本概念を紹介した。顔面神経が頭蓋内で損傷された場合には舌下神経顔面神経吻合術が適応となる。同神経が側頭骨内で損傷された場合には神経移植術が適応となる。同神経が側頭骨外で損傷された場合には全もしくは部分的神経移植術が適応となる。同神経が側頭骨内および側頭骨外を含めて切除された場合には顔面吊り上げ術を併用する筋移行術(側頭筋,咬筋,顎二腹筋)が用いられる。神経修復術の効果を高めるために最近では筋移行術と顔面吊り上げ術を併用している。顔面吊り上げ術にはゴアテックス・ソフト・ティッシュ・パッチを用いている。
  • 今野 昭義, 日野 剛, 寺田 修久, 岡本 美孝
    1991 年 1 巻 p. 9-20
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     舌癌20例,口腔底癌12例を対象として切除,再建が術後機能に与える影響をみるために一定の基準に沿って構音能,嚥下能を評価し,また嚥下圧,発語明瞭度を測定して以下の結論を得た。(1)喉頭挙上筋を合併切除した舌全摘例では一次的に喉頭挙上術,輪状咽頭筋切断術を行わない限り誤嚥のために喉頭保存の意義はなくなる。(2)喉頭合併切除舌癌症例では,食物が直接落下する単純な咽頭を再建すれば良い。嚥下圧形成のために口腔底を再建する意義はない。(3)舌2/3以上切除例では容積ある組織で口腔底隆起を再建した方が構音能は優れている。(4)口腔底癌切除後の構音および嚥下機能は同じ局所進展度を示す舌癌と比較して不良である。筋膜移植によるおとがい舌筋切断端固定術を試みる意義があるものと考える。
  • 渡邉 宏, 江崎 秀夫, 草場 靖
    1991 年 1 巻 p. 21-26
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     嚥下障害の手術的加療の効果判定にあたっては,相手の病状が進行する神経病学的疾患に対して行われることが多く,そのため,その効果判定は一次的誤嚥改善による延命効果も有効例として取り扱うのも,止むをえぬことであろう。今回の研究結果は, 1. 嚥下第I期障害を併発しているものは,咽頭弁形成術は有効である。2.嚥下第II期障害,特に喉頭下降期型(誤嚥)障害には,輪状咽頭筋切除術をはじめ種々の手術工夫が有効である。3.動的嚥下障害(核上性,核性,核下性,神経内科的疾患)の手術適応,術式選択とその施行時期については,充分の検討を要する。喉頭全摘術(喉頭閉鎖術)が最終術式か。
  • 吉田 幸夫, 津田 豪太, 斎藤 等, 佐藤 文彦
    1991 年 1 巻 p. 27-32
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     1983年10月から1990年2月の間に,30例の反回神経麻痺症例に対して外科的治療を行った。甲状腺癌切除後の新鮮例に対する動的再建術として,1例に反回神経端々吻合術を,7例に遊離神経移植術を,5例に有茎神経筋弁術を行った。いずれも声帯の再運動化はみられなかったが声帯の萎縮は認められず,MPTが10秒以上に維持・延長したものは69%であった。陳旧例に対する静的再建術として,11例に喉頭形成術(一色法)を,2例にシリコン注入を行った。術後MPTが10秒以上の維持・延長されたものは50%であった。両側麻痺に対しては音声と呼吸の両立は困難であり,1例に声門開大術を,3例に気管開窓術を行い弁付きカニューレを装着した。
  • 天津 睦郎
    1991 年 1 巻 p. 33-36
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     著者が過去14年間に行った喉摘後の一次的音声再建術(気管食道瘻発声)症例は207例で,そのうち172例(83%)が音声再獲得に成功した。音声獲得率は誤嚥防止術式では112例中99例(88%),原法では95例中73例(77%)であった。172例の気管食道瘻発声者のうち8名は食道発声をも獲得した。その振動源は気管食道瘻発声と同じく,下咽頭にあった。 嚥下機能は,誤嚥防止術式を採用した症例においては,原法に比べて有意に誤嚥が少なかった。
  • 松浦 鎭, 佐竹 文介, 牧野 総太郎
    1991 年 1 巻 p. 37-43
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     高齢者がんが取扱われる機会が漸増しているこんにち,その外科治療の対応は如何にあるべきかを探る。1973年―1987年の過去15年間の頭頸部がん1,020症例をふまえ,70歳以上の高齢者数は285例(27.9%)であった。そのうちわけは70歳台277例(22.3%),80歳以上58例(5.7%)であった。なかでも部位別では咽頭がんが33.5%と最も高値であり,下咽頭がん31.1%,上顎洞がん29.7%とつづく。頭頸部がん全手術例522例のうち,高齢者数は153例を占め,その比率は29.3%であり,高齢者といえどもよく手術に耐えている。上顎洞がん39.1%,喉頭がん35.0%がとくに高値である。高齢者喉頭がんの喉摘者5年累積生存率は39.0%であり,失声してもそれなりの手術の役割は果たせている。人生のターミナルに近い高齢者がん患者の手術担当に当たっては,Quality of lifeという観点と術後の延命期間という観点の双方のバランス感覚は患者にとって極めて基本的な重要な配慮がなされるべきである。
  • 堀内 正敏
    1991 年 1 巻 p. 45-48
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     80歳以上の高齢者症例を対象として頭頸部外科の手術合併症を論じた。東海大学病院における80歳以上の頭頸部進行癌に対する外科治療が13症例に施行されたが,重篤な術後合併症はみられなかった。合併症を予防する対策として,十分な術前検査による症例の選択と計画的な術後管理が必要である。高齢者においては,既往症または加齢による肺・腎などの臓器機能の低下が見られ,その個人差が大きいので負荷試験を含めた予備能力の評価が必要である。高齢者における術式の選択として,より浸襲の少ない再建手術あるいは分割手術を考慮すべきである。また頭頸部の各器官における年齢変化を考慮した術式の選択が望まれる。
  • 茂木 五郎, 鈴木 正志, 藤吉 達也
    1991 年 1 巻 p. 49-54
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     高齢者の頭頸部外科,とくに術創治癒と機能回復で,問題が生じ易いかを知るため,頭頸部癌で根治手術をうけた患者を2群に分け検討した。70歳以上を高齢者群(102名),69歳以下を対照群(252名)とし,術創治癒の評価として,術創のトラブルの有無トラブルのない例では,術創部ドレーン,経口摂取,歩行,カニューレ抜去までの日数を,また術後機能を評価するためアンケートにて食餌,会話の状態および手術を受けたことの満足感を調べた。術創治癒では両群で差はなく,トラブルはDM,肝硬変,高血圧等の合併,手術操作の秀劣に起因した。機能回復でも大差はみられなかった。高齢者でも術創治癒と機能回復の面からは,適応が適えば手術すべしと言う結論であった。
  • ―遊離弁か有茎弁か―
    永原 國彦
    1991 年 1 巻 p. 55-60
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     高齢者における広範囲治癒切除術後の再建に際しては,失敗がただちに死につながる危険性が高く,信頼できる再建材料の確保が肝要である。そこで頭頸部における過去10年間の190自験再建例(65歳以上は26%)について,特に高齢者への適応に関して検討し以下の結論を得た。1)高齢者における再建成績は若年者に劣らず良好である。2)高齢者にも遊離弁は安全に適応できる。3)遊離弁では腹直筋皮弁と遊離空腸が安全である。4)有茎弁ではD-P皮弁が安全である。局所合併症は大胸筋皮弁に多い。5)リスクファクターは遊離移植であることではなく全身合併症である。6)高齢者で糖尿病か肝硬変の合併した場合の危険度は極めて高い。
  • 柳内 統
    1991 年 1 巻 p. 61-63
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
  • 高橋 久昭, 内田 正興
    1991 年 1 巻 p. 65-73
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     1980年~89年の間に当科を受診した病理組織診の確定している甲状腺悪性腫瘍454症例および甲状腺良性疾患328症例を対象として,術前に施行したXeroradiography,細胞診,超音波診断,RIシンチグラフィーなどの術前診断法の評価を行なった。 その結果,Xeroradiography,細胞診,超音波診断,のいずれかにおいて陽性の結果がでた場合,悪性腫瘍である確率が高かった。微小癌あるいは濾胞癌の診断に問題点は残されているが,これらの検査法を効率よく組み合わせることで,高い正診率が得られるものと考えた。
  • 北村 溥之
    1991 年 1 巻 p. 75-80
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     バセドウ病の手術は抗甲状腺剤により甲状腺機能を正常化して行えば決して危険なものではない。甲状腺残置量を6g前後とした我々の治療成績を検討した結果,再発20%,軽度亢進1%,正常57%,潜在的機能低下6%,機能低下16%であった。したがって,軽度亢進と潜在的機能低下を含めた治療不要例は64%であった。20歳代の再発が多かったのが我々の治療成績の特徴で,今後この年齢層の残置量を検討する必要がある。再発例は術後のTBIIが高値を示す例が多かったが,例外もあり再発の予測は困難であった。何年も経ってからの再発があり,長期間の経過観察が必要である。
  • 馬谷 克則
    1991 年 1 巻 p. 81-87
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     1979年から1990年までに当科で治療した甲状腺進行癌症例19例を検討し,甲状腺進行癌を便宜上次の4群に分類した。喉頭気管に浸潤し,喘鳴や呼吸困難を来たしていた症例(第1群)。主要血管に浸潤していた症例(第2群)。両側反回神経麻痺により呼吸困難を来たしていた症例(第3群)。初診時に肺転移の認められた症例(第4群)。 主要血管への浸潤の可能性がある場合には,血管形成や胸骨縦切開の準備が必要である。初診時に肺転移が認められる症例に対しては,甲状腺全摘出後に131Iシンチグラム検査を考慮すべきである。
  • 海老原 敏
    1991 年 1 巻 p. 89-93
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     甲状腺癌の予後は,その組織型によることは良く知られている。本邦ではその95%弱を占める甲状腺乳頭癌・濾胞癌について,14-28年経過した自験例で,15年,20年生存率からみた予後因子について検討した。性,年齢,T/N/M,病理組織型の因子についてCoxの重回帰生命表法による多変量解析をおこなった結果,年齢の因子がリスク比34.38と極端に大きく影響し,そのほかの因子はT,Nのリスク比が1 .90,3.05であった。これまでいわれていた男性の予後は不良であるということは,今回の分析からは得られなかった。
  • 加藤 寿彦, 今村 信秀, 坂田 俊文, 曽田 豊二
    1991 年 1 巻 p. 95-100
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     最近6年間弱の期間に取り扱った顔面骨骨折症例347例について検討した。外来処置で済んだものが210例,入院処置を要したものが137例であった。性別では男性が269例と圧倒的に多く,受傷年齢はのピークは15~19才であった。受傷原因はスポーツ外傷,交通外傷が多かった。骨折の部位では鼻骨骨折が174例と半数を占め,眼窩壁骨折,頬骨弓骨折がそれに続いた。交通外傷では複数の骨の骨折も稀ではなかった。骨折の診断にたいして三次元CTが有用であった。また骨折の治療に関してはミニプレートの使用が有用であった。露出部である顔面外傷の治療においては,受傷後早期に処置を行う必要性があることを述べた。
  • 内田 豊
    1991 年 1 巻 p. 101-106
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     吹き抜け骨折の27症例について検討を加えた。統計的には男性が23例で,女性に比べ圧倒的に多い。原因としては喧嘩,スポーツ,交通事故などである。 眼窩壁骨折の整復固定に我々は副鼻腔を経由して行なう事が多い。その理由は,耳鼻科医は副鼻腔を扱うのに慣れていること,骨折部に膨隆した眼窩内容物や骨片刺入を内視鏡でよく観察処置できること,骨折により生じた副鼻腔の病態をも処置できるなどの点にある。骨折部補強用資材を眼窩のなかへ留置させることには疑問があり,出来るだけ眼窩の外側から押え,あとでこれを除去する方式をとっている。
  • 村田 清高
    1991 年 1 巻 p. 107-114
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     昭和50年5月から平成2年9月の間に近畿大学医学部耳鼻咽喉科で経験した側頭骨外傷患者138例のうち特に外傷性顔面神経麻痺37例(即発性麻痺型4例と遅発性麻痺型33例)について報告した。手術にて確認した側頭骨骨折は22例(縦骨折21例横骨折1例)で,膝神経節部天蓋まで骨折が波及したものは11例(50%)であった。手術対象になる側頭骨骨折は即発性顔面神経麻痺,外傷後2~3週して目だった改善を示さないもの,電気的神経筋反応が低下していくもの,伝音障害のあるもの,骨折間隙に表皮が陥入し真珠腫発生の危険があるものなどであった。経過観察により減荷術の有効なことを述べた。後遺症の変化を評点法により評価し計量的に解析した。
  • 増田 游
    1991 年 1 巻 p. 115-123
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     先天性外耳道閉鎖症(先天鎖耳)に対する手術療法について,形成外耳道の再狭窄と改善聴力の再低下の病因を知るべく,統計的に検討された。 先天鎖耳38耳が最近8年間に聴力改善を目的に手術され,外耳道形成術のみ施行例19耳では31.6%,また鼓室形成術も行い得た19耳では84 .2%で,有意な聴力改善を得た。 得られた諸結果から,臨床的に重要な術後合併症である形成外耳道の再狭窄と改善聴力の再低下は,いずれも形成外耳道と中耳腔での肉芽増生による瘢痕化という同じ病理学的原因によって起こるとのべた。そして,中耳領域に関連して,改善聴力の再低下は,新鼓膜と耳小骨との接触部の離開によるとし,鼓膜の浅在化という病態が大きく関わるとした。一方,外耳孔部を主とする再狭窄の予防策として,正常より1.5倍以上の径を持つ外耳道を作ることを一法とした。
  • 古川 浩三
    1991 年 1 巻 p. 125-129
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     喉頭は発声,嚥下,呼吸という機能をもっている。喉頭外傷の治療で一番重要なのは,呼吸が問題なくできるようになったかどうかである。喉頭外傷において,一番軽視されるのが発声である。われわれは当科における喉頭外傷の症例を呈示し,当科でおこなっている治療法について述べる。ポイントは壊死軟骨の除去,枠の形成,声門開大の3点である。症例によってこの3つの手術を組あわせてつかう。まだまだ治療には,限界がある。現在のところ,気道としての機能があれば妥協するという程度である。
  • 竹中 洋, 水越 文和, 立本 圭吾, 村上 泰
    1991 年 1 巻 p. 131-135
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     昭和62年12月1日から平成2年11月30日の4年間に経験した19例の下顎骨折症例を中心にチタニウムプレートの使用経験を報告した。症例の内訳はオトガイ部9例,角部9例,体部3例(複数の骨折を含む)であった。全例,咬合を確認の上,主として口内法によりプレート固定を施行した。口腔粘膜の縫合が不十分であった1症例を除き留置中何ら問題はなく,下顎骨折整復材としてのチタニウムプレートの有用性を確認した。また,頭頸部悪性腫瘍拡大根治術時の一期的下顎再建材としても使用したが形態保持の機能は評価できるが,永久再建材としては若干問題を認めた。
  • 金子 省三, 加藤 孝邦, 本多 芳男
    1991 年 1 巻 p. 137-140
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     眼窩底・頬骨を広く切除された上顎全摘出後に腹直筋皮弁による上顎一期再建術を11症例に行った。眼窩床・鼻腔側壁・口蓋,症例により頬部皮膚を同時に再建したが,眼窩床は皮弁の一部を表皮剥離して眼球を吊るように固定した。術後は眼球下垂による複視が防止でき,皮弁の萎縮も軽度のために頬部のふくらみも維持された。そして経口摂取も早期に開始されたために社会復帰も容易であった。適応を選択すれば上顎全摘出後の腹直筋皮弁による上顎一期再建法は眼球下垂や頬部陥凹の補正が困難な義顎と比較し有用な再建法と思われた。
  • 田中 信三, 松岡 秀隆, 佐藤 公則, 黒岩 泰直, 平野 実
    1991 年 1 巻 p. 141-147
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     口腔・中咽頭癌で舌可動部半切以上または中咽頭を2部位以上合併切除した32症例について術後の機能障害を検討した。1.舌・口腔底癌切除例では軽度から高度の構音障害が残り,語音明瞭度は切除範囲の大きさに逆相関した。筋皮弁による再建は必ずしも構音機能の保存に有用ではなかった。2.中咽頭癌切除例でも軽度から高度の構音障害が認められた。側壁から硬口蓋までを切除した例では腹直筋皮弁による再建が有用であった。3.口腔・中咽頭癌切除後の嚥下機能は大部分の症例で良好であったが,32例中流動食のみ摂食可能例が4例,水分誤嚥例が4例みられた。4.口腔・中咽頭癌切除後の構音機能と嚥下機能には有意の相関が認められた。
  • ―画像診断と手術所見の対比―
    行木 英生
    1991 年 1 巻 p. 149-156
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     副鼻腔悪性腫瘍の頭蓋底浸潤部位を5型に分類し,開頭による頭蓋顔面一塊切除術を施行した23例の所見から,その浸潤部位に対し頭蓋底のどの範囲を切除すれば根治切除になるかを,画像診断(CT,MRI,3-DCTおよびmicroangiogaphy)と手術所見との対比の上で検討した。(1) 前・後篩骨動脈領域を中心とする前頭洞および篩骨洞天蓋型―根治切除可能(2) 上眼窩裂と正円孔を中心とする前中頭蓋窩型―内頸動脈周囲や海綿静脈洞に浸潤がなければ根治切除可能(3) 側頭下窩および眼窩壁を浸潤して中硬膜動脈に支配される前中頭蓋窩広範囲び漫性浸潤型―手術適応なし(4) 頭蓋底中央部(蝶型骨体部,内頸動脈周囲および海綿静脈洞)への浸潤型―手術適応なし(5) 脳実質浸潤型―手術適応なし
  • 福島 英行, 野々村 光栄, 山中 晶雄, 永田 泉
    1991 年 1 巻 p. 157-162
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/09/27
    ジャーナル フリー
     聴器,特に中耳に原発する悪性腫瘍の予後は不良とされている。今回我々は,根治切除を行ない得た中耳原発扁平上皮癌症例を経験した。症例は49才女性,主訴は左耳漏。初診時,左外耳道は腫瘍で閉塞しておりCT,MRIにて腫瘍は側頭骨天蓋を破壊しており,硬膜浸潤が疑われた。術前照射とCDDP投与の後,左頸部郭清術並びに硬膜切除を含む側頭骨亜全摘術を施行した。硬膜切除部は人工硬膜で再建し腫瘍摘出後の欠損部は脂肪とDP皮弁で被覆し,術後合併症は認めなかった。過去の報告例の検討より中耳悪性腫瘍の予後の向上に側頭骨亜全摘術によるenblock切除が重要と考えられた。
  • ―分類と記載方法の検討―
    戸川 清, 宮崎 総一郎, 奥田 稔, 丘村 煕, 小野 勇, 金子 敏郎, 村上 泰
    1991 年 1 巻 p. 163-168
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     耳下腺腫瘍手術術式はほぼ定型化した観があるが,手術例を詳細に検討すると,現在の手術法分類に合致しない例が10~15%あった。また手術名の内容理解に施設問,術者間にずれがあり,一定共通認識の定着が必要と感じて本研究が行われた。検討の主眼は耳下腺切除範囲と顔面神経への対処を分離し,神経への操作,犠牲の部位と修復法などは付記とした。耳下腺切除範囲別に腺部分切除(部位),葉切除(浅葉,深葉),全摘出,拡大全摘出とした。核出術は耳下腺腫瘍手術法として不適当であるとして削除した。腺周囲臓器切除の有無,範囲,欠損部再建の方法,材料,頸部郭清術の内容,Frey症候群予防策なども付記とした。
  • ―原発性と続発性について―
    窪田 哲昭, 田中 裕之, 西村 郁子
    1991 年 1 巻 p. 169-174
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     上皮小体機能亢進症は原発性または続発性に上皮小体が腺腫化または過形成をおこしその機能が亢進した結果,上皮小体ホルモンが過剰に分泌されておこるCa代謝障害の疾患である。従来外科で扱われることの多いこの疾患に我々頭頸部外科医も今後積極的に取りくむ領域と思われ,我々が経験した24症例(原発性16例,続発性8例)の術前部位診断と手術所見についてその概要を報告した。
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