高齢者の頭頸部外科,とくに術創治癒と機能回復で,問題が生じ易いかを知るため,頭頸部癌で根治手術をうけた患者を2群に分け検討した。70歳以上を高齢者群(102名),69歳以下を対照群(252名)とし,術創治癒の評価として,術創のトラブルの有無トラブルのない例では,術創部ドレーン,経口摂取,歩行,カニューレ抜去までの日数を,また術後機能を評価するためアンケートにて食餌,会話の状態および手術を受けたことの満足感を調べた。術創治癒では両群で差はなく,トラブルはDM,肝硬変,高血圧等の合併,手術操作の秀劣に起因した。機能回復でも大差はみられなかった。高齢者でも術創治癒と機能回復の面からは,適応が適えば手術すべしと言う結論であった。
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