当科における鼻副鼻腔乳頭腫36例について検討した。inverted papillomaが最も多く,22例にみられた。乳頭腫の基部は上顎洞内側壁に多くみられたが,治療にあたっては,基部の範囲が比較的限局している例はCaldwell-Luc法で,広範囲に渡る例はDenker法や1ateral rhinotomyを選択した。篩骨洞に基部が限局している例は内視鏡下鼻内手術を選択した。再発例はsinonasal papillomaを一部認めるsquamous cell papilloma1例とinverted papilloma2例で,Caldwell-Luc法,Denker法,内視鏡下鼻内手術をそれぞれ施行しており,術式による差はみられなかった。よって,術前にCT,MRI,内視鏡で基部及び占拠部位を充分に検討し,治療の選択にあたることが重要と考えられた。
抄録全体を表示