片側声帯麻痺の外科治療として,甲状軟骨形成術I型,声帯内注入術,披裂軟骨内転術などがある。甲状軟骨形成術I型(一色原法)について術前の声門間隙の画像と術後の発声機能を調べた結果,声帯突起間の距離が膜様部声帯の長さの10%を越えると発声機能不良で,これが一つの定量的基準といえる。次に,摘出喉頭標本で手技を手順ごとにシミュレートしてみると,開窓部の軟骨片摘出,内軟骨膜の処理,ゴアッテクス(R)など挿入材料の工夫により,声門後部の間隙が大きい症例へも対応できることがわかった。さらに,声帯内転障害で失声を呈した機能性発声障害例に対して,手技の工夫を加えて甲状軟骨形成術1型を行い,劇的な音声改善が得られた。
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