佐賀大学医学部耳鼻咽喉科で一次治療を施行した甲状腺乳頭癌158例について臨床的検討を行った。年齢,性別,pTNM分類臨床病期,原発巣最大径の7項目について予後因子としての有用性を比較検討した。55歳以上,男性,pT4,N1b,臨床病期IV期は単変量解析のみで,遠隔転移と原発巣最大径4cm以上は多変量解析でも有意な予後因子であった。さらに遠隔転移に対するリスク比に基づき,55歳以上,男性に各1点,原発巣最大径4cm以上に2点,T4に3点,N1bに4点のスコアをつけ,症例ごとに合計し予後因子スコアとした。スコア0~3:0%,4~6:5%,7~9:21%,10~11:43%であり予後因子スコアと遠隔転移出現率に相関がみられた。予後因子スコア化は遠隔転移出現を推定でき,治療法決定に有用であると考えられた。
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