下咽頭・頸部食道癌全周性切除後は,空腸移植術が行われる。当科では定型的(Is型)再建の他に,2分して一方をパッチする(P型)再建や,中間部をカットする(Ic型)再建も行った。これら非定型的再建の信頼性を明らかにするため,各再建の経口摂取開始時期とその遅延理由を調査した。対象は男:女=56:9例,年齢は48~89歳である。全例の経口摂取の平均は15.1日であり,Is型(n=52)では縫合不全,腸閉塞,血腫,頸皮壊死の各1例で経口摂取が遅延した。P型(n=8)では縫合不全,腸閉塞,膿瘍の各1例,Ic型(n=5)では腸閉塞の1例で遅延した。この結果から,非定型的再建では縫合不全の増加は顕著でなく,その信頼性は確保されうるものと思われた。
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