今回われわれは3例の小児・若年者(19歳以下)甲状腺乳頭癌症例を経験し,主に治療方針について文献的考察を加えて報告する。3症例とも広範な両側頸部リンパ節転移を有し,1例に多発性肺転移,また,残りの2例にも肺野に小結節陰影を認めた。全例に甲状腺全摘出術,両側頸部郭清術を行い,1例は患側の反回神経浸潤を認めたため,神経切除のうえ神経再建術を行った。また,全例,術後にI
131大量療法を施行した。多発性肺転移例は現在も肺野に結節陰影を認めているが,治療後16年経過し明らかな増大傾向はない。また,1例に術後鎖骨下リンパ節にI
131の集積を認めたが,リンパ節径の増大傾向やサイログロブリン値の上昇がないため,現在は外来にて厳重経過観察を行っている。全例生存し,日常生活に支障を来す合併症は認めていない。小児・若年者甲状腺乳頭癌の場合,腺内転移,リンパ節転移,肺転移の頻度が成人症例よりも高いという特徴がある。そのため,甲状腺全摘出,徹底した頸部郭清術を行い,必要に応じてI
131大量療法を施行する必要があると考えられる。
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