頭頸部外科
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24 巻, 2 号
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パネルディスカッションI
耳鼻咽喉科・頭頸部外科の鏡視下手術
  • 唐木 將行
    2014 年 24 巻 2 号 p. 123-126
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    内視鏡下経鼻眼窩アプローチは前鼻孔から副鼻腔経由で眼球後部に到達する手術法である。自験例21例から骨膜外・内に分けて眼窩手術の適応と限界について検討した。初診科は眼科と脳神経外科が最も多く7例ずつ,次いで内科4例,耳鼻咽喉科2例であった。視力障害は初診時に失明や光覚や指数弁までに低下している症例が約7割を占めたが,その一方で視力障害のない症例も6例(29%)存在した。手術可能部位は骨膜外病変で液性病変であれば内・下方,眼窩上方まで可能であり,充実性病変は内・下方の場合に手術適応となる。骨膜内病変では視神経と離れていることが大前提,外眼筋の確認ができる,術前に視力障害を来していることが条件となる。
アドバンスト手術手技セミナーIV
  • 丹生 健一
    2014 年 24 巻 2 号 p. 127-130
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    CBTの治療選択にあたっては,CT,MRI,血管造影などの画像検査で,腫瘍と頸動脈との位置関係を十分に把握して手術のリスクを評価し,年齢,増大速度,合併する神経症状,単発か多発か,などを含め,個別に治療方針を検討する必要がある。放射線単独治療と経過観察でも比較的経過は良好であり,手術困難例ではこれらの治療方針も考慮する。一方でCBTの約5%に悪性がみられるとされ,念頭におく必要がある。
原著
  • 吉福 孝介, 西元 謙吾, 松崎 勉
    2014 年 24 巻 2 号 p. 131-135
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科日常診療において耳介血腫はしばしば見受けられる疾患であるが,耳介軟骨の骨折を伴う症例はまれであると考えられる。今回われわれは,20歳男性の耳介軟骨骨折をともなった耳介血腫症例に対して,消炎後に耳介形成術を行い良好な成績が得られたので,若干の文献的考察を加え報告する。
  • —特に一側聴耳の手術に関して—
    渡辺 亜希子, 佐野 肇 , 岡本 牧人
    2014 年 24 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    内耳瘻孔を伴う真珠腫性中耳炎の手術は難聴が悪化する可能性があり,一側聴耳の手術では特に注意が必要である。対側に重度難聴があり術前CTでは瘻孔の存在が明らかでなかったが,めまいや瘻孔症状から内耳瘻孔を予測して手術を行った。canal wall downを行い,母膜も含めて真珠腫を全摘出した。一年以上経過しているが再発なく,聴力を改善できた症例を報告した。
    北里大学病院耳鼻咽喉科で手術した真珠腫性中耳炎の中で内耳瘻孔を認めた症例を参考に,骨導の変化に影響を与える因子を検討した。その上で一側聴耳に対する手術上の注意点を考察した。
  • 吉福 孝介, 西元 謙吾, 松崎 勉, 野元 三治
    2014 年 24 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    今回,われわれは,左鼻翼に発生したグロームス腫瘍に対して外科的切除後にNasolabial flapを用いて再建した1症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する。
    症例は81歳,女性で左鼻翼の腫瘤形成を主訴として当科受診となった。左鼻翼に暗赤色の腫脹を認め,鼻翼裏面も腫脹していたが鼻腔内には異常を認めなかった。平成25年9月中旬全身麻酔下に腫瘍切除およびNasolabial flapを用いた再建術を施行した。病理組織学的検査結果ではグロームス腫瘍と診断された。術後特に問題なく経過良好であり術後3か月目の局所所見では,若干の鼻腔の狭窄を認めるものの鼻閉は訴えておらず,また,術前認めた疼痛も認めなくなり,腫瘍の再発もなく経過良好である。
  • 川田 和己, 西野 宏, 菊池 恒, 長友 孝文, 金澤 丈治, 市村 恵一
    2014 年 24 巻 2 号 p. 149-154
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    放射線性頭蓋底骨壊死は,局所病変であるが,不快な症状を呈し,内頸動脈破裂など重篤な合併症をきたすことがある。疾患の認知と,積極的な対応が望まれる。症例は,61歳男性。上咽頭癌化学放射線治療後再発癌に再照射を行い,局所的な頭蓋底骨壊死を生じた症例の治療を経験した。鼻内内視鏡下手術による腐骨除去が,治療効果においても内頸動脈破裂予防においても有効な治療法と考えられる。しかし,手術操作で内頸動脈露出が懸念される場合は,むしろ内頸動脈破裂を誘発してしまう可能性があり,適応は慎重にすべきである。また,手術に際しては,頭蓋底の構造を理解し,内視鏡手術の技量や技術を駆使した慎重な操作を要すると考えられた。
  • 松本 晃治, 有方 雅彦, 神前 英明, 清水 猛史
    2014 年 24 巻 2 号 p. 155-159
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    涙囊由来の腫瘍はまれであるが,その約70%が悪性腫瘍である。流涙や涙囊部腫脹を主訴として眼科を初診することが多い。今回,慢性涙囊炎を発生母地とした涙囊癌症例を経験し,眼窩内容摘出・皮膚を含めた上顎部分切除,耳下腺全摘術・頸部郭清術と術後放射線照射を行った。病理検査で唾液腺導管癌に相当する涙囊原発腺癌と診断された。涙囊癌の手術治療においては,涙囊,鼻涙管,涙囊周囲骨,眼窩内容,鼻副鼻腔を含めた切除術が必要であり,頭頸部の解剖に精通している耳鼻咽喉科医が担当する必要がある。
  • 藤原 良平, 寺尾 恭一, 森川 大樹, 速水 康介, 北野 睦三, 土井 勝美
    2014 年 24 巻 2 号 p. 161-167
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    咽頭後間隙血腫は比較的まれな疾患と考えられており,発症すれば上気道閉塞により呼吸困難をきたす可能性があるため,迅速な対応が必要である。今回われわれは,咽頭後間隙血腫の2例を経験した。症例1は74歳女性。夜間にベットから転倒した後,頸部腫脹,呼吸困難が出現し,当科紹介となった。症例2は44歳男性。ペインクリニックで星状神経節ブロックを施行後,呼吸困難,咽頭痛を認め,当科紹介となった。両症例とも気管切開術にて気道確保した後に,咽頭後間隙血腫に対して血腫除去術を行い良好な経過を得た。その臨床経過を述べ,文献的考察を加えて報告する。
  • 鈴木 健介, 林 隆一, 海老原 充, 宮崎 眞和, 篠崎 剛, 富岡 利文, 大幸 宏幸, 藤井 誠志
    2014 年 24 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    骨肉腫は骨原発の悪性腫瘍として最も多いが,頭頸部領域に生じる骨肉腫は全体の10%以下と比較的まれである。今回,われわれは下顎骨に発生した骨肉腫を6例経験したので,文献的考察を加えて報告する。治療法は6例全例で手術が施行され,4例は手術療法単独,2例で導入化学療法が併用された。導入化学療法が併用された2例においてはいずれも化学療法の効果は認められなかった。諸家の報告と同様に,初回治療で切除断端陰性の症例では長期生存が得られていた。頭頸部原発骨肉腫の治療の中心は外科的完全切除であるため,手術時期を逸することがないよう,導入化学療法の適応に関しては慎重になる必要があることが示唆された。
  • 松尾 美央子, 力丸 文秀, 檜垣 雄一郎, 益田 宗幸
    2014 年 24 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    中咽頭扁平上皮癌43例を対象に,全体の治療成績とともに,ヒト乳頭腫ウイルス(以下HPV)感染の有無とその臨床的特徴の違いや生存率について,retrospectiveな検討を行った。43例のうち,ステージIV症例が74%を占め,31%がHPV陽性で,2年粗生存率は77%であった。HPV陽性症例は陰性症例に比べ,有意に進行症例が多く,重複癌が少ない結果であった。2年粗生存率はHPV陽性症例70%に対し,HPV陰性79%と有意差はなかった。今後はHPV関連中咽頭癌症例について,長期の経過観察の後のさらなる検討が必要と思われた。
  • 西村 俊郎
    2014 年 24 巻 2 号 p. 181-184
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    下咽頭梨状陥凹瘻は化膿性甲状腺炎の感染経路となりうるが,頸部に膿瘍を反復する症例では何らかの治療が必要である。今回膿瘍の切開排膿と瘻管摘出が同時に可能であった症例を経験した。26歳男性症例で初回手術時は左頸部膿瘍形成後2か月で瘻管摘出を試みた。瘢痕組織を瘻管と誤認して,術後2年5か月後と5年後に膿瘍が再発した。早急な治療の希望があり,2回目の手術では切開排膿と瘻管摘出を同時に施行した。手術所見では膿瘍腔のため喉頭が周囲組織から剥離され術野の展開が容易であった。甲状腺上極も部分切除して梨状窩を外側から露出して瘻管の摘出が可能であった。手術時期について,他に経験した症例も交えて考察を加えたい。
  • 丸中 秀格, 赤木 祐介, 石原 久司, 森下 常盤, 折田 頼尚
    2014 年 24 巻 2 号 p. 185-188
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    扁平上皮癌の一亜型であるverrucous carcinomaは切除が基本であるが,喉頭においては機能温存のため安全域が充分とれない事がある。今回可及的切除に加え,アルゴンプラズマコアグレーターにて切除辺縁組織に追加焼灼を行うことにより制御できた声門早期癌(T1aN0M0)の2例を経験したので報告する。
  • 嶋根 俊和, 下鑪 裕子, 中村 泰介, 河村 陽二郎, 池谷 洋一, 高橋 郷, 森 智昭, 藤居 直和, 五味渕 寛, 小林 斉
    2014 年 24 巻 2 号 p. 189-193
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    2005年4月から2013年6月までの間に当科で頸部神経鞘腫に対し,被膜間摘出術を施行した25例のうち腕神経叢由来であった7例を対象とし検討を行った。
    術後の神経脱落症状を呈した症例は1例のみで3か月で改善しており,被膜間摘出術は有効であることが示された。
    腕神経叢由来の神経鞘腫では,術後に上肢の知覚・運動障害をきたす可能性があり,患者の職業やQOLに重大な影響を及ぼすことがある。手術に際しては患者の不利益を考慮することと,十分なインフォームドコンセントそして手術経験が必要と考えられた。
  • 橋本 和樹, 中島 寅彦, 藤 賢史, 安松 隆治, 小宗 静男
    2014 年 24 巻 2 号 p. 195-199
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    精神疾患を有する頭頸部癌症例においては,しばしば標準治療の遂行が困難となる。今回2008年1月から2013年6月の間に当院にて入院加療を行った精神疾患を合併する頭頸部癌症例27例について,治療経過や合併症に関する検討を行った。高度の認知障害を有する6例では治療を開始できなかった。放射線治療症例においては,治療の長期化に伴い精神疾患の増悪や身体合併症の出現がみられ,治療中断となる症例もみられた。手術を施行した症例では術後せん妄が多く,再建症例では皮弁に関連した合併症率が高い傾向を認めた。精神疾患合併頭頸部癌症例においては,進行度や全身状態,また精神社会的背景を十分に考慮した上での治療適応検討が重要と考える。
  • 松下 直樹, 井口 広義, 和田 匡史, 大石 賢弥, 岡本 幸美, 寺西 裕一, 神田 裕樹, 山根 英雄
    2014 年 24 巻 2 号 p. 201-205
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    頰部に発生する腫瘍として耳下腺に付属するステノン管および副耳下腺を由来とするものが認められるがともに頻度は少ない。また原発がステノン管なのか副耳下腺なのかはっきりしないことも多い。しかし過去の報告からはステノン管を原発とするものは扁平上皮癌が多く,副耳下腺を原発とするものは粘表皮癌が多く扁平上皮癌は少ない。
    今回われわれはステノン管が原発と考えられた扁平上皮癌を1例経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。症例は71歳の男性。右頰部腫脹を主訴に受診され,画像所見から副耳下腺扁平上皮癌として手術を施行した。術後の病理所見などを含めて総合的に判断すると,ステノン管が原発の扁平上皮癌と考えられた。
  • —術前の局在診断について—
    佐藤 伸也, 森 祐輔, 橘 正剛, 横井 忠郎, 山下 弘幸
    2014 年 24 巻 2 号 p. 207-216
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    当院での甲状腺内副甲状腺腫の頻度は,原発性副甲状腺機能亢進症手術例319例中10例(3.1%)であった。8例が右葉,2例が左葉と右葉に多く,また下極が6例と下極側に多かった。超音波検査では7例が内部低エコーで,6例でドップラー血流の亢進を認めた。MIBIを7例に施行し,5例で集積を認めたが,同時に存在した腺腫様結節にも集積している症例が1例存在した。CTは腫瘍としての存在を提示できるものの質的診断は困難であった。穿刺PTH測定を6例に施行し,5例でPTHの高値を認め局在診断に有用であった。また1例に両側内頸静脈サンプリングPTH測定を行い,PTHの左右差を認め局在診断に有用であった。
  • 小池 雪絵, 四宮 弘隆, 大月 直樹, 丹生 健一
    2014 年 24 巻 2 号 p. 217-222
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    頸動脈小体腫瘍(CBT)は頸動脈小体から発生する傍神経節腫である。解剖学的に周囲へ圧迫,浸潤しやすく,ときにホルネル症状や嚥下障害,嗄声などの脳神経症状をきたす。根治には外科的治療を要するが,腫瘍からの出血や下位脳神経障害等のリスクを伴い,対応に苦慮する疾患である。過去13年間に当科で経験したCBT 9例につき,臨床所見と治療法別の経過を検討したので報告する。手術例は1例が悪性で遠隔転移により死亡したが,他の4例と放射線治療2例,経過観察2例は経過良好であった。家族性を1例認め,年齢や腫瘍の大きさ,神経症状の有無などに加え,今後は遺伝子検査を含めて治療方針を慎重に検討する必要があると考えられた。
  • 瀧澤 義徳, 杉山 健一, 岡村 純, 石川 竜司, 望月 大極, 高橋 吾郎, 三澤 清, 大和谷 崇, 細川 誠二, 峯田 周幸
    2014 年 24 巻 2 号 p. 223-229
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    小細胞癌は肺に好発する腫瘍である。頭頸部に発生する小細胞癌は比較的まれであるが一般に悪性度が高く,高率に遠隔転移を生じ予後不良とされる。頭頸部原発小細胞癌の治療は未だ確立されたものはないが,肺小細胞癌の治療に準じて行われることが多い。限局性で早期の症例や手術を組み合わせた集学的治療の報告もあるが,放射線・化学療法による治療が行われる。
    今回われわれは,喉頭と副鼻腔が原発と考えられた小細胞癌の2症例について報告する。
  • 安藤 奈央美, 岩井 大, 小西 将矢, 馬場 奨, 岡崎 はるか, 河内 理咲, 友田 幸一
    2014 年 24 巻 2 号 p. 231-234
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    胸腺囊腫の多くは胎生期胸腺組織の遺残に由来する先天性疾患と考えられ,頸部に見られるものはまれである。われわれは今回,71歳女性の腺腫様甲状腺腫に合併した胸腺囊腫の1例を経験した。CT・MRIでは左上縦隔から頸部に至る囊胞様腫瘤を認めた。手術では頸部からのアプローチで,この腫瘤を切除した。胸腺囊腫は一般に臨床症状に乏しいが,時に気道閉塞症状を示し,また癌化することが報告されている。したがって早期の診断と手術が重要であると思われる。
  • 岩井 大, 宇都宮 啓太, 小西 将矢, 安藤 奈央美, 宇都宮 敏生, 藤澤 琢郎, 馬場 奨, 友田 幸一
    2014 年 24 巻 2 号 p. 235-241
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/11
    ジャーナル フリー
    甲状腺全摘後の甲状腺分化癌高リスク症例に対するI-131の外来内用療法が認可され,われわれの施設でも本法の適応と考えられた22例中19例で実施できた。当初,東日本大震災の福島原発放射能汚染事故に関連し,本法に躊躇される例があった。甲状腺ホルモン休薬法に比しrhTSH(Recombinant human thyroid stimulation hormone,ヒト遺伝子組み換え甲状腺刺激ホルモン)法では合併症が少なかった。19例中3例に局所再発と1例に遠隔転移が認められた。これらの症例はいずれも頸部再発歴があり,再手術のあとにI-131内用療法を受けた症例であった。したがって,今回のI-131内用療法は,甲状腺癌再発症例の再々発予防に対する効果は十分でない印象であったが,さらに十分な症例数と観察期間をもって判断すべきと思われた。
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