頭頸部外科
Online ISSN : 1884-474X
Print ISSN : 1349-581X
27 巻 , 3 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
原著
  • 遠藤 理奈子, 佐々木 俊一, 富永 健裕, 松本 伸晴, 都築 伸佳, 喜田 有未来, 阿部 実恵子
    2018 年 27 巻 3 号 p. 253-259
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    症例は68歳男性で咽頭痛を主訴に上部消化管内視鏡で喉頭異常所見を認め来院した。喉頭蓋右側腫脹部位の生検で腺癌が疑われ喉頭蓋部分切除を行った。病理診断は神経内分泌腫瘍(非定型カルチノイド)であり切除側断端が陽性のため外切開での追加切除と喉頭挙上術を同時施行した。術後1年4か月現在,再発転移の所見はなく嚥下機能も良好に保たれている。喉頭非定型カルチノイドは粘膜下発生をするため診断までに時間を要す。手術が最も有効であるが,粘膜下進展を考慮した広範囲の切除が必要となり嚥下障害をきたしうる。本症例では経口手術で断端が陽性であったことから外切開による追加切除と嚥下機能改善手術を施行し,良好な結果を得られた。
  • 大西 将美, 髙木 千晶, 髙橋 洋城, 奥田 弘, 梅田 実希
    2018 年 27 巻 3 号 p. 261-267
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    再発を繰り返したのちに遠隔転移をきたし切除不能となった低分化甲状腺癌に対し,チロシンキナーゼ阻害薬であるレンバチニブを使用し延命効果が得られた症例を経験したので若干の考察を加え報告する。
    症例は甲状腺全摘術を行い,アブレーションを追加した52歳女性。繰り返すリンパ節再発に対し手術を行っていたが,3度目の再発のとき,手術を待機している間に肺および骨転移をきたし手術不能となり,レンバチニブ投与を開始した。レンバチニブによる治療は奏効し,腹腔内再発で他界するまでの約5か月間は頸部や肺転移の増悪はなく延命効果が得られた。
  • 川嵜 洋平, 辻 正博, 鈴木 真輔, 山田 武千代
    2018 年 27 巻 3 号 p. 269-275
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    内視鏡的咽喉頭手術(ELPS)は早期癌に対して非常に有効な治療法であり,手術時間も短く不要な放射線化学療法を避ける事が可能となった。一方で,ELPSが普及する前は早期癌であっても放射線化学療法に頼らざるを得なかった。内視鏡の画像精度が上がっている為,以前に放射線化学療法で加療した患者の中下咽頭癌を早期の段階で見つける事が可能となっている。しかし,こうした患者に対してELPSを施行する時,手術操作が困難であったり,腫瘍が予想外に進展していたり,切除範囲が明確に解らない場合がある。われわれが経験した症例を検討し,根治照射後のELPSの問題点を明らかにしていく。
  • 高橋 剛史, 佐々木 徹, 三谷 浩樹, 川端 一嘉, 米川 博之, 福島 啓文, 新橋 渉, 瀬戸 陽, 神山 亮介, 蛯名 彩, 日高 ...
    2018 年 27 巻 3 号 p. 277-283
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    (化学)放射線治療後の原発残存・再発に対し救済手術を施行した下咽頭癌症例について,救済手術法の選択と合併症,予後につき,自験例について検討を行った。
    2005年から2014年に下咽頭扁平上皮癌新鮮例のうち,170例に初回治療として根治的(化学)放射線治療を施行し,45例に原発残存・再発を認め,32例に救済手術を施行した。
    救済術式は下咽頭喉頭全摘出術/下咽頭部分切除術/経口的切除:17/8/7例であり,術後観察期間は中央値23か月,術後3年生存率は71.3%であった。一方,術後合併症は18例(56.3%)で起きていた。救済手術は生命予後の改善に有用であり,症例を吟味し,各術式の得失を理解した上で,最適な術式を選択するべきと考えた。
  • 力丸 文秀, 松尾 美央子, 藤 賢史, 檜垣 雄一郎, 益田 宗幸
    2018 年 27 巻 3 号 p. 285-288
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    当科で治療を行った進行舌扁平上皮癌症例32例の臨床的検討を行った。対象は頸部郭清術,pull through法による原発巣切除術,口腔再建術が施行され,術後永久病理組織学的検査所見で高リスクと判断された症例は術後化学放射線同時併用療法を50~60Gy施行されている。この結果,病期Ⅲ症例の3年5年粗生存率はともに100%で,病期Ⅳ症例ではそれぞれ74%,64%であった。当科で高リスクと判断している術後永久病理組織学的検査所見のうち,断端近接 and/or 陽性症例とリンパ節被膜外浸潤陽性症例はそれ以外の症例より有意に粗生存率が低く,今後はこれらの症例の治療成績改善が必要であると思われた。
  • 北岡 杏子, 畑地 憲輔, 吉田 晴郎, 髙橋 晴雄
    2018 年 27 巻 3 号 p. 289-293
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    これまで耳硬化症の成績報告の多くは,1987年案や2000年案を用いているものが多かった。一方,2001年にJ. G. De Bruijnらが報告Amsterdam Hearing Evaluation Plots法(AHEPs法)は,高音部やoverclosureを伴う聴力の変動の評価が可能で,より耳硬化症の評価の一助となりうる。当院の成績を2000年案とAHEPs法で評価を行ったところ,有意な差は認めなかった。しかし,AHEPs法では成功症例をさらに著効例と成功例に分けることができる,耳硬化症においてより詳細な評価に適した評価法であると考えた。
  • 南 和彦, 大庭 晋, 久場 潔実, 井上 準, 小柏 靖直, 蝦原 康宏, 中平 光彦, 菅澤 正
    2018 年 27 巻 3 号 p. 295-300
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    近年の医療光学機器の進歩や手術支援機器の発達に伴い,鼻内内視鏡下手術の手術適応範囲は翼口蓋窩,頭蓋底,眼窩などの鼻副鼻腔外へと拡大し,下垂体腫瘍に対しては既に経鼻的内視鏡手術が広く行われるようになっている。下垂体腫瘍などのトルコ鞍内や頭蓋底腫瘍に対する経鼻的内視鏡手術の合併症として髄液漏については多くの検討がなされているが,内頸動脈損傷についての報告はほとんどない。内頸動脈損傷は鼻内内視鏡下副鼻腔手術でも起こり得る合併症であるが,その対応については周知されているとは言えない。鼻内内視鏡下手術における内頸動脈損傷時および止血後の仮性動脈瘤形成時の対応について当科の経験を元に検討した。
  • 高木 明
    2018 年 27 巻 3 号 p. 301-306
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    耳硬化症の基本術式はアブミ骨の上部構造を摘除して底に小開窓を作成し,同部にピストンを挿入,その対側端をキヌタ骨長脚に結びつけることを基本としてきた。このアブミ骨上部構造の摘出の際,予期せぬtotal stapedectomy,floating footplateとなることがあり,その操作には緊張が強いられる。そこでアブミ骨操作としては底に小開窓を作るのみとして,キヌタ骨の可動性を得るためにその豆状突起を摘除する術式「アブミ骨上部構造保存アブミ骨手術」を考案した。この術式による40例の平均気導聴力改善18.9dB,気骨導差20dB以内90%と良好であり,術後5年間の聴力も安定していた。
  • 岡崎 慎一, 那須 隆, 野田 大介, 倉上 和也, 八鍬 修一, 中島 小百合, 金子 昌行, 小池 修治, 長瀬 輝顕, 欠畑 誠治
    2018 年 27 巻 3 号 p. 307-311
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    悪性黒色腫に対する化学療法として,免疫チェックポイント阻害薬が本邦において承認され,これまでに有効な治療法がなかった頭頸部粘膜悪性黒色腫の再発・転移に対し,本剤を使用することが可能となった。今回われわれは,頭頸部粘膜悪性黒色腫の再発・転移に対し,イピリムマブを用いて治療を行った4症例につき,前治療,治療効果,有害事象を検討した。原発巣はいずれも鼻腔であり,前治療は手術,重粒子線療法,放射線療法,化学療法が行われていた。治療効果は,1例がCR,3例がPDで1例は生存,2例は原病死となった。有害事象は,grade 3の下垂体機能低下を認めた症例が1例あったが,全例4回のイピリムマブ投与が可能であった。
  • 足立 将大, 中山 雅博, 西村 文吾, 田中 秀峰, 田渕 経司, 和田 哲郎, 原 晃
    2018 年 27 巻 3 号 p. 313-318
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    2002年4月から2015年3月までの13年間に当科で初回治療を行った耳下腺癌症例35例について検討を行った。内訳は男性25例,女性10例で,年齢中央値は65歳(31~84歳)であった。T分類は,T1:3例,T2:7例,T3:7例,T4:18例であり,N分類に関しては,N0:20例,N1:6例,N2:9例であった。病理組織型は11種類であり,腺房細胞癌が6例と最多であった。
    5年粗生存率は52.6%であった。単変量解析ではリンパ節転移,悪性度,顔面神経切除,血管・リンパ管浸潤,神経周囲浸潤が有意な予後因子であった。さらなる予後改善のためには,予後不良因子を有する症例での術後放射線治療を検討する必要があると考えられた。
  • 松本 吉史, 小林 謙也, 松村 聡子, 深澤 雅彦, 手島 直則, 松本 文彦, 吉本 世一
    2018 年 27 巻 3 号 p. 319-323
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    2007年1月から2016年12までの10年間にがんセンター中央病院頭頸部腫瘍科を受診した鼻副鼻腔悪性黒色腫18例の治療成績を検討した。男女比1:2,年齢は55~84歳(中央値72歳),観察期間は4~132か月(中央値44か月)であった。TNM分類(AJCC/UICC第7版)ではT3:10例,T4a:8例,N0:17例,N1:1例,M1:2例,stage Ⅲ:10例,stage Ⅳa:6例,stage Ⅳc:2例であった。Kaplan-Meier法による3年局所制御率,粗生存率は67%,80%であった。完全切除例であっても70%に局所再発が生じ,その86%がskip病変によるものであった。悪性黒色腫の高い再発率を考慮すると,切除範囲は症例ごとに良く検討する必要があると考えられた。
  • 井口 悠香, 荒井 康裕, 佐野 大佑, 千葉 欣大, 折舘 伸彦
    2018 年 27 巻 3 号 p. 325-328
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    咽頭腔外異物は位置同定が困難であり摘出に外切開を要する例もあるが,経口腔的に摘出し得た下咽頭粘膜下(咽頭腔外)魚骨異物の1例を経験したので報告する。症例は72歳女性で,カレイを摂取した翌日に当科を受診した。咽喉頭ファイバースコピーで異物を同定できなかったが,CTで下咽頭後壁右側から正中に向かって走行する魚骨を疑わせる所見を認め手術の方針とした。佐藤式彎曲型咽喉頭直達鏡で下咽頭を展開し,CT所見を参考に下咽頭粘膜を切開剥離して異物を同定し摘出し得た。異物周囲に感染がなかった事,CTが異物の位置を正確に反映していた事,下咽頭の広範な視野を確保できた事が経口腔的摘出成功の理由として考えられた。
  • 江川 峻哉, 安藤 いづみ, 北嶋 達也, 田中 義人, 平野 康次郎, 櫛橋 幸民, 池田 賢一郎, 小林 一女, 嶋根 俊和
    2018 年 27 巻 3 号 p. 329-333
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    Nerve sheath myxoma(神経鞘粘液腫)は1969年にHarkin&Reed1)によって末梢神経の神経線維内に存在する神経鞘を由来とする,豊富な粘液基質を特徴の腫瘍(myxoma of nerve sheath)として初めて報告された。今回われわれは左頸部腫脹を主訴に当科を受診した31歳男性に対して,腕神経叢由来の左頸部神経鞘腫を疑い被膜間摘出術を施行し,病理組織学的検査の結果Nerve sheath myxomaと診断したまれな症例を経験したため若干の文献的考察を踏まえて報告する。
  • 吉村 太一, 矢吹 健一郎, 塩野 理, 池宮城 秀崇, 千葉 欣大, 西村 剛志, 折舘 伸彦
    2018 年 27 巻 3 号 p. 335-339
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    気道緊急を要した喉頭蓋脂肪腫の1例を経験した。症例は56歳女性で主訴は約1年前からの咽喉頭異常感症であった。来院時気道狭窄症状を呈していたが,体位を工夫し,腫瘍を一時的に牽引することで気管切開術を施行することなく経鼻的に気道確保を行い,全身麻酔下に経口的切除が可能であった。摘出検体の病理検査により脂肪腫の最終診断となった。
    咽喉頭腔原発の脂肪腫はまれな良性腫瘍性疾患であるが,時として気道緊急をきたす。大きな腫瘍であっても,気道確保の際に腫瘍基部の局在に対応した手技を工夫することで気管切開術を回避しうると考えられた。
  • 繁治 純, 松居 秀敏, 平山 裕次, 米澤 宏一郎, 岩江 信法
    2018 年 27 巻 3 号 p. 341-344
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    天津式気管食道瘻形成術(以下天津法)は喉頭全摘出術後の音声再建法のひとつで,ボイスプロステーシスを必要とせずにシャント発声が可能である。2001年から2014年に天津法を施行した23例を対象に音声獲得の有無,音声獲得した症例の会話明瞭度,誤嚥の程度について後方視的に検討した。会話明瞭度は田口による会話明瞭度検査を用い,誤嚥の程度は,なし,軽度,高度の3段階に分けて検討した。全23例中18例で音声獲得した。会話明瞭度はグレード1が13例,グレード2が1例,グレード3が2例,グレード4が2例であった。誤嚥は10例で認め,そのうち8例は軽度で,2例が高度であった。天津法の会話明瞭度は良好で高度な誤嚥は少ないと考えられた。
  • 松井 祐興, 鈴木 豊, 岡崎 雅, 荒木 直人
    2018 年 27 巻 3 号 p. 345-349
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    内視鏡下鼻副鼻腔手術の病理診断で非浸潤性副鼻腔真菌症の診断であったが,術後経過観察中に,脳膿瘍形成等の浸潤性副鼻腔真菌症でみられる所見を認め,ボリコナゾールにて加療した症例を経験したので報告する。症例は74歳女性。副鼻腔真菌症による右眼窩先端症候群の診断で内視鏡下鼻副鼻腔手術を施行した。原因真菌はアスペルギルスであったが,真菌菌糸の組織内浸潤を認めず,非浸潤性副鼻腔真菌症の診断であった。手術7か月後に画像所見で右眼窩先端周囲および硬膜に肥厚を認め,脳膿瘍を認めた。浸潤性副鼻腔真菌症に準じてボリコナゾール長期投与を行った。治療開始後9か月で脳膿瘍は軽快した。病理所見では浸潤性副鼻腔真菌症の確定が得られなくても,免疫能が低下している患者において経過・検査所見・画像などより浸潤性副鼻腔真菌症が疑われるときには画像による経過観察や抗真菌剤の長期投与による積極的な加療が必要と考えた。
症例
  • 森山 宗仁, 平野 隆, 藤田 佳吾, 鈴木 正志
    2018 年 27 巻 3 号 p. 351-356
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    耳下腺腫瘍は近年では比較的早期に手術を施行されることが多く巨大化することはまれである。今回多形腺腫由来癌となった巨大耳下腺腫瘍に対し神経刺激装置を用いて,顔面神経モニタリングを行うことにより,顔面神経を温存し腫瘍摘出した1症例を報告する。症例は50歳女性。6年前より左耳下部腫脹を自覚し3年前より増大傾向にあったが放置し続けた。近医内科受診した際に,当科受診勧められ紹介となった。初診時左耳下部~下顎にかけて29×17×15cmの腫瘤性病変を認め,顔面神経麻痺は認めなかった。神経刺激装置を用いて左耳下腺腫瘍摘出術を行うことで,顔面神経を末梢枝より同定し温存しえた。巨大腫瘍により顔面神経の走行が偏位し,末梢側より同定が必要な例には神経刺激装置の使用が有効と考えられた。
  • 平田 裕二, 金井 健吾, 藤本 将平
    2018 年 27 巻 3 号 p. 357-361
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    末梢神経の断裂・欠損に対して,2013年に神経再生誘導チューブ(ナーブリッジ®,以下ナーブリッジ)が国内で認可された。ナーブリッジは主に整形外科領域で使用され,治験段階での有効率は82.8%と良好な治療成績を収めている。今回,われわれは顎下腺癌のために,顎下腺とともに舌神経を合併切除した症例に対して,ナーブリッジを用いて神経再建をした2症例を経験した。評価はSemmes-Weinstein(SW)法を用いた。術後1年の評価では,それぞれ4.17Fm/purple,4.56Fm/redとなり,知覚神経の回復を認めた。長さの制限や価格の問題はあるが,舌神経切断に対しても有効な再建方法の1つであると考えられた。
  • 加藤 大星, 中溝 宗永, 横島 一彦, 稲井 俊太, 酒主 敦子, 坂井 梓, 寺崎 泰弘, 大久保 公裕
    2018 年 27 巻 3 号 p. 363-367
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    IgG4関連疾患には未だに不明な点が多い。その解明には,詳細な症例報告の積み重ねが重要である。IgG4関連疾患と診断した片側耳下腺腫瘤を経験したので報告した。
    症例は57歳男性。4か月前に左耳下部の腫脹を自覚した。左耳下部に45mm大,弾性硬,可動性良好な腫瘤を触知した。顔面神経麻痺はなかった。MRI検査と穿刺吸引細胞診から術前に確定診断はできなかったが,耳下腺浅葉部分切除を行った。病理検査で,IgG4陽性形質細胞浸潤を認め,術後に血中IgG4が高値であることが判明した。全身性キャッスルマン病と鑑別をすることで,IgG4関連疾患と確定診断できた。
  • 奥田 弘, 大西 将美, 髙木 千晶, 髙橋 洋城, 髙田 菜月
    2018 年 27 巻 3 号 p. 369-372
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    保存的治療によって症状が改善しない耳管開放症に対し,耳管咽頭口粘膜下自家脂肪注入術を施行した1例を経験した。術後,滲出性中耳炎を発症したために鼓膜換気チューブ挿入術を施行した。
    聴力の改善は得られなかったが,自声強聴や自己呼吸音聴取などの不快な自覚症状は消失した。耳管開放症に対しては手術により症状の改善が期待できるが,症状の再燃や,滲出性中耳炎などの合併症に対する対応が重要である。耳管開放症に対する手術治療の適応や適切な術式につき,過去の報告も踏まえて検討した。
  • 神谷 透, 吉村 佳奈子, 釆野 舞侑, 永尾 光, 豊田 健一郎
    2018 年 27 巻 3 号 p. 373-377
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    口腔底類皮囊胞は比較的まれな疾患であり,ガマ腫との鑑別が重要であるが時に困難である。また口内法での手術の際には視野確保が問題となる。症例は27歳女性で,5年前に前医でガマ腫と診断され治療歴があった。口腔底の腫脹を主訴に当科を受診した。当初は感染を生じていたためMRI所見は不明瞭であったが,感染制御後のMRI再検査でsack of marblesと呼ばれる特徴的な所見を有する囊胞性腫瘤を認め類皮囊胞と診断し,口内法にて摘出を行った。深部で視野不良となったが内視鏡を併用することで良好な視野で摘出を行うことができた。口腔底囊胞摘出の際の内視鏡併用は有用であると考えられた。
  • 嵯峨井 俊, 小川 武則, 臼渕 肇, 小嶋 郁穂, 村田 隆紀, 阪本 真弥, 高橋 昌宏, 西條 憲, 加藤 健吾, 中目 亜矢子, 大 ...
    2018 年 27 巻 3 号 p. 379-385
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    頭頸部原発骨肉腫6例を報告する。年齢は15歳から84歳(中央値63.5歳),男女比5対1,下顎骨原発4例,上顎骨1例,喉頭1例であった。TNM stageは,ⅡA 5例,Ⅲ 1例であった。組織学的には,骨芽細胞型5例,軟骨芽細胞型1例であった。治療は,全例に手術治療を行ったが,補助療法として化学療法が5例,放射線治療が1例に施行された。手術は,開頭頭蓋底手術2例を含む顎骨切除5例,喉頭全摘術1例に施行され,断端評価においては,陰性5例,陽性1例であった。2例が再発(局所1例,遠隔転移再発1例)し,再発期間は治療後2か月,12か月であった。局所再発症例は,術前化学療法不応,切除断端陽性例であった。
  • 佐原 利人, 上羽 瑠美, 後藤 多嘉緒, 佐藤 拓, 堂本 裕加子, 二藤 隆春, 山岨 達也
    2018 年 27 巻 3 号 p. 387-393
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    神経鞘腫は身体のあらゆる部分に発生し,舌根部の発生はまれとされる。今回,偶然発見された,無症候性の舌根部神経鞘腫に対して,合併症なく経口的に切除できた症例を経験したので報告する。症例は42歳,男性で,消化管造影検査を受けた際に舌根部の隆起性病変を指摘され,当科を受診した。中咽頭を占拠する粘膜下腫瘍を認め,全身麻酔下の迅速病理検査で悪性が否定されたので,FK-WOリトラクターと先端弯曲型硬性内視鏡を併用した経口法で腫瘍を摘出した。永久病理検査で最終的に神経鞘腫と診断された。明らかな神経脱落症状を認めず,術後経過は良好である。
手技工夫
  • 南 修司郎, 山本 修子
    2018 年 27 巻 3 号 p. 395-397
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/03/14
    ジャーナル フリー
    真珠腫性中耳炎に対する外耳道後壁削除・乳突非開放型鼓室形成術(軟素材による外耳道再建)時に行っている,Z形成術を用いた外耳道入口部拡大を報告する。手術方法は,外耳道入口部12時の位置より後約半周を利用して,先端角約60度で耳甲介耳輪脚側と外耳道内下壁側を基部とする2つの三角皮弁を作成し,耳甲介腔軟骨と結合組織を十分切除後,三角皮弁を入れ換え,外耳道入口部を拡大する。Z形成術は,延長効果,山を谷とする効果があり,外耳道入口部拡大に適している。本法は,外耳道深部の縫合はあるが,比較的簡便であり,上皮欠損はなく耳内の乾燥は極めて早く,また外耳道後上方への視野も良好である。
feedback
Top