頭頸部外科
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29 巻, 3 号
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教育セッション14
嚥下障害
  • ―誤嚥防止手術と嚥下機能改善手術―
    河本 勝之
    2020 年 29 巻 3 号 p. 247-249
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    嚥下障害に対する手術は誤嚥防止手術,嚥下機能改善手術に大別される。高齢の嚥下障害患者が手術の対象となることが多いため,近年は旧来より低侵襲な術式を追求する必要があり,各種の術式が存在している。そのため患者の病態と嚥下機能に応じた術式の選択が可能である。ただし嚥下障害に対する手術を行っている施設はまだ限られており,今後の更なる手術の普及と効果の検証が望まれる。本稿では誤嚥防止手術として声門下喉頭閉鎖術,嚥下機能改善手術として咽頭弁形成術,喉頭挙上術,経口的輪状咽頭筋切断術について述べる。
原著
  • ─耳下腺癌194例の検討から─
    河田 了, 寺田 哲也, 東野 正明, 西川 周治, 神人 彪
    2020 年 29 巻 3 号 p. 251-257
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    耳下腺癌に対する頸部郭清術の適応や郭清範囲について,コンセンサスは得られていない。特にcN0症例に対する予防的頸部郭清術(END)について多くの議論がある。耳下腺癌194例中リンパ節転移が認められたのは51例(26.3%)であった。T分類別のリンパ節転移頻度はT1が6.9%,T2が12.0%,T3が35.7%,T4が53.7%であった。悪性度別では低/中悪性が6.4%,高悪性が52.4%であった。79例に対して予防的頸部郭清術を施行し,うち潜在的リンパ節転移9例(11.4%)に認められた。転移部位を見たとき,転移頻度が高い順に,レベルⅡ,耳下腺周囲,レベルⅢ,レベルⅣの順であった。疾患特異的5年生存率をN分類で見たとき,N0が87.2%,N1が71.1%,N2が31.6%であった。N+症例の予後は不良であり,耳下腺癌におけるリンパ節転移の制御が重要であることがわかった。予防的頸部郭清術の適応としてT3・T4症例および高悪性症例であると考えた。術前の悪性度診断は困難なため術中迅速診断の活用が有効であると考えた。
  • 大月 直樹, 下田 光, 古川 竜也, 四宮 弘隆, 手島 直則, 丹生 健一
    2020 年 29 巻 3 号 p. 259-265
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    甲状腺癌に対する甲状腺全摘後の副甲状腺機能低下(HPT)発症に関連する因子を明らかにするため,甲状腺全摘術,気管周囲郭清術を行った105例を対象に術後副甲状腺機能を検討した。60例で副甲状腺(PTG)を温存した。PTGを温存できなかった45例のうち,12例で 2個以上,23例で1個のPTGを胸鎖乳突筋内に自家移植した。術後一過性HPTが46例(44%),永続的HPTが19例(18%)で認められた。40 mm以上の大きな腫瘍や肉眼的甲状腺外浸潤が認められる場合,上縦隔郭清を行った場合には,永続的HPTの発症率が高かった。PTGの温存できない場合,2つ以上のPTGを自家移植するのが望ましい。
  • 川畠 雅樹, 宮下 圭一, 黒野 祐一
    2020 年 29 巻 3 号 p. 267-272
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    2007年1月から2017年9月までの間に当科を受診した急性副鼻腔炎あるいは囊胞を原因とする鼻性眼窩内合併症20例の臨床的特徴について原因疾患別に比較検討を行った。急性副鼻腔炎例では,視力障害出現から48時間以上経過したものは視力予後が不良であった。囊胞例の多くは術後性の後部篩骨洞囊胞であった。視力障害出現から48時間経過しても視力は比較的保たれている症例が多かった。一方で,急速に視力障害が進行する症例があり,その視力予後は不良であった。囊胞例の多くが診断までに時間を要しており,歯齦切開による経上顎洞法副鼻腔手術歴のある症例で視力障害を認めた場合には,後部篩骨洞囊胞の存在を疑うことが肝要と思われる。
  • 安松 隆治, 内 龍太郎, 若崎 高裕, 田浦 政彦, 松尾 美央子, 中川 尚志
    2020 年 29 巻 3 号 p. 273-278
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    UICCから新たな悪性腫瘍TNM分類が発表された。口腔癌における改訂のポイントとして,腫瘍深達度と節外浸潤の概念が加えられた。当科で治療を行った舌癌93例について,新分類に基づいた治療成績を解析しその妥当性を検討した。新分類における全体の疾患特異的3年生存率は72.3%であり,stageⅠ:89.9%,stageⅡ:80%,stageⅢ:70%,stageⅣA:64.2%,stageⅣB:20%であった。再発は29例に認められ,10例(36%)で救済可能であった。新TNM分類は旧分類と比較して予後をより明確に反映していた。
  • 山口 大夢, 武田 育子, 松原 篤
    2020 年 29 巻 3 号 p. 279-283
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    過去20年間に当科で全身麻酔下に摘出した下咽頭・食道異物の100症例を対象として,異物の種類や年齢別ならびに異物の変遷について検討を行った。異物の種類としては,魚骨が66例で最も多く,義歯が9例,PTP (Press through package)が8例,食物塊が7例と続いた。年齢層別の検討では,10歳未満と60歳代で症例数が多く2峰性を示す結果であった。小児ではコインや玩具が多かったのに対して,20歳代以降では魚骨やPTP,義歯異物の割合が高かった。また,10年毎の症例の比較検討では,直近の後半10年間では各年齢層において症例数の増加を認め,なかでも65歳以上の症例が有意に増加しており,高齢化に伴うものと考えられた。PTP異物に関しては,医療関連施設において誤飲した症例もあり今後の検討課題であると考えられた。
  • 遠藤 一平, 上野 貴雄, 石川 和也, 中西 庸介, 近藤 悟, 脇坂 尚宏, 吉崎 智一
    2020 年 29 巻 3 号 p. 285-289
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    頭頸部腫瘍切除後の再建においては,有茎皮弁は血行の安定性,挙上法の信頼性の点で依然として利用価値が高い。鼻唇溝皮弁(nasolabial flap)は,鼻唇溝部に作成される有茎皮弁である。症例は71歳男性。左頰粘膜から臼後にかけた頰粘膜癌を認めた(cT2N0M0)。鼻唇溝皮弁は顔面動脈を栄養血管として内眼角から口角に向かって皮弁を挙上した。頰粘膜癌切除後に鼻唇溝皮弁を頰筋間を通して口腔内の欠損部に逢着した。皮弁のdonor部位も一期的に閉創し審美的にも問題は認めなかった。鼻唇溝皮弁は口腔腫瘍切除後の再建において有用な選択肢のひとつである。
  • 是松 瑞樹, 喜井 正士, 音在 信治, 鈴木 基之, 曺 弘規, 小池 良典, 大西 皓貴, 木村 隆幸, 松本 健, 藤井 隆
    2020 年 29 巻 3 号 p. 291-297
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    舌癌に対する広範囲切除・再建後の構音・嚥下機能障害は,患者のQOLに大きな影響を与える。当科で2010年以降に根治切除・遊離皮弁再建手術を施行した舌癌症例58例を対象に術後会話機能および嚥下機能の評価を行った。  会話機能評価基準,MTFスコア,FOSSの中央値はそれぞれ9点,12点,1点であった。会話機能評価基準において社会的な言語活動が困難とされる4点以下の症例は舌全摘術を行った1例のみであった。手術時の年齢や原発巣の切除範囲が術後の会話機能・嚥下機能に有意に影響を与えていた。また,術後放射線療法の有無によって治療後の会話・嚥下機能に統計学的有意差を認めなかった。
症例
  • 石井 健太, 中島 逸男, 滝瀬 由吏江, 今井 貫太, 中島 隆博, 阿久津 誠, 今野 渉, 後藤 一貴, 平林 秀樹, 春名 眞一
    2020 年 29 巻 3 号 p. 299-304
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    今回,下位脳神経麻痺である舌下神経麻痺を契機に発見された上咽頭癌の1例を経験したので報告する。症例は52歳男性,舌の運動障害を主訴に当院神経内科を受診。当初は,突然発症の舌運動障害のため脳梗塞等の中枢性疾患を疑われ,頭部MRI施行するも頭蓋内の異常は指摘されなかった。右舌下神経麻痺に関し当科紹介受診となり,鼻咽腔内視鏡検査を施行したところ上咽頭右側壁〜後上壁にかけ隆起性病変を認め,生検にて上咽頭扁平上皮癌と診断。また画像評価にて右頸部リンパ節転移も認め,化学放射線療法を施行した。舌下神経麻痺を主訴とする上咽頭癌症例は稀で,国内では報告例が少ない。腫瘍の進展様式および下位脳神経麻痺等について考察する。
  • 松田 信作, 森 泰昌, 佐原 利人, 松田 絵美, 山口 佳子
    2020 年 29 巻 3 号 p. 305-309
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    舌に発生する乳頭腫は過去より多数の報告があり,また臨床の場においては癌化の可能性があることから切除を勧められる事が多い疾患である。しかし,その癌化過程の病理像や癌の発生機序については明らかにされていない。  本症例は48歳女性。左舌下面に腫瘤を認め,外来での鉗除生検結果は内反性乳頭腫の診断であった。癌化の可能性を考慮し,舌部分切除を施行した。手術検体の永久標本では乳頭状構造,内反様構造を呈する異型重層扁平上皮の増殖を認め,その一部から発生するようにp53の領域性の蓄積,p16陰性,BerEP4・EGFR陽性を認め,Squamous cell carcinoma arising from inverted papilloma on tongueとなった。
  • 宮本 俊輔, 清野 由輩, 松木 崇, 加納 孝一, 堤 翔平, 鈴木 綾子, 籾山 香保, 山下 拓
    2020 年 29 巻 3 号 p. 311-320
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    高齢者に対する高侵襲手術では重篤な合併症のリスクが高くなる。今回われわれは,拡大切除を要する高齢声門上癌2例に対し低侵襲な再建法としてオトガイ下皮弁を適用し,有用と考えたので報告する。  症例1は放射線治療後再発(rT4aN0M0)の89歳男性,症例2は初発(cT3N2cM0)の84歳男性であった。いずれも舌根と片側梨状陥凹へ腫瘍進展を認め,拡大喉頭全摘出後に症例1は8×4cm,症例2は11×3.5cmの本皮弁により咽頭再建した。症例1は術後22か月で原病死し,症例2は術後17か月無病生存中である。  手術侵襲が懸念されるような症例において咽頭再建を要する場合,本皮弁は有用な選択肢のひとつである。
  • 長岐 孝彦, 林 隆一, 篠崎 剛, 富岡 利文, 岡野 渉, 樽谷 貴之
    2020 年 29 巻 3 号 p. 321-326
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    甲状軟骨浸潤を伴う再発甲状腺癌に対し,喉頭部分切除を施行し喉頭機能を温存した1例を経験した。症例は47歳男性。他院にて甲状腺乳頭癌に対し甲状腺全摘・右頸部郭清を施行し,6年後に甲状軟骨に浸潤する再発病変を指摘され当科紹介となった。CT上,甲状軟骨右板に浸潤する最大径39mmの腫瘍を認めたが,喉頭への浸潤は傍声帯間隙に留まり喉頭温存可能と判断した。手術は甲状軟骨右側板を腫瘍と一塊にして切除した。梨状陥凹の粘膜は剥離温存可能であった。術後1年の現在,再発なく経過している。甲状腺分化癌の喉頭浸潤症例の機能温存術は,腫瘍が喉頭内腔に達せず,かつ甲状軟骨の前後径が保持される際には検討する余地があると考えられた。
  • 寺村 侑, 北原 伸郎, 岩村 均, 蛯原 康宏, 佐原 利人, 安原 一夫
    2020 年 29 巻 3 号 p. 327-331
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
     下咽頭脂肪肉腫はまれな疾患であり,高分化型脂肪肉腫は肉眼所見,画像所見,病理所見が脂肪腫に類似している。今回,われわれは診断に難渋し,最終的に咽喉頭食道摘出術,遊離空腸再建術を施行した症例を経験したので報告する。  症例は62歳男性。下咽頭に腫瘤を指摘され,下咽頭脂肪腫と診断された。顕微鏡下に経口的に摘出を行うも10年間で2度再発を認め,咽頭外切開での全切除術を行い,高分化型脂肪肉腫が疑われた。初診の18年後,嚥下性肺炎を契機に3回目の再発を認め,患者の経口摂取希望をふまえ,最終的に咽喉食摘術,遊離空腸再建術を施行した。食道断端は断端陽性が否定できないが,術後24か月を経た現在も再発なく外来経過観察中である。
  • 大井 祐太朗, 舘野 宏彦, 髙倉 大匡, 將積 日出夫
    2020 年 29 巻 3 号 p. 333-336
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
     症例は66歳男性。右前額部から眼窩周囲の違和感を主訴に近医総合病院内科を受診し頭部MRI所見で右上顎洞の液体貯留を指摘され慢性副鼻腔炎と診断された。マクロライド療法施行されたが改善なく精査加療目的に当科紹介受診。CTで右篩骨洞内に歯科インプラント体と思われる異物あり,内視鏡下鼻副鼻腔手術で異物を摘出した。  近年QOL向上や高齢者の増加等により歯科インプラント体埋込は増加傾向にある。歯科インプラントの副鼻腔への迷入は増えており,副鼻腔炎の精査の際には詳しい病歴や治療歴なども聴取し,異物も鑑別に精査する必要性があると考えられた。
  • 井田 翔太, 矢島 雄太郎, 安塚 孝治, 紫野 正人, 新國 摂, 近松 一朗
    2020 年 29 巻 3 号 p. 337-342
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    癌肉腫は上皮性の癌腫と肉腫が混在する腫瘍とされるが,頭頸部原発例は稀である。下咽頭原発癌肉腫の症例を経験したので報告する。76歳男性。声門上を占拠する腫瘍による気道狭窄で紹介となり,緊急気管切開を施行した。原発巣からの生検で確定診断に至らず,下咽頭喉頭全摘,両頸部郭清,空腸再建を施行し下咽頭癌肉腫,頸部リンパ節転移の診断を得た。頭頸部原発癌肉腫の癌腫成分としては扁平上皮癌が多いが,本症例では腺癌が検出された。術後3か月で多発肺転移を認め,緩和治療の方針とした。下咽頭癌肉腫の治療は確立されていないが,有茎性の形態を呈し気道狭窄のリスクが高いことから,慎重な気道管理と外科的切除が重要と考えられた。
  • 益田 宗幸, 西山 和郎, 力丸 文秀, 藤 賢史, 檜垣 雄一郎
    2020 年 29 巻 3 号 p. 343-347
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    舌根と喉頭蓋にまたがる腫瘍に対する喉頭温存切除再建術の報告はほとんどなされていない。特に広範な舌根切除が必要な症例や化学放射線後の再発症例に対して喉頭温存手術行った報告は,世界的に見てもほぼ皆無である。われわれは,化学放射線治療後の再発残存症例に対して,喉頭を温存して舌根と喉頭蓋を切除しても嚥下機能が十分に回復可能で有る事を報告してきた。今回,舌根の4/5と喉頭蓋の救済切除を行って良好な術後機能が得られた症例を経験した。本術式を成功させるためには術後の機能を充分に考慮した切除と,喉頭蓋の形態機能を再現する再建が必要と考えている。本報告ではこれらのポイントを解説する。
  • 向井 昌功, 江口 紘太郎, 白倉 聡, 杉本 太郎
    2020 年 29 巻 3 号 p. 349-354
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    頭頸部表在癌治療は主に経口的切除術と放射線療法である。治療方針は年齢,既往歴,病変の部位,深達度,範囲等を鑑みて決定するが,多発・広範な場合は特に慎重な検討が必要である。症例は胸部食道表在癌に対して内視鏡治療歴のある78歳男性で,下咽頭の両側梨状陥凹と後壁に表在癌を認めた。放射線療法も検討されたが,多発・重複癌であり,今後の再発・新規病変への対応を考慮して経口的切除術を選択した。広範かつ複数亜部位の切除になることから術後瘢痕狭窄予防として段階的切除とトリアムシノロンアセトニドの局所注射を実施し,局所制御および常食摂取を達成している。多発下咽頭表在癌の対応について重要な示唆を得たので報告する。
  • 矢島 雄太郎, 紫野 正人, 安塚 孝治, 井田 翔太, 新國 摂, 近松 一朗
    2020 年 29 巻 3 号 p. 355-359
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    粘膜下に迷入した咽頭異物は位置同定と摘出が困難となることが多い。今回,粘膜下迷入異物の摘出に術中透視が有効であった1例を経験した。症例は74歳の男性。サバ干物の摂取後から咽頭痛・違和感を自覚して前医を受診した。ファイバーでは咽頭に異物はなかったが,CTで線状異物が確認されたため紹介となった。バイアスピリン休薬期間に消炎したが,CTおよび頸部X線で線状異物が残存しており,手術で経口的摘出を試みた。術中,異物は咽頭腔内に露出しておらず,位置把握のために透視を使用して粘膜下異物を同定して摘出した。摘出異物は術前に考えられた魚骨異物ではなく線状の針金異物であり,サバ加工時に混入したものと想定された。
  • 宗川 亮人, 森 大地, 光田 順一, 大村 学, 為野 仁輔, 山本 聡
    2020 年 29 巻 3 号 p. 361-365
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    鰓性囊胞は鰓器官の発生異常により生じ,そのほとんどが第2鰓器官由来の第2鰓性囊胞である。扁桃から舌骨レベルまで至る第2鰓器官の経路のいかなる部分にも生じるが,最も多いのはBaileyⅡ型の側頸部上部である。今回われわれは小児の上咽頭,中咽頭側壁に発生した鰓性囊胞を経験したので報告する。症例は6か月男児,主訴はいびきであった。生後2か月頃よりいびきがあり,生後6か月で上咽頭から中咽頭右側に囊胞を認めBaileyⅣ型と診断した。発育は正常であり待機的に手術を行う方針とし,生後1年7か月の時点で全身麻酔下に経口的囊胞開窓術を施行した。術後6か月経過した現在までに再発を認めていない。
手技・工夫
  • 中村 伸太郎, 佐藤 靖夫, 羽生 昇, 北村 充, 若林 毅, 小川 郁
    2020 年 29 巻 3 号 p. 367-371
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/31
    ジャーナル フリー
    早期声門癌に対する治療として,当施設では彎曲型咽喉頭直達鏡(彎曲鏡)と耳鼻科用軟性内視鏡で視野を確保しレーザーを用いて切除する,彎曲鏡下レーザー手術を行ってきた。本手技の利点としては,1.軟性内視鏡の画像強調技術を併用することにより,声帯のみならず喉頭室や声門下を詳細に観察することが可能となること,2.彎曲鏡を用いることによって,従来の顕微鏡下手術において頸椎や歯牙の状態不良など喉頭展開困難症例に対応できること,が挙げられる。局所制御率や喉頭温存率について,本手技にて従来の治療と遜色ない結果が得られると考えられた。
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