頭頸部外科
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最新号
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頭頸部領域のロボット手術を始める
  • ―実施結果の検証―
    清水 顕, 塚原 清彰
    2020 年 30 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    2018年11月にda Vinci Surgical Systemの頭頸部領域での薬機承認がえられ,2019年2月よりTORSトレーニングプログラムが日本頭頸部外科学会の承認の上,告知された。学会主導のトレーニングプログラムを組むことにより,TORSの技術差を少なくし,より安全・確実に手術が実現できると考えている。また,術前の鏡視下咽喉頭手術の経験がラーニングカーブに影響するかを把握するためにアンケート調査を行った。導入当初から学会主導のトレーニングプログラムを導入することは世界初である。本稿ではこのプログラムの初期段階での実際を報告する。
  • —横浜市立大学における初期経験—
    佐野 大佑, 波多野 孝, 折舘 伸彦
    2020 年 30 巻 2 号 p. 139-140
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    咽喉頭がんにおける経口的ロボット支援手術に対するda Vinciサージカルシステムの追加薬事承認が2018年8月になされ,2019年4月より全国で経口的ロボット支援手術の導入が始まった。著者らの施設でも「頭頸部癌に対するda Vinciサージカルシステムを用いた経口的切除術」が院内の先進医療推進事業として採用され,頭頸部ロボット支援手術委員会が定めるトレーニングの修了後に咽喉頭がんに対する経口的ロボット支援手術を開始している。本稿では咽喉頭がん治療に対して保険未収載であるda Vinciサージカルシステムによる経口的ロボット支援手術の施設内導入について著者らの施設を1例に記す。
鼻科手術の最前線
  • 都築 建三, 橋本 健吾, 岡崎 健, 阪上 雅史
    2020 年 30 巻 2 号 p. 141-146
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    好酸球性副鼻腔炎(eosinophilic chronic rhinosinusitis, ECRS)は,厚生労働省の指定難病の診断基準から診断される。ECRSの治療は,薬物治療と手術(endoscopic sinus surgery, ESS)を組み合わせて行う。薬物治療は副腎皮質ステロイドホルモン薬(以下,ステロイド)が有用で,近年は生物学的製剤の有用性も報告されてきている。ESSは,残存蜂巣がない汎副鼻腔開放,とくに前頭洞排泄路および嗅裂部の開大が必要である。ECRS患者のQOL維持と再発予防のために,術後の治療も非常に重要である。
  • 坂本 達則, 菊地 正弘, 中川 隆之, 大森 孝一
    2020 年 30 巻 2 号 p. 147-150
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    耳管や破裂孔の周辺構造の内視鏡下局所解剖を明らかにするために,骨標本の観察およびカデバダイセクションを行った。破裂孔は蝶形骨,側頭骨,後頭骨に囲まれた不整形の穴である。内視鏡下に上顎洞後壁を除去すると,翼口蓋窩で顎動脈の分枝を確認できる。蝶形骨前壁の骨膜を切開すると,翼突管,正円孔を確認できる。蝶形骨の翼状突起基部・内側・外側翼突板を削開すると耳管軟骨が露出される。耳管軟骨は耳管溝と破裂孔を充填する線維軟骨に強固に癒着している。内視鏡で手術操作を行うとき,翼突管および破裂孔よりも尾側での操作を維持することで内頸動脈・海綿静脈洞の露出・損傷を防ぐことが出来ると考えられた。
甲状腺癌の治療戦略
  • 森谷 季吉
    2020 年 30 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    甲状腺分化癌は予後良好であるが,甲状腺の解剖学的位置のため,進行すると気道や食道への浸潤をきたしやすい。気道浸潤は6%程度に,内腔に達する浸潤は1%程度と報告されている。また局所進行癌の再発リスクは30-40%と高く,特に高齢者の予後は不良とされる。分化癌に対する化学療法薬はなく,放射線感受性も低いため,局所病変の治療は手術療法が中心となり,切除による局所制御が重要視される。頭頸部外科医は頭頸部癌に対する手術療法で,音声や嚥下改善を含む喉頭機能温存手術を展開してきた。頭頸部外科手術で培った英知を,甲状腺外科手術にも応用することで,局所進行甲状腺癌患者の予後やQOLの改善に貢献できるものと思われる。
  • 高原 幹
    2020 年 30 巻 2 号 p. 157-160
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    当科にて2011年3月から2019年10月までにVANS法を用いて手術を行った甲状腺悪性腫瘍症例は62例(年齢24〜77歳:中央値45歳,男性8例,女性54例)であった。腫瘤最大径は7〜38mm(中央値16mm)であった。手術法は片葉切除+中央区域リンパ節郭清(D1)であり,手術時間は72〜214分(中央値136分),出血量は0〜302ml(中央値9ml)であった。術後反回神経麻痺は5例に認めたが,全例2か月以内に改善した。止血処置を有した術後出血や気管穿孔をきたした症例は認めなかった。病理で乳頭癌だった58例において,現在のところ再発,転移は認めていない。本術式は審美性に優れた安全な手術法であると考えられた。
人工聴覚器・手術手技の進歩
  • 小宗 徳孝
    2020 年 30 巻 2 号 p. 161-166
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    人工聴覚器手術は標準化された術式である。標準化された術式とはいえ,ときに予期せぬ手術合併症をまねいたり,手術困難症例に遭遇する。基本的な手術解剖を覚えることは必須であるが,より深く正確な手術解剖の知識を身につけ,患者ごとの解剖学的構造物の特徴を術前に評価・把握することが,合併症のリスクを下げて,かつ,手術困難を乗り越える助けとなることは言うまでもない。本稿では,人工聴覚器手術,特に人工内耳植込み術の際に必要な微小外科解剖を解説する。内耳奇形を伴わない側頭骨解剖のバリエーションという観点から外科解剖を提示する。
頸部手術の難所・急所
  • 花井 信広
    2020 年 30 巻 2 号 p. 167-171
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    乳び漏/リンパ漏は創傷治癒遅延や創部感染から重篤な結果をもたらす可能性のある合併症であり,それを回避する方法についての習熟が必要である。本教育パネルディスカッションでは,その為に必要な手術手技とトラブルシューティングについて講演した。
    損傷はまず未然に防ぐ必要があり,リンパ系,胸管の解剖を知っておく必要がある。また胸管損傷を防ぐための予防的な手術手技であるtwo-bite法について解説した。
    乳び漏が発症した場合の外科的治療として,特に頸部からの操作で上縦隔の胸管を結紮する方法を解説した。これは総頸動脈の内側,胸郭入口部,食道後面を目安として胸管を同定するものである。
  • —副咽頭間隙—
    北村 守正
    2020 年 30 巻 2 号 p. 173-176
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    副咽頭間隙に発生する腫瘍はまれで,手術を行う機会は少なく,またアトラスでは副咽頭間隙の解剖を理解しにくい。解剖実習を行うと,深部まで正確に解剖を理解することができ,手術の際に非常に役に立つ。
    副咽頭間隙の手術では茎突下顎靭帯を離断することで,下顎骨の可動性が増し,術野展開が容易となる。茎状突起とそれに付着する筋肉(茎突舌骨筋・茎突舌筋・茎突咽頭筋),靭帯(茎突下顎靭帯・茎突舌骨靭帯) および顎二腹筋後腹により構成されるstyloid diaphragmが内頸動静脈の表層を覆う強固な膜として存在し,茎突前区と茎突後区に分けている。本総説では解剖実習を用いて副咽頭間隙の手術解剖の要点を解説する。
  • 真栄田 裕行
    2020 年 30 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
教育セミナー5
医療安全
  • 後 信
    2020 年 30 巻 2 号 p. 187-192
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    医療の質を高めることには益々関心が高まっている。その中でも,医療安全(患者安全)を確保する取り組みは,その中心的な位置を占める。診療業務の中に次々と医療安全の取り組みが導入されてきた中で,それらが医療の質や安全の確保の全体的な枠組みの中でどのような位置を占めるのか解説する。特にインシデント報告について述べたい。演者は日本医療機能評価機構やISQua(国際医療の質学会)における活動を通じて,医療の質・安全がわが国における重要な課題となっているだけでなく,グローバルイシューとなっていることを感じてきた。このような医療の質・安全に関する国際潮流についても併せて解説する。
原著
  • 水田 匡信, 吉田 充裕, 岩永 健, 藤原 崇志, 吉澤 亮, 佐藤 進一, 玉木 久信
    2020 年 30 巻 2 号 p. 193-198
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    当科で2007年4月から2019年3月までに根治治療を行った喉頭癌T3症例は35例あり,観察期間中央値は35か月であった。喉頭全摘出術が18例(Ope群)で,放射線療法が17例(RT群)で行われ,全体の3年粗生存率は74%,RT群の機能的喉頭温存生存率は27%であった。Ope群とRT群の患者背景には有意な差を認め,Ope群ではRT群と比べN2症例および高齢者が多かった。またCRTを行った13例の中でCDDP総投与量が200mg/m2以上であったものは2例のみであった。喉頭温存率の改善が今後の課題であり,中でもN2症例での治療法選択及びCRT時の併用CDDP投与量の検討を要すことが確認された。
  • 高野 智誠, 安原 一夫, 向井 俊之, 佐原 利人, 寺村 侑
    2020 年 30 巻 2 号 p. 199-203
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    術前に穿刺吸引細胞診(FNAC)と造影MRIを施行した耳下腺手術症例61症例に,造影MRIによるdynamic studyを行うことは術前診断の精度に寄与するかをTime-signal intensity curve(TSI curve)を算出し検討した。FNACの精度は感度33%,特異度100%,正診率89%であった。一方dynamic study はTSI curveにおいてC型を悪性と評価した場合,感度58%,特異度98%,正診率90%であった。FNACで悪性となったものはすべてTSI curveでC型であったため,dynamic studyを加えることは術前診断の精度上昇の一助となりうることが示唆された。
  • 松居 秀敏, 岩江 信法, 池本 和希, 山村 悠大
    2020 年 30 巻 2 号 p. 205-208
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌の生存率を検討するために,診療録からイベントを把握するPassive follow-up法(PFU)でなく,積極的に患者情報を更新するActive follow-up法(AFU)であれば,打ち切り症例が減少し,精度の高い値を算出できると考えた。2005-2014年根治治療施行の下咽頭癌219例を対象とし,粗生存率と5年経過時点の打ち切り症例を検討した。5年粗生存率はAFUが44.2%,PFUが46.6%で,PFUのほうが生存率が高い傾向であった。打ち切り症例はAFUが1例,PFUが17例。AFUは打ち切り症例が減少し,PFUより精度の高い生存率の算出が可能と考えられた。
  • 水野 敬介, 篠原 尚吾, 濱口 清海, 竹林 慎治
    2020 年 30 巻 2 号 p. 209-213
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    深頸部膿瘍と診断され手術を行った45例を対象に,複数回のドレナージを必要とする指標について後方視的に検討した。再手術なし群(11例),再手術あり群(34例)に分類し,患者背景,来院時の状態,治療内容について,2群間で比較した。
    再手術あり群では再手術なし群と比べて,CRPが有意に高値で,深頸部間隙のガス産生像,縦隔炎が多く,培養ではStreptococcus milleri groupが多く検出された。また,再手術あり群では,複数菌感染,内臓間隙膿瘍,咽頭後間隙膿瘍を有している症例が多い傾向にあった。
    以上のような特徴をもつ症例では,再手術になる可能性を考慮し,縦隔へ続く間隙(内臓間隙,咽頭後間隙,頸動脈間隙)の予防的な開放や,術後の再悪化時の喉頭浮腫に備えた予防的な気管切開も検討するべきと考えられる。
症例
  • 小宅 功一郎, 庄司 育央, 武田 悠輝, 滝口 修平, 野垣 岳稔, 比野平 恭之, 小林 一女, 小林 斉
    2020 年 30 巻 2 号 p. 215-221
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    若年性血管線維腫(Juvenile angiofibroma:JA)は思春期の男性に好発する良性腫瘍である。鼻閉や反復性鼻出血を主症状とするが,進展範囲によっては様々な症状を来たしうる。今回われわれはRadkowskiの病期分類でⅡAと診断した若年性血管線維腫に対し,術前の血管塞栓術,血管塞栓直後の手術施行,術中の顎動脈のクリッピングなどの工夫をすることで出血量を大幅に減少させることができたと考えられた症例を経験した。本症例を含めた近年の本邦での報告例13症例の病期分類や術式選択などについての検討と併せて報告する。
  • 宮島 玲子, 松木 崇, 清野 由輩, 石井 豊太, 山下 拓
    2020 年 30 巻 2 号 p. 223-227
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    外頸動脈が顎二腹筋の浅層を走行していた耳下腺多形腺腫の手術例を経験したので報告する。症例は39歳女性。右耳下腺多形腺腫の診断で手術を施行した。顎二腹筋の検索中に,同筋肉の浅層を走行する外頸動脈を認めた。同血管は温存し,腫瘍は合併症なく予定通り切除できた。外頸動脈の走行はⅠからⅣ型に分類されるが本症例はⅣ型に相当し,その出現頻度は0.25%と極めて低い。耳下腺手術では一般的に顎二腹筋浅層に温存すべき神経や血管は存在しないとされ,この走行異常は稀であるが大量出血や止血操作による顔面神経損傷などの重篤な合併症をきたす可能性がある。術前画像検査で主要血管の走行へ配慮することが望ましいと考えた。
  • 加藤 雄介, 山崎 恵介, 馬場 洋徳, 高橋 奈央, 野々村 頼子, 堀井 新
    2020 年 30 巻 2 号 p. 229-232
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    下咽頭梨状陥凹瘻において咽頭側の瘻孔を確認することは容易ではない。今回,われわれは瘻孔開口部の確認方法として,modified Killian(MK)法が有用であった1例を経験したので報告する。症例は55歳女性,20年前に左側下咽頭梨状陥凹瘻に対し甲状腺左葉切除が施行された。当科を受診する1か月前から発赤のある左前頸部腫脹が出現し,下咽頭梨状陥凹瘻の再発が疑われたため,当科紹介となった。通常の体位では瘻孔を確認できなかったが,MK体位で左梨状陥凹を観察すると瘻孔の開口部を確認することができた。全身麻酔下で経口腔的に瘻孔閉鎖術を行い,術後1年4か月,再発を認めていない。MK法は下咽頭梨状陥凹瘻の内瘻の確認に有用と思われた。
  • 上里 迅, 真栄田 裕行, 金城 秀俊, 安慶名 信也, 平川 仁, 鈴木 幹男
    2020 年 30 巻 2 号 p. 233-238
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    肺癌患者において開胸下の右上葉切除術と,頸部アプローチによる巨大な腺腫様甲状腺腫(AG)摘出術の同時施行例を経験したので報告する。患者は頸部圧迫感を主訴とする70歳の男性。精査の結果,右肺上葉S2区の肺癌と同時に上縦隔におよぶ右甲状腺腫瘤が発見された。甲状腺腫瘤は気道を圧排し,頸部圧迫感の主因であると考えられたため,肺癌と同時に甲状腺腫瘤摘出が計画された。AGは頸部操作のみで摘出可能であった。術後の経過は極めて順調であったが,縦隔炎や膿胸,胸骨骨髄炎など合併症の発症リスクを抑えるため,気管切開を併施せず,気管内挿管による気道管理を選択したことが理由として考えられた。
  • 大澤 陽子, 八田 聡美, 大越 忠和, 加藤 永一, 坪川 亜優美, 堤内 俊喜, 森川 太洋, 法木 左近, 今村 好章
    2020 年 30 巻 2 号 p. 239-245
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    混合性髄様濾胞細胞癌は,濾胞上皮性腫瘍と傍濾胞性(C細胞性)腫瘍がひとつの領域に共存する甲状腺の希少癌である。今回,混合リンパ節転移を伴う混合性髄様濾胞細胞癌を経験した。症例は67歳男性,既往歴・家族歴なし。両側甲状腺結節・左頸部と上縦隔に多発リンパ節腫脹があり,穿刺吸引細胞診では診断できなかった。甲状腺全摘術と左頸部郭清術を実施した。左葉結節は混合性髄様濾胞細胞癌,右葉結節は髄様癌,リンパ節は,乳頭癌,髄様癌,混合性髄様濾胞細胞癌の転移があった。PET検査は,病巣の把握に有用であった。サイログロブリン・CEA・カルシトニン値は術後正常化した。手術単独治療で再発無く4年経過中である。
  • 渡邉 嶺, 酒井 昭博, 飯島 宏章, 山内 麻由, 小倉 豪, 中村 直哉, 大上 研二
    2020 年 30 巻 2 号 p. 247-252
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    濾胞樹状細胞肉種(Follicular Dendritic Cell Sarcoma;FDCS)は,リンパ濾胞内の抗原提示細胞である濾胞樹状細胞から発生する稀な悪性腫瘍である。今回われわれは74歳女性の扁桃原発のFDCSを経験したので若干の文献的考察を加え報告する。腫瘤は左口蓋扁桃に存在し,直径25mm大であった。生検の結果,FDCSと診断され,Transoral Video-laryngoscopic Surgery(TOVS)により腫瘍を切除した。術後病理診断では切除断端陰性で,術後補助治療なしに経過観察中である。近年報告例が増加しつつあるが,治療法は確立されておらず今後の検討が必要である。
手技・工夫
  • 竹本 剛, 折田 浩志, 岡﨑 吉紘
    2020 年 30 巻 2 号 p. 253-257
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    頭頸部外科領域では1970年代からレーザー手術が導入された。当科では,現在,半導体レーザーを導入し,頭頸部手術に使用している。ハンドピースの径は非常に細く,鼻内や口腔,外耳道などワーキングスペースが狭い場所でも使用できる。また,切開線がシャープで止血効果もあるため,当科では有用なホットメスとして使用している。今回われわれは,当科で施行したレーザー手術の集計を行った。5年間に114例のレーザー手術を施行し,悪性腫瘍は95例であった。切除した組織の病理標本を検討したところ,切除断端の熱変性は少なく,設定した腫瘍から切除線までの距離とほぼ同様であり,腫瘍を切除する際に,有用な器具であると思われた。
  • 春日井 滋, 深澤 雅彦, 三上 公志, 明石 愛美, 望月 文博, 神川 文彰, 岩武 桜子, 肥塚 泉
    2020 年 30 巻 2 号 p. 259-264
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー
    筋肉や血管,神経が複雑に存在する頸部に発生した深在性脂肪腫の治療は,合併症の回避とともに整容面を考慮した皮膚切開が求められる。われわれは,シリンジ吸引牽引(syringe aspiration traction : 以下,SAT)法を用いて皮膚小切開で2例の脂肪腫を摘出したので報告する。SAT法は,牽引する力が一点に集中しないため脂肪腫の薄い被膜が比較的破れにくく,また被膜が破れても実質をシリンジ内に吸引しながら牽引できる。適切に脂肪腫と切開創をそれぞれ牽引することで腫瘍径より小さな切開創でも良好なワーキングスペースを得ることができ頸部の深在性脂肪腫に対して安全な方法であった。
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