頭頸部外科
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最新号
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原著
  • 堀 賢太朗, 岩佐 陽一郎, 山﨑 伸太郎, 春日 麻里子, 松浦 一輝, 横田 陽, 鬼頭 良輔, 工 穣
    2026 年35 巻3 号 p. 291-299
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー
    進行頭頸部癌に対する高用量シスプラチン併用放射線化学療法(CRT)において,体重や骨格筋量の減少は予後不良因子とされる。本研究では,CRT中の支持療法としての運動療法(リハビリ)および漢方薬(六君子湯・人参養栄湯)の有用性を後方視的に検討した。結果として,リハビリ導入により体重減少率が有意に改善し(p<0.05),骨格筋指数の減少率についても改善傾向を認めた。さらに,人参養栄湯群ではCRT中のGrade3以上の感染症発生率が有意に低下した(p=0.007)。これらの結果から,CRT中のリハビリと漢方薬は安全かつ有効な支持療法となり得る可能性が示唆された。
  • 松下 泰之, 坂下 智博, 杉浦 文康, 酒井 麻衣, 蓑島 歌野子
    2026 年35 巻3 号 p. 301-305
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー
    甲状腺手術は広く行われているが,術後出血や気道閉塞などの重篤な合併症が発生した場合,迅速な対応が求められる。本研究では,2017年から2024年にかけて当院で施行された甲状腺手術471例を後方視的に解析し,緊急対応を要した術後合併症のリスク因子を検討した。術後合併症は9例(1.9%)に発生し,うち出血7例(1.4%),気道閉塞3例(0.6%)であった(重複あり)。多変量解析の結果,手術時間130分以上,出血量80mL以上,甲状腺全摘術,バセドウ病が独立したリスク因子として抽出された。これらのハイリスク症例では,術後合併症の早期発見と予防的管理の重要性が改めて示唆された。
  • 黒瀬 誠, 垣内 晃人, 山本 圭佑, 高柳 心, 大柳 政彦, 大國 毅, 高野 賢一
    2026 年35 巻3 号 p. 307-314
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー
    甲状腺手術後の反回神経損傷に対し,人工神経を用いた再建術11例(男性4例,女性7例,中央値60歳)を後方視的に検討した。ナーブリッジ®6例,リナーブ®5例を使用し,神経欠損長に応じ神経吻合または神経移行術を行った。術後,声帯運動の回復は得られなかったが,一部症例で音声機能の改善を示唆する結果が見られた。人工神経使用による創部合併症は認めず,安全に施行可能であった。本研究は,人工神経が反回神経の機能再建の一助となる可能性を示すが,今後のさらなる症例蓄積,客観的評価,長期予後解析によるエビデンス構築が不可欠である。
  • 東野 正明, 神人 彪, 木下 一太, 武市 直大, 萩森 伸一
    2026 年35 巻3 号 p. 315-321
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー
    早期咽喉頭癌に対する経口的鏡視下手術における局所再発と頸部転移の要因の検討を目的とした。経口的鏡視下手術87例92病変を対象に発見契機,重複癌,治療内容,術後合併症,最終病理診断と再発転移の関係,治療成績を検討した。発見契機は上部消化管内視鏡が59.8%であった。重複癌は78.2%にみられた。気管切開術を9.4%に併施し,術後嚥下障害が5.7%で生じた。最終病理診断で断端陰性率は75.0%であった。局所再発が7.8%,cN0例の4.8%に後発転移があった。咽喉頭癌に対する経口的鏡視下手術における局所再発率は,断端陽性/close,照射歴ありで高い傾向がみられた。また頸部転移はcT2以上,断端陽性/close,腫瘍厚1mm以上で高率であった。
  • 正道 隆介, 大島 秀介, 尾股 丈, 高橋 剛史, 植木 雄志, 堀井 新
    2026 年35 巻3 号 p. 323-330
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー
    原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)術後の低カルシウム(Ca)血症に対するリスク評価を目的に,Ca製剤内服の有無を代替指標として後方視的検討を行った。PHPTに対する初回手術74例のうち,治療効果ありと判断された70例を解析対象とした。術後1か月以内にCa製剤を内服した症例は13例(18.6%)であり,多変量解析の結果,術前i-PTH高値(≧195pg/mL)が独立したリスク因子であった(OR=8.02, 95% CI:1.47-43.80, p=0.016)。術後1か月以上のCa製剤内服例は4例(5.7%)に認められたが,有意なリスク因子は示されなかった。
  • 安田 佳織, 辻村 隆司
    2026 年35 巻3 号 p. 331-337
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー
    甲状腺癌の縦隔進展例や縦隔リンパ節転移例では,気道確保や大血管保護のためにも手術が推奨されているが,手術方法について明確な指針はない。今回,われわれは2016年1月から2023年12月に当科で縦隔操作のために骨切開を要した甲状腺癌8例を検討した。胸骨L字切開が2例,骨部分切除が2例,Transmanubrial osteomuscular sparing approachを施行した症例が3例だった。合併症として胸鎖関節炎,創部感染,肩の可動制限,大血管損傷があった。骨切開は局在に基づいた術式選択が重要であり,適切に選択すれば安全かつ有効な手術アプローチと考えられた。
  • 松野 祐久, 古川 竜也, 四宮 弘隆, 丹生 健一
    2026 年35 巻3 号 p. 339-346
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー
    下咽頭癌に対する根治的(化学)放射線治療後の局所領域再発に対し救済手術を行った症例の治療成績を後方視的に検討した。2012年から2020年に神戸大学で治療を受けた下咽頭癌179例を対象とし,再発率,救済手術施行率,術後合併症,治療成績を解析した。救済手術は再発例の81%に施行され,救済手術群の3年全生存率は74%と良好であった。一方で縫合不全を含む術後合併症は高率であり,新鮮例と比較して有意に合併症リスクが高いことが示された。救済手術の需要が高まる中,早期再発発見のための厳密なフォローアップ,術後合併症対策の強化,術中の工夫が今後の重要課題であり,更なる治療成績向上を目指した取り組みが求められる。
症例
  • 菅原 花観, 齊藤 祐毅, 山村 晃司, 安永 瑛一, 小林 謙也, 福岡 修, 近藤 健二
    2026 年35 巻3 号 p. 347-352
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー
    唾液腺導管内癌は,2017年のWHO分類第4版で新たに提唱された疾患概念である。今回,われわれは唾液腺導管内癌と診断された耳下腺癌症例を経験したので報告する。症例は70歳男性。6か月前より増大傾向の右耳前部腫瘤を主訴に当科を受診した。診断ならびに治療目的に右耳下腺浅葉切除術を施行した。組織学的に,アポクリン分化を示す腫瘍細胞が導管内を主体に乳頭状や篩状に増殖する低~高異型度の腫瘍であり,唾液腺導管内癌 apocrine typeと診断された。apocrine typeは唾液腺導管癌との鑑別を要する。また唾液腺導管癌の前駆病変である可能性があり,慎重に経過を追うことが望ましいと考える。
  • 立上 京香, 牧野 琢丸, 牧原 靖一郎, 森 俊輔, 藤本 将平, 安藤 瑞生
    2026 年35 巻3 号 p. 353-357
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー
    従来の上顎切除術では後方,特に翼状突起基部の切断操作に難渋することが多く,近年同部位の鼻内視鏡下操作の有用性が報告されている。今回われわれは鼻内視鏡下に上顎部分切除術を行った硬口蓋滑膜肉腫の1例を経験した。症例は22歳男性。右硬口蓋の滑膜肉腫に対してendoscopic medial maxillectomy,歯齦部切開後鼻内視鏡下に後方の血管や神経の処理と翼状突起切断を行い一塊切除した。切除断端は陰性で,術後14か月経過し明らかな再発転移を認めていない。腫瘍制御の確認にはさらなる経過観察を要するが,上顎部分切除術において鼻内視鏡下の後方操作は明視下に断端の処理ができる点で有用と考えられた。
  • 佐宗 薫, 栗田 惇也, 米倉 修二, 山﨑 一樹, 花澤 豊行
    2026 年35 巻3 号 p. 359-365
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍を合併した妊娠は本邦において約0.1%の割合で存在し,甲状腺癌合併例はそのうち3.8%と報告されている。今回われわれは妊娠初期に進行甲状腺癌と診断され,超音波検査,造影CT検査から妊娠中の病勢進行が危惧されたため,分娩前の第2三半期に手術加療を実施した2症例を経験した。甲状腺癌は緩徐進行性で予後良好な症例が多い悪性腫瘍ではあるが,一部の症例では急速増大や隣接臓器浸潤をきたし生命予後QOLを損なう可能性がある。そのため妊娠中に診断された甲状腺癌では,甲状腺癌の生物学的特性を踏まえた上で母体と胎児双方に配慮して治療方法と治療時期を決定する必要があり,国内外のガイドラインの動向も踏まえて報告する。
  • 下野 友太郎, 田中 英基, 相原 勇介, 羽生 健治, 岡本 伊作, 塚原 清彰
    2026 年35 巻3 号 p. 367-373
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー
    切除不能局所進行頭頸部扁平上皮癌の標準治療は化学放射線療法である。特に高度変調放射線治療(IMRT)は,腫瘍に対して選択性の高い治療を可能にした。一方で,IMRTは精密な照射のために固定が不可欠であり,固定用マスクが必要になる。そのため,閉所恐怖症を合併している場合,放射線治療自体が困難となり得る。閉所恐怖症に対しては薬物療法,認知行動療法(CBT)が有効である。今回,当初は閉所恐怖症のため放射線治療を開始できなかったが,導入化学療法中のCBTによって放射線治療を開始,完遂できた症例を経験した。閉所恐怖症患者が放射線治療を受ける際には,心理的支援の一環としてCBTを組み込むことが有効である。
  • 堂坂 怜香, 堂西 亮平, 小山 哲史, 平 憲吉郎, 福原 隆宏, 藤原 和典
    2026 年35 巻3 号 p. 375-381
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー
    副甲状腺癌は稀な疾患であるが,手術操作による播種のリスクから術前に癌を疑い手術に臨むことが重要である。2023年1月から7月までに経験した副甲状腺癌3例について頸部超音波検査で術前に副甲状腺癌を疑い,手術を施行することができたため報告する。
    3症例とも頸部超音波検査で甲状腺下極に形状不整,境界不明瞭な腫瘤を認め,副甲状腺癌を疑い手術を行った。術後病理検査では,右反回神経と甲状腺への浸潤,周囲脂肪織浸潤を認め,副甲状腺癌の診断であった。
    よって,形状不整,境界不明瞭といった所見が副甲状腺癌を疑う所見になると考えられた。
  • 松下 大樹, 柴田 敏章
    2026 年35 巻3 号 p. 383-388
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー
    魚骨異物は日常臨床でしばしば遭遇し,口蓋扁桃や舌根部に刺入したものは摘出が容易な場合も多い。しかしながら,咽頭腔外に迷入した異物は合併症を伴うリスクもあり摘出に難渋することもある。症例はパーキンソン病を既往にもつ75歳女性で,ブリ摂取の翌日に咽頭痛のため医療機関受診し,上部消化管内視鏡では異物を摘出できずに当科に紹介された。異物は排斥されず下咽頭後壁に埋没してしまったが,Weerda型喉頭鏡下を用いて経口腔的に摘出することが可能であった。咽頭腔外に埋入した魚骨異物に対するアプローチについて文献的考察を加えて報告する。
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