頭頸部外科
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5 巻, 2 号
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  • 大西 俊郎
    1995 年 5 巻 2 号 p. 45-51
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     鼻と副鼻腔の解剖学的知識は鼻副鼻腔手術の基礎である。特に,内視鏡的副鼻腔手術(ESS-Endoscopic Sinus Surgery)を施行するためには副鼻腔の詳細な解剖を理解することが必要である。鼻腔,副鼻腔の解剖は複雑であり変化に富み,また,解剖名の定義が必ずしも明確でないものもある。また,英語の解剖名に対する適切な日本語名のない場合もある。従来,日本語で表現された解剖名が原語である欧米の意味から外れてしまっている場合もある。ここでは現在,世界的に一応のコンセンサスが得られていると思われるESSのための解剖の基本について述べる。解剖名は従来ラテン語で表現されるが,学会ではラテン語が用いられることは少ないので,欧米の学会で一般に用いられる英語の表現を基本に記載する。なお,頁数の関係でCTについては簡単に述べる。
  • 山下 公一
    1995 年 5 巻 2 号 p. 53-60
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     急速な普及をみている内視鏡下副鼻腔鼻内手術のあり方を検討するために,1世紀有余にわたって発展してきた副鼻腔炎手術の歴史と各種の手術術式をreviewした。今世紀の前半は「radicalかconservativeか」の論争のもとでradicalを指向する手術法が発達した時代であったが,手術成績は余り良好とはいえず,今世紀後半になつてconservativeな手術として鼻内手術手技が見直されて手術成績も向上した。内視鏡およびTV導入は鼻内手術を安全かつより完全に行うために重要な役割を演じている。また解剖学的個人差の多い副鼻腔を安全に手術するために,内視鏡および画像所見を良く観察し,手術手技に関する十分な研修が行なわれる必要がある。
  • ― ESSの手術器具の改良と開発―
    小澤 仁
    1995 年 5 巻 2 号 p. 61-66
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     頭頸部外科領域の中で,狭く,深く,暗い手術視野で行われる鼻副鼻腔の手術の多くは,従来は鼻外法や経上顎洞法によってなされていた。しかし,内視鏡やビデオ裝置などの発達が,前鼻孔を経由した鼻内手術の適応を拡大させ,鼻副鼻腔手術の進歩に大いに貢献している。こうした,内視鏡下鼻内手術の普及に伴い,従来の手術器具の改良と新たなる開発を余儀なくされている。鼻鏡,鉗子類,彫骨器,吸引管,メス,ノミ,剥離子,鋭匙など,内視鏡下鼻内手術用に改良・開発された手術器具は,小型で細身,かつ様々な角度に彎曲しており,外径4mmの硬性内視鏡と共に前鼻孔より挿入されても微細で正確な手術操作に支障を与えない。 本稿は,副鼻腔炎鼻内手術,副鼻腔嚢胞開放術,鼻中隔彎曲矯正術,視神経管開放術,眼窩吹き抜け骨折整復術などを施行する際に,必要とされる手術器具を紹介し,その効用と今後の改良点について検討したい。
  • 深見 雅也, 柳 清, 浅井 和康, 鴻 信義, 飯田 誠, 森山 寛
    1995 年 5 巻 2 号 p. 67-70
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     副鼻腔の臨床解剖を熟知し,症例ごとのバリエーションを把握した上で,常に紙様板,視神経管,篩骨洞天蓋,頭蓋内壁,前,後篩骨動脈,蝶口蓋動脈,内頸動脈などめ危険部位に留意すれば,内視鏡下鼻内手術の合併症のほとんどは,未然に防ぐことができる。また合併症を起こしてしまったときに,できるだけ早く気がつくように注意することも大切である。多くの合併症はすぐ気がついて,あわてずに対処すれば,大きな問題にはならない。しかし,以上のような点への配慮を怠れば,重大な合併症も起こり得る。
  • 森山 寛
    1995 年 5 巻 2 号 p. 71-73
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     誤った鉗子操作により紙様板(眼窩内側壁)を穿破し,眼窩脂肪織を引き出すトラブルは少なくない。軽度であれば眼周囲の皮下出血ですむが,血管を損傷すると眼窩内出血をきたす。眼窩内出血が高度になると眼球突出や視野の障害を来たすことがある。さらに眼筋を損傷すれば眼球運動障害を惹起する。また篩骨洞天蓋壁および硬膜の損傷により髄液漏を来たすこともある。これらの副損傷は術中出血の高度な例に多い。出血により術野を確認できないまま鉗子操作をすすめるなど,盲目的操作がいかに危険であるかが理解される。したがって安全な内視鏡下の鼻内手術を行うに際して重要な点は,1.明視下の操作2.臨床解剖の熟知,3.出血のコントロールすなわち十分な麻酔と血圧のコントロール,4.鉗子の正しい選択と使用法,5.副損傷に対する適切で素早い対処,などである。
  • ―中咽頭癌,喉頭癌―
    中溝 宗永, 鎌田 信悦, 川端 一嘉, 高橋 久昭
    1995 年 5 巻 2 号 p. 77-84
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     過去15年間の中咽頭癌と喉頭癌の頸部郭清術の結果を検討し,術式の選択,郭清の範囲,予防的郭清について報告した。まず中咽頭癌での郭清術の成績をもとに根治的あるいは保存的郭清の術式選択の原則を示した。次に病理学的転移陽性例の領域別転移頻度を算出し,その頻度から中咽頭癌側壁型では患側内外深頸,健側上内深頸領域,前壁型では両内深頸領域,声門上部喉頭癌では両内深頸領域,声門癌では患側内深頸,気管傍領域を主として郭清すべきであると考えた。予防的郭清の適応については喉頭癌の病理学的転移頻度を検討し,声門上癌進行例とT2以上の放射線治療後の残存・再発例でその適応があると考えた。
  • 吉野 邦俊, 佐藤 武男, 藤井 隆, 稲上 憲一, 市野 直樹, 橋本 典子, 上村 裕和, 長原 昌萬, 馬谷 克則
    1995 年 5 巻 2 号 p. 85-94
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     喉頭扁平上皮癌における最適の頸部郭清術の術式と適応を明らかにするために,当科で根治治療を行った一次例1,045例(1979~93)を対象にretrospectiveに検討した。検討項目は頸部リンパ節転移率,転移部位,頸部郭清術式と再発率,声門下進展と傍気管リンパ節転移率および傍気管郭清術と再発率であった。 臨床的N0例の予防的頸部郭清の適応について,発癌部位とT分類別に決定し,20%以上の潜在性転移率を持つ症例群とした。 郭清術式はN0,N1,N2aではMND,N2bではMNDまたはMRND,RND,N3ではRNDが適応と考えた。 傍気管郭清は高度声門下進展例(grade3以上)が適応となり,その術式は現在の我々の方法が妥当であると考えた。
  • 岡本 美孝, 松崎 全成, 横溝 道範, 更級 則夫, 吉野 泰弘, 戸川 清, 花沢 秀, 今野 昭義
    1995 年 5 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     当教室で20年間に根治治療を施行した新鮮舌癌143症例の実測3年生存率は79.7%であり,その内訳はstage I:94.1%,II:88.9%,III1:85.1%,IV:40.0%であった。これらの症例をもとに舌癌治療における頸部郭清術の意義,術式について検討を行った。N0症例では予防的頸部郭清術の意義は認められるが,原発巣から潜在的リンパ節転移の評価は困難であること,他方,舌を半分以上切除する場合は皮弁再建が必要であり,その場合吻合血管確保の意味からも保存的頸部郭清が必要と思われた。N+症例では原発巣と共にen bloc切除が必要であり,根治的頸部郭清が望ましいと考えられた。
  • 岡本 牧人
    1995 年 5 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     下咽頭頸部食道癌89例の頸部転移について検討した。全例の5年累積生存率(以下,5生率)は55%であった。 N0:30例,N1:14例,N2a:16例,N2b:16例,N2c:8例,N3:5例であり,5生率はそれぞれ70%,58%,39%,49%,58%,25%であった。転移部位は中深頸部,上深頸部,下深頸部,後頸部の順に多かった。健側転移は7例8部位にみられた。 頸部転移の手術治療は両側郭清(内頸静脈保存)を原則とした。pN+は54%であった。根治照射のみは37例あり,NO,N1の18例はコントロールされた。死亡時頸部転移が認められたものは10例であった。頸部転移による死亡例の減少が好成績の要因と考えられた。
  • ―術前放射線・化学療法併用例について―
    冨田 吉信, 小宮山 荘太郎
    1995 年 5 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     下咽頭癌の頸部郭清術について,1976年から1990年までの15年間に当科で一次治療を行った下咽頭癌80例について検討を行った。当科では1984年より術前治療としてFAR療法30Gyとシスプラチン・ペプロマイシンを中心とした化学療法を2クール行っている。31例の下咽頭癌頸部郭清術施行例を検討した結果,当科の頸部郭清術の基本方針である,(1)予防的頸部郭清術はしない(2)術前の放射線化学療法を行う(3)腫瘍の浸潤がなければ副神経・耳下腺は存在する(4)術前治療でNが消失しても手術は行う(5)内頸静脈や胸鎖乳突筋を保存する保存的頸部郭清術はしない,という方針は妥当なものと思われた。
  • 鈴木 晴彦, 江畑 康哉, 三浦 巧, 遊座 潤, 日野 剛, 沼田 勉, 今野 昭義, 金子 敏郎, 長尾 孝一
    1995 年 5 巻 2 号 p. 117-125
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     10年間に耳下腺腫瘍268例中粘表皮腫8例3.0%を経験した。顔面神経麻痺と疼痛は1例ずつに,周囲との癒着は全例に見られた。超音波検査では,7例中6例が悪性型,1例は中間型であり,中には悪性度を類推できるものがあった。細胞診では6例中5例が悪性と診断できたが,組織型までの正診は2例であった。手術は,全例耳下腺全摘出と周囲の癒着部位を含めた切除を行った。リンパ節の認められた5例に上頸部リンパ節郭清を行い,2例が転移陽性であった。術後照射は4例に行った。予後はhigh grade malignancyの1例が局所再発死,他は全例非担癌生存している。我々は新しい悪性度分類を提示し,悪性度より,治療態度をかえるべきであると考えた。
  • 隈上 秀高
    1995 年 5 巻 2 号 p. 127-133
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     若年性鼻咽腔血管線維腫(JNA)の進展例に対し,完全摘出のため拡大手術が一期的に行われているが,JNAは組織学的に良性腫瘍で自然退縮する例もあり,その殆どが思春期に治療が実施されることや手術の合併症等を考慮すると,進展例に対し,自然退縮を待ち,より縮小された手術が施行できる可能性についての議論も必要かと思われる。その際,長期間経過を観察した例が参考になると思われるが長期間観察例の報告は少ない。今回,初診より8年後に完全摘出したJNAの一例を経験し,性ホルモン,成長因子(FGF)の局在について酵素抗体法を用い治療前後の腫瘍組織像で比較検討し若干の知見を得たので,その経過,治療と合わせ報告する。
  • ―その有用性と安全性―
    河田 了, 安田 範夫, 村上 泰
    1995 年 5 巻 2 号 p. 135-138
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     多形腺腫は基本的に良性腫瘍であるが,時に被膜が脆弱なことがあり,細胞播種をおこして多中心性の再発をみることがある。したがって,核出術は禁忌とされている。そのためまず顔面神経を確認し腺組織を切っていくことになる。腺組織は血管が豊富なため,出血に悩まされることがしばしばある。そこで我々は電気メスを多用して手術を施行している。電気メスを用いる利点としては,腺組織の切離に際して,出血が少ないことのみならず,皮膚剥離の限度や顔面神経本幹への距離を顔面筋の収縮により知ることができる。そのためには麻酔中,筋弛緩剤を用いないことが肝要である。この方法で行った耳下腺浅葉の良性腫瘍症例を検討したところ,術後永久的な麻痺をおこしたものはなかった。
  • 神崎 仁, 井上 泰宏, 吉原 重光, 佐藤 靖夫, 國弘 幸伸, 塩原 隆造, 戸谷 重雄
    1995 年 5 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     頭蓋内顔面神経吻合術を施行した20例中術後1年以上経過した16例の顔面表情点をHouse-Brackmann法で評価した。これらの結果を舌下神経一顔面神経吻合例29例のものと比較した。 直接吻合例の成績が神経移植(腓腹神経移植)より良好であり,舌下神経一顔面神経吻合よりも良好であった。直接吻合例中reroutingによる他に大浅錐体神経との吻合を行い良好な結果を得た。頭蓋内吻合は顔面神経の再建法として第一選択とされるべきである。
  • 高橋 光明, 藤田 豪紀, 松井 玲子, 中島 築
    1995 年 5 巻 2 号 p. 145-149
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     今までに3例の咬筋内腫瘍患者を手術的に治療した。手術は耳介近傍から顎下部にかけて外切開を行なった後,1例は経耳下腺法,2例は頬部の皮膚を挙上する手術法で周囲筋組織を含めて腫瘍を摘出した。術前に腫瘍の咬筋内の局在が判定できた場合,後者の方法が咬筋内腫瘍に対して最も適切な方法と考えられた。その理由は耳下腺を操作せずに,ステノン管と顔面神経を明視下におきながら短時間で咬筋へのアプローチが可能であることによる。
  • 藤井 隆, 佐藤 武男, 吉野 邦俊, 馬谷 克則, 稲上 憲一, 橋本 典子, 上村 裕和, 長原 昌萬
    1995 年 5 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     1979~91年の声門上癌N0手術症例148例を対象に,予防的頸部郭清術の適応と郭清範囲を検討した。潜在性頸部転移例は46例(31%)で,両側転移は20例に,傍気管転移は4例にみられた。T病期別頸部転移率は,T1,0%(0/1);T2,17%(9/54);T3,36%(24/66);T4,48%(13/27)であった。T病期分類と佐藤分類を用いることにより,予防的頸部郭清術の適応(潜在性頸部転移率20%以上)は,T3・T4症例と一部のT2症例(transglottis,lateral typeとsupraglottis,median type)と考えられた。郭清範囲は,transglottis,lateral typeは患側の,それ以外は両側の内深頸リンパ節群であり,顕著な声門下進展例では傍気管部郭清も必要と考えられた。
  • ―新鮮29症例を中心に―
    石川 和夫, 桃生 勝巳, 倉田 修一, 横溝 道範, 戸川 清
    1995 年 5 巻 2 号 p. 159-164
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
     当教室で取り扱った中頭蓋窩法による聴神経腫瘍摘出例31例のうち新鮮例は29例で,男性15例,女性14例であった。年齢分布は,13歳~69歳,平均年齢は51.6歳であった。内耳道内に限局したものが2例,1cm以内の小腫瘍が11例,2cm以内の中腫瘍が7例,2cm以上の大腫瘍が9例であった。大腫瘍の3例を除く26例でほぼ全摘した。顔面神経は,3例で切断し,うち2例は,端々吻合,1例は,腓腹神経移植を施行した。術後の顔面神経麻痺の成績は,House-Brackmann grading systemに基づいて,GradeI が14例,GradeII が7例,GradeIII が8例であった。また,9例において聴力が保存され,うち1例は,著明な改善をみた。
  • ―その適応と郭清範囲について―
    長谷川 泰久, 松浦 秀博, 中山 敏, 藤本 保志, 曽賀野 悟志, 亀井 壮太郎
    1995 年 5 巻 2 号 p. 165-168
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     甲状腺乳頭癌N0症例に対して如何なる郭清術を行うのが合理的かについて検討した。甲状腺癌取扱い規約のI~IV に加えて,IV,VI に相当する内深頸、リンパ節と鎖骨上窩リンパ節の郭清をするJugular Neck DissectionをNO44例に行った。これらの病理組織学的リンパ節転移率は84%で,内深頸リンパ節でも75%と高率であった。合併症は副神経,反回神経の損傷,乳び漏が各1例であり,非郭清部の再発例はない。N1全頸部郭清35例における副神経リンパ節へ転移率は上6%下18%と他の領域に比べて低率であった。そこでJugular Neck Dissectionは選択的郭清術として合理的であり,合併症も少なく適切な術式であると言える。
  • 西川 邦男, 米田 孝明, 江谷 勉, 石井 俊二
    1995 年 5 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     上顎全摘出後の再建は,豊富な筋体量を有する腹直筋皮弁が死腔充填に適しているが,筋体萎縮を伴う顔面変形や眼窩内容および再建口蓋の下垂がしばしば著明となる。これらの術後変形を防ぐためには,骨性支持組織が必要である。 我々は,眼球を温存する上顎全摘出術後の再建に,angular branchを温存した血管柄付き分割肩甲骨皮弁を用い,眼窩下壁および頬部~顔面口蓋骨の同時骨再建を行ない,良好な顔面形態を得ることができたので,再建術式を報告する。
  • 長原 昌萬, 佐藤 武男, 吉野 邦俊, 藤井 隆, 稲上 憲一, 橋本 典子, 上村 裕和, 市野 直樹
    1995 年 5 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
     当科にて1979年から1991年の間に,手術治療を行った大唾液腺上皮性腫瘍196例のうち悪性腫瘍40例(耳下腺19例,顎下腺18例,舌下腺3例)を対象に治療成績について検討した。病理組織型ではadenoid cystic carcinomaが15例と全体の38%を占めていた。N+例は全体の30.5%を占めていた。N+例の5年粗生存率は18%,頸部再発は64%であり有意に予後が悪かった。発生部位別5年粗生存率は,耳下腺は46%,顎下腺は53%であった。一次根治例の頸部再発率は耳下腺で19%,顎下腺で50%であった。頸部制御例の遠隔転移率は30%であった。
  • 目澤 良憲, 吉野 尚, 滋賀 秀壮, 飯沼 壽孝
    1995 年 5 巻 2 号 p. 181-184
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     悪性黒色腫は予後不良の疾患で,とくに鼻腔などの粘膜原発例は皮膚原発例に比して希で,尚かつ予後は不良である。 今回我々は1986年から1994年の9年間に当科で加療した鼻副鼻腔悪性黒色腫4症例について検討した。 症例の内訳は鼻副鼻腔粘膜原発の4症例で性別は男性3例,女性1例で年齢は18歳から78歳で平均47歳であった。主訴は鼻出血が大部分で症状出現から初診までの期間は2年から1カ月で平均14カ月であった。確定診断は病理組織診断にて行った。最近経験した症例ではMRI検査及び123I-IMPシンチ検査において特徴的所見を得,これらの検査は悪性黒色腫の補助診断法として有用であると思われた。
  • 西嶌 渡, 竹生田 勝次, 角田 玲子, 寺田 寿美子, 合津 和央
    1995 年 5 巻 2 号 p. 185-192
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     副神経,頸神経,胸鎖乳突筋,を保存して行う機能的頸部郭清術を紹介する。本術式は長年のRNDの経験から工夫された方法ある。本術式は頸部リンパ節転移が一番多いと考えられる上内深頸部において,リンパ節の郭清がRNDと同程度に行え,且つ,頸部郭清術の後遺症が最小に保たれる事を目的にした手術方法である。副神経は胸鎖乳突筋を横切る所で同定し保存する。頸神経は,郭清の際に剥離の方向を工夫し深頸筋膜を確実に残すことで保存する。胸鎖乳突筋とその表層の皮膚との間の剥離は最小とし,胸鎖乳突筋の裏面を脂肪塊から剥離することで郭清を行う。
  • 吉田 茂, 山口 展正, 森山 寛
    1995 年 5 巻 2 号 p. 193-197
    発行日: 1995/11/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     頬骨・上顎骨骨折16症例に対して観血的整復術を施行した。整復術は眉毛外側切開により転位した頬骨骨折部を頬骨下よりエレバトリウムにて挙上し,歯齦部切開による上顎洞内からと双方からのアプローチにより定位置に整復した。 ミニプレートを用いて固定する方法が広く行われていたが,上顎骨の薄い骨の粉砕骨折や眼窩下縁部の粉砕骨折に対して固定困難なことがある。そこで下鼻道経由のバルーンカテーテルを用いて上顎洞の内側から枠組みを固定し,フィブリングルーを用いて骨折片を補強する簡易な方法を試み経過良好であった。
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