園芸学会雑誌
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18 巻, 3-4 号
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  • 福島 榮二, 徳増 智, 小黒 英一
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 121-128
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 新しい育種の紀材として多數品種の倍數體を育成し, その中から優良なものを選拔する手掛りとして大根及び菜類の四倍體の示す變異の樣相を報告するものである。
    2. 大根10品種, 白菜11品種, その他若干の菜類の人爲四倍體を材料として1946年より1望8年に亙つて發芽性 bull;生育速度•開花期及び稔性(自家及び他家授粉によう)を調査し, その對照二倍體からの變異を検討した。
    3. 發芽性について四倍體は二倍體に比しやゝ發芽歩合が低い傾向を示したが, その差は平均0.8乃至0.5%で僅少なものであつた。四倍體は品種によつて最高100%から最低34%までの變化を示した。
    4. 生育についての一指標として葉數を總計し, 平均を求めて各品種による四倍體と二倍體の葉數増加の傾向を調べたが, 一般に四倍體は二倍體に比し生育の遲延を示すか, 或は二倍體と同程度の生育を示したが, 二三の品種 (滿洲紅丸大根, 京城•辻田白菜等) にあつては逆に四倍體は生育の旺盛を示した。
    5. 開花期は一般に四倍體は二倍體に比して遲れる傾向にあつたが, 年次的な變化が大きく, 同一品種にあつても四倍體が二倍體より早く開花する年と遲く開花する年などがあつて一定の關係が見られない事があつた。然し, 開花の遲速は凡そ品種固有のものであり, 年次に拘らず, 四倍體が二倍體より早く開花するものと, 遲く開花するものとがあり, 早いものでは滿洲紅丸大根でその差が5乃至8日, 遲いものでは包頭連白菜が11乃至15日の差を示したことが注目された。
    6. 稔性について自然放任下に於ける結實性を檢したところ, 四倍體の一角當りの完全種子數は, 大根に於ては最高は白首宮重の4.04粒, 最少は美濃早生の2.40粒, 白菜にあつては最大は縮緬の10.98粒, 最少は花心の2.28粒で, 二倍體は四倍體の1.5乃至2.5倍の稔實數を示した。種子の重量は, 四倍體は二倍體より重く略々1.5倍を示した。
    7. 自家及び他家授粉によつて稔性が檢討されたが, 四倍體と二倍體との間に相當の差異があり品種によつても一定の關係がなかつた。一般に四培體•二倍體其他家授粉の方が稔度が高かつたが, 二三の品種 (芝罘•京城白菜等) では染色體倍加によつて自家稔度が増し, 他家稔度が減ずることが認められた。
    8. 尚, 開花後授粉, 開花當日授粉, 蕾授粉が比較されたが, 蕾授粉にあつては四倍體は二倍體に比し, 自家受精力が減じ, 逆に開花授粉によつて自家受精力が増した。他家授粉では, 開花授粉及び蕾授粉に於て四倍體は二倍體より劣り, 開花1日後授粉に於て優れていた。
  • 第1報 WALLFLOWER, STOCK 其他の倍數體について
    齋藤 清
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 129-137
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    In 1948 several polyploid flower plants were induced by colchicine treatment: These primary plants are summarised as follows:
  • 杉山 直儀, 西 貞夫, 加藤 徹
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 138-149
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. ソラマメ (品種は早生) を10月28日, 3月15日, 4月5日の3囘に播種し, 更に10月28日播のものは一部を鉢植としてガラス室内に栽培し, 分枝状態, 開花及び結實について調査したが, 秋播は第一次分枝及び第二次分枝が多いのに對し, 春播したものは殆んど第一次分枝のみで, 分枝數は著しく少なかつた。又秋播露地區では主枝は冬期枯死し, 第一次分枝も枯れるものが少數あつたが, ガラス室區はこのようなことはなかつた。
    2. 秋播したものは着花節數が多く, よく結實したが, 春播したものは着花節位が上昇し, 着花節數も少なく, 開花數も減少し, 從つて結莢數は秋播のものに比べて可なり少なく, 殊に4月5日播區は殆んど不稔に近かつた。3月15日播區は23本中3本, 4月5日播區は同じく23本中19本が全く不稔であつた。
    3. 10月28日播の材料について摘葉, 摘心, 摘花の影響を檢した結果は, 摘葉區は分枝數, 開花數, 結實數共に少なく, 摘心區は分枝はやゝ増加するが, 開花數, 結實數はやゝ減少し, 結莢歩合の増加も見られなかつた。摘花區は榮養生長が著しく旺盛で枝の伸長及び分枝がさかんとなり, 開花數も著しく増加した。
    4. 枝の下部の花は止り易く上部にゆくに從い實數は少なくなり,一つの枝の中で下と上の間に養分に對する競爭があることを認めた。又1花序中2花以上の花がある時は第1花がよく止り, 第2花以上の花の止りが著しく低いが, これは下の花を摘除すると第2花以上の花の止りがよくなることから, 1花序内ではげしい養分に對する競爭があり, 上位の花が止らないことを明かにした。
  • 福田 照, 黒井 伊作
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 150-154
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    (1) 果樹體内の貯藏澱粉の季節的消長を葡萄, 桃, 梨, 柿に就いて5月から11月に亙り顯微化學的に觀察した。
    (2) 生長最盛期の極小と休眠期前の極大は過去の實驗と一致した。
    (3) 伸長緩慢となると共にかなりの蓄積が行われ8月から9月下旬までは蓄積の減少並に停滯が見られた。
    (4) 開花と新葉展開との關係並に果實の成育との關係等の短期間に起る樹體生理の變化は顯微化學的觀察では明かになし得なかつた。
  • III 土壤水分と植生との關係 (第1報) 桃•梨•柿實生の生育に及ぼす土壤水分の影響
    森田 義彦, 米山 寛一
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 155-165
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 本實驗は2囘に行われ, 第1囘は4月12日~5月31日の間に梨, 桃の實生を15, 20, 30, 40, 50%, 第2囘は6月2日~7月17日の間に梨及び桃を夫々10%以下, 30, 45%及び10%以下, 10, 30%に, 柿を15%以下, 15, 20, 30, 40, 50%の土壤水分の壤土鉢植に生育せしめ, 地上部伸長成長を測定し, 實驗打切時には地上, 地下部の重量を測定又地下部の觀察及び一部葉中の窒素含量の測定を行つた。水分の調節は毎夕容器毎に秤量し, 計算により求めた所定の含水量時のボット全重量との差だけの水量を補つた。
    2. 葉が萎凋, 變色, 乾燥する時の土壤水分は梨8.5% (容水量の22%), 桃6.8% (18%), 柿11% (29%), (但し壤土に於て) であつた。地上部の伸長生長の停止する土壤水分含量は梨14~15% (37~39%), 桃13% (34%) であつて柿は20% (52%) にても伸長を示さない。桃は乾燥に強く20% (52%) にても比較的良く生長した。地上部の伸長の最適の水分含量は何れも30~40% (79~105%) であつて特に柿にては40% (105%) の方が旺盛であつた。
    土壤水分50% (131%) の時は浸水状態を示し, 何れも地上部の生長は不良となり, 特に梨が惡く小葉であつた。尚桃は特に葉が黄變し易く40% (105%) にて黄變し, 梨は45% (118%) にて黄變した。柿は50% (131%) にても初めの間は黄變しなかつたが小葉であつた。葉の黄變, 矮化は窒素缺乏の象徴であり同一種類の果樹の間では葉中の窒素含量と一致していた。
    3. 地下部の重量は梨, 柿に於ては土壤水分含量に對し地上部の重量と同樣の影響を受け前記の地上部の生長と概ね同じ傾向を示すが桃のみは乾燥しても地下部の生長は地上部に比し大であり, この關係はT/R率に明らかで, 30%區 (79%) が2.38對し15% (39%), 20% (52%) 區にては夫々1.21, 1.61となつている。土壤水分含量が40% (105%) となると何れも地上部の生長が地下部の生長に比し大となつてT/R率は増加しており, 50% (131%) となると何れも甚しく地下部の生育が不良となるが特に梨が甚しくT/R率がにも達している。
    根の觀察によると40%區 (105%) に於て桃は既に主根基部に皮目を生じ過濕の状態を示すが, 柿は白色吸收部多く30% (79%) と同程度の新根の生長を見た。梨にては45% (118%) にて僅に皮目を生じた。50% (131%) となり浸水状態となると主根先端は黒變枯死し, 基部に皮目を著しく生じ, その部位より地表面に沿い新根を出し, この部位が漸次上昇していたが特に梨に甚しかつた。
    4. 以上の如く單に地上部の伸長生長のみでなく葉の形質, 窒素の吸收, 根部の發育及び機能を調査する時は, 健全な幼樹の發育の爲に必要にして且充分な土壤水分含量は寧ろ20~30% (容水量の60~80%位) であり, この間にあつて果樹の種類により適性を異にする。即最適の水分含量はこの範圍内にあつて桃では乾燥側にあり, 梨特に柿は寧ろ濕潤側にある。
  • 伊藤 庄次郎, 治田 辰夫, 光島 豊
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 166-182
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 結球白菜は蔬菜として又種苗業として極めて重要な位置を占め, 優良性は勿論であるが, 特に均等性と永續性の高いことが強く要望される現状にあろ。從來行われてきた集團淘汰の方式では, かゝる期待に副い得る品種の育成が不可能であるとの見地から, 當農場に於ては分系育種による固定系統間の F1 利用の方式を以てその育種を行つている。本報告はその育種事業の一部であつて, 昭和19年から昭和23年に行つた結球白菜に於ける Pseudogamy による固定系の育成と育成系統の利用についての育種經過を纒めた。
    2. 白菜の Pseudogamy は花粉親として大根が比較的效果的であり, S. alba や花椰菜はその發現頻度が低く, 大芥菜や B. carinata は眞正雜種の生成を伴うので何れも適當でないかにみえた。
    3. Pseudogamy の發現頻度は母親とした白菜品種の系統乃至個體によつて違つた。その原因は不明であるが, この成績かちみてかゝる授粉操作はなろべく多くの系統や個體に分割して行うことが效果的であろう。
    4. Pseudogamy の誘起頻度は全體では授粉花數16581花に對して傾母型29個體すなわち0.15%, 最高では0.56%であつた。
    5. 傾母植物は凡て倍數母型で, その生成機構は究明しなかつたが, 自殖による後代處理によつて同型接合の如く見做し得るものと, 後代に形質の分離を示したものとがあり, 前者は檢定した11個體中僅に2個體であつた。
    6. 傾母植物については, 續く3世代に於て自殖, 系統内及び系統間の相互交配によつて, その固定性を鑑定し系統間の F1 組合せを檢索した。この場合一般的經濟形質の他, F1 の自然採種に備えるため, 自家不和合であり系統間は相互に交配和合であることを, 育種の處理目標とした。
    7. 昭和19年から昭和22年に至る以上の處理によつて, 2系統 F1 1組合せを育成した。2系統は夫々芝罘白菜と京都白菜3號に由來し, 共に自家不和合, 相互には交配和合性であり, その F1 は從來の品種に比べて, 草勢旺盛, 諸形質極めて均等且優良であつた。
    8. この兩系統を蕾授粉によつて増殖し, これを混植して自然授粉に放任する方法により, 殆ど100%に近い交雜率と普通程度の反當採種量を以て, F1 種子が採種できた。この方式は既に企業化されている。
    9. Pseudogamy の誘起頻度は極めて低いが, これは授粉操作の容易なことによつて補い得られる。そして同型接合の如く取扱い得る系統の育成される可能性があり, しかも育成年限が極めて短いので, 本報の如き方式は或程度效果的な育種法としてとりあげ得ると思われる。
    10. 形質差のある F1 を Pseudogamy 誘起の母植物とすること, 温室や電燈照明設備を使うこと, 品種間 F1 の如く遺傳的差異のある F1 組合せを狙うこと等を心掛けることによつて, この育種方式は更に效果的となるであろう。
  • 平井 敬藏, 日高 醇
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 183-186
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    この報告の示す大要は次の樣である。
    (1) 苹果の縮果病の發生はその園土のもつ水溶性硼素量と關連が深い。
    (2) 試驗の示す範圍から1本の樹に對し30~60匁の硼砂を施すことによつて縮果病は先ず囘癒することが可能である。
    (3) 硼砂を一度與えればその效果は初年度限りのものではない。兩三年は十分である樣に思われる。
  • 萩原 十, 景山 美葵陽, 平岡 達也
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 187-188
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 石黒 嘉門
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 189-197
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1) 茄, トマトの連作圃場 (茄11~22年) (ドマト4~12年) に於いて茄, トマト品種の青枯病に對する耐病性檢定を行つた。
    2) 茄品種の耐病性は各年の氣象状況によつてかなり發病率に差を生じたが平均成績では大阪中長, 久留米長, 大阪長は最も耐病性強く, 次に河野, 本長, 橘田, 河邊長, 報國, 南部長の順で蒂紫, 中生山, 埼玉眞黒, 民田, 蔓細千成等の卵形品種は特に弱かつた。
    3) トマトの發病率は茄と異り連作年數の増加と共に各品種共發病が多くなり連作11~12年では品種間の發病率の差がなくなつたが各年の平均成績では Delicious, June Pink, Break o'Day, Best of All, King Humbert, Golden Queen の各品種が發病率がやや少なかつた。
    4) トマトの平均發病月日では Self Pruning, Coopers Special は各年共に發病が早くJune Pink, Best of all, King Humbert, Golden Queen は概して發病が遲れた。
    5) トマトの發病率と發病月日から Best of All, Delicious, Break o'Day, Golden Queen, June Pink, King Humbert は多少耐病性が強い傾向を認めた。
  • 萩屋 薫
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 198-201
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 飯島 隆志
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 202-212
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1) 菜豆, 虹豆類に關する分類學的研究の一端として菜豆68, 虹豆18品種の材料により主として外部形態上の比較を行つた。
    2) 從來の記載に於ける虹豆の蕚片の四裂は五裂に, 虹豆の全株平滑無毛とあるは有毛と訂正すべきである點を指摘した。
    3) 出葉直後の本葉の形態, 托葉の形態, 毛茸の形態, 子實の色澤上の差異等分類面に役立つ新しいと思われる記載を行つた。
  • 渡邊 齊, 桑原 勉
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 213-225
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    (1) 本實驗は, 荳科蔬菜の開花結實性の大要を考察し, 且菜豆品種間の開花結實性を生態的に調査したものである。
    (2) 荳科蔬菜5屬, 9種を用いた實驗で開花結實性に大きな影響を及ぼす環境要素として, 氣温並びに濕度が考えられる。特に晝間, 夜間の温度較差は大きな條件の樣に考えられた。
    (3) 生育期中の雨量も, 開花結實に大きな影響を及ぼすものと考えられる。
    (4) 菜豆品種の生態的調査は, 各地より蒐集した170品種につき, 4月22日, 6月23日, 8月10日の3囘に分播し, 各季節に於ける開花結實性の相違を觀察して行われた。
    (5) 生態調査の結果, 菜豆品種を諸種の觀點から分類した。その分類された樣式は次の通りである。(4月22日播の場合を (1), 6月23日播の場合を (2), 8月10日播の場合を(3) で表わす)。
    i) 開花所要日數による菜豆品種の分類
    a) (1)>(2)>(3) 型
    b) (1)<(2)>(3) 型
    c) (1)>(2)<(3) 型
    d) (1)<(2)<(3)型
    ii) 開花所要積算温度による菜豆品種の分類
    a) (1)>(2)>(3) 型
    b) (1)<(2)>(3) 型
    c) (1)>(2)<(3) 型
    d) (3)>(2)>(1) 型
    e) (1)=(2)=(3) 型
    iii) 落花歩合による菜豆品種の分類
    a) (1)>(2)>(3) 型
    b) (1)>(2)<(3) 型
    c)(1)<(2)>(3) 型
    iv) 結果歩合による菜豆品種の分類
    a) (1)<(2)<(3) 型 (栗原型)
    b) (1)>(2)>(3) 型 (大金時型)
    c) (1)>(2)<(3) 型 (鶉型)
    d) (1)<(2)>(3) 型(常富型)
  • 岡田 正順
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 226-232
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 長日期間中に短日操作を行い花芽を分化させ長日に戻したもの及び自然日長に於て花芽分化せるものに, 電燈照明に依り長日條件を與えた場合, 菊は柳芽を生じた。
    2. 柳芽の苞は正常蕾の苞より10枚以上多く, 且最外部のものは柳葉となる。
    3. 柳葉中の花芽はその頭状花序中に苞を發生し, 更に花序の最下部の小花の數個のものはそれぞれ一つの頭状花序を形成した。
    4. 8月上旬に於ける實際の日長時間は天候に依りしばしば菊の花芽分化期である9月上旬の日長時間と同じ長さになり得る事がわかつた。
  • 田村 輝夫
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 233-236
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    百合の鱗片繁殖に於ける小球の生成に及ぼす温度, 濕度, 光線の影響に就いて小實驗を行つた。
    1) 温度及び濕度に就いては低温 (21°C) 前後で濕度中庸の場合が小球の生成, 發育, 及び根の發達とも最良であつた。
    2) 1鱗片に生ずる小球の數は濕度が中庸 (容水量の50%) の場合に於ても最も多く, 多濕となると少くなり, 乾燥濕 (吸着水のみ) の場合に最も少なかつた。
    3) 鱗片に小球が生成する際に光線は不要である。
  • 野呂 癸巳次郎
    1949 年 18 巻 3-4 号 p. 237-240
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 東京都下に多く散在するキクイモに酷似する菊科植物は開花期キクイモより1ケ月早く且つ小形の塊莖を有し Helianthus macropoyllus WILLD. var. sativus の學名を有するものたるを確めた。
    2. 牧野博士の指示に依り和名をキクイモマガイと命名する。
    3. 本種は多年生にしてキクイモに酷似するも主幹の丈けは稍低く太さは比較的細くして基部の幼葉は比較的小さくキクイモと稍異なる。開花期はキクイモモドキとキクイモの中間にして, その他地上部の性状に於ては異なる點を認めない。
    4. 塊莖内の糖分は少なく果糖製造の原料としては劣るも蔬菜としてキクイモに優るものと認むる。
    5. H. tuberosus L. と H. macrophyllus WILLD. の交配種に Fussean なる一品種ありて塊莖の形状等キクイモマガイに酷似し形大, 塊莖内の諸成分含量%は兩者の中間に屬し蔬菜用なるも從來 H. tuberosus L. の一品種と認められている。
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