園芸学会雑誌
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22 巻, 4 号
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  • 浅見 与七
    1954 年 22 巻 4 号 p. 193-196
    発行日: 1954年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
  • 今津 正, 大沢 孝也
    1954 年 22 巻 4 号 p. 197-202
    発行日: 1954年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    (1) NaCl が 2, 3 の蔬菜の生育及び養分吸収に及ぼす影響を調べる為, NaCl を種々濃度に含む 養液を用い, ガラス室内でイチゴについて水耕 (1951), ネギ, タイサイについて砂耕試験 1952) を行つた。
    (2) イチゴには, 標準区に春日井氏畑作物水耕培養液を用い, 之に NaCl を夫々, 500, 1,000, ,500, 2,000, 3,000ppm に加えた各区を設け, 又ネギ及びタイサイには, 標準区に HOAGLAND 氏培養液を用い, 之に Na-Cl を夫々, 2,000, 4,000, 6,000, 8,000, 10,000ppm に加えた各区を設けた。
    (3) イチゴ, ネギ, タイサイの処理開始後の培養期間は夫々, 38, 64, 60日であるが, 3者の中ではイチゴが最も弱い様で, NaCl 3,000ppm 区では, 葉縁焼け, 根の黒変等の症状を現わし生育が悪い。ネギ, タイサイは, NaCl 10,000ppm 区においても枯死せず, 殊にネギでは矮化以外に明確な塩害症状は認められなかつた。しかしタイサイでは, NaCl 高濃度区で葉が粗剛となり彎曲し, 緑色が濃くなり, 下葉が枯上る症状を示した。
    (4) NaCl 区における矮化の様相は作物によつて異 なるが, 概観的には NaCl 濃度と共に大体漸進的であつて, 急に矮化する濃度は認められなかつた。
    (5) 糖分測定の結果, 過剰の Cl は作物の炭水化物代謝を妨害する様に認められた。
    (6) 地上部収穫材料の無機要素の分析結果によると, 培養液中の NaCl 濃度が高くなるに従つて次の如き傾向が見られた。即さ Na 及び Cl は, 何れの作物においても増加するが Cl の方が Na に比して吸収が大きい。他の N, P, K, Ca, Mg 等は, イチゴでは高濃度区で減少するが, ネギでは何れも大きな変化がなく, むしろやや増加の傾向を示すものがある。タイサイではNが増加
    する他は, K, Ca, Mg は著しく, 又Pは僅かに減少する。
  • 高温期に於けるレタスの生態
    岩間 誠造, 甕 淳
    1954 年 22 巻 4 号 p. 203-216
    発行日: 1954年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. Head Lettuce の中, Crisphead type の2品種 (Great Lakes, New York No. 12) を用い, 温度と花芽分化•抽苔•生長条件•病害進展状況等の関係を知り, 異つた標高における栽培方法を確立するため, 標高(1952年) と播種期 (1951年及び1952年) を変え, レタスの受ける温度を変えて試験した。
    2. 花房分化は積算温度により, 有効積算5°C以上で Great Lakes では平均 1700°C 内外, New York No. 12で 1500°C 内外で行われる。
    抽苔は, 花房分化後の平均温度が高い時ほど早く, 20~25°C では 10~20 日後, 15~20°C では 20~30 日後,15°C 以下の低温となると座止するに至る。筒花房分化後の抽苔速度は品種によつて差がなく, 花房分化の遅速が抽苔の遅速を決定する。
    花房分化•抽苔は日長には影響がないようである。
    3. 生育適温は, 平均気温 18~21°C で, 特に結球はこの温度を経過することによつて, 良品が得られる。生育適温を越え高温になるほど生長率は落ちるが, 白菜のように甚しく悪くはならないが, 早期抽苔, 病害の多発等のため栽培が制限される。
    4. レタスの生育は, 播種後75日位の生育量の少い幼苗期と, その後急激に生長し結球期に入る2つの生育相に分けられる。
    一般に若齢の時期は, 高温, 病害にも比較的鈍感であるが, 齢が進み結球期が高温であると, 尻腐病(Bottomrot), 葉焼病 (Tipburn) を誘発し易い。
    5. Slowbolt の Great Lakes を用いると, 長野県の標高で, 800~900m以上の地帯では, 真夏を中心とする栽培が可能である。以下標高が低くなるにしたがつて上昇気温期には早く結球を完了するように早播し, 下降気温期には遅く播種せねばならない。
  • 夏出し菠薐草の抽苔を中心として
    岩間 誠造, 浜島 直巳, 甕 淳, 梶田 貞義
    1954 年 22 巻 4 号 p. 217-222
    発行日: 1954年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 1951年から1953年にかけて, 菠薐草 (日本種及び洋種ビロフレー) を用い, 温度を同一にして日長を変え, 又同一日長で温度を異にするようにして栽培し, その生育適温, 花房分化, 抽苔を追及し, 菠薐草の夏栽培に於いては標高はどう考えたらよいか知らんとした。
    2. 菠薐草の最もよい栄養生長条件は平均15~20°Cである。
    3. 花房分化は, 積算日長条件により, 品種や温度で多少の相違はあるが, 大体450~500時間位と考えられる。
    4. 抽苔は単位日長時間により, 花房分化後12時間以上の日長時間でないと行われない。
    5. 従つて中部山岳地帯 (N36°内外) に於ける, 不抽限界は, 生育適温下であれば, 理論的には8月中旬以降と云える。
    6. この限界外の8月上旬までは, 標高が高く夏涼のところほど生育が進み, 一般平暖地より遅くまで播種しても抽苔する割合が多い。しかし実用的には、温度とも関連し, 標高にかかわらず7月中旬を以て抽苔限界期と考えてよい。
  • 堀 裕, 杉山 直儀
    1954 年 22 巻 4 号 p. 223-229
    発行日: 1954年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. さきに報告した低温処理以外に, タカナ類の休眠を破るに有効な方法を検索した。
    2. 吸水した種子を剥皮することによつて幼根はすべて伸長を始めた。又種皮を傷付けるのみでも遅れて発芽した。
    3. 休眠中期の鰹菜では水道水を放流して6時間以上水洗するとよく発芽したが, 浸種は1日に及んでも効果がなかつた。然し葉芥子, 柳川高菜では1日の浸種でよく発芽した。
    4. 酸素のみ, 或は酸素と炭酸ガスの双方の分圧を高めたガス中に置床しても発芽はみられなかつた。
    5. チオ尿素は0.5~1%で, 尿素は0.01~1%で休眠を破る効果があつた。チオ尿素は低温に匹敵する効果を示し, 尿素は僅かに劣つたが, 鰹菜のみは尿素によりよく反応した。又尿素の濃度と効果との関係には興味ある現象がみられた。
    6. 硫青化物には決定的な効果はなかつたのに反し, アラニン, アルギニン等アミノ基をもつ化合物には尿素と同等の効果を示すものがあり, アンモニアも亦有効であつた。硝酸塩及びアンモニウム塩には決定的な効果をもつものがなかつた。
    7. 休眠の機構について2, 3の考察を試みた。タカナ類の種子の休眠は, その原因が種皮部にあることは明らかであるが, 種皮の物理性の異常が関与するとしても, それのみで直接発芽を抑えているという可能性は少く, むしろガス透過性の異常によつて有害物質が蓄積することが考えられる。
    一方, 種皮部に何等かの抑制物質が存在して, 種皮の物理性を異常にし, 或は胚の生長を直接抑えることによつて, 発芽を不可能ならしめていることも考えられる。
  • 萩屋 薫
    1954 年 22 巻 4 号 p. 230-234
    発行日: 1954年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 人参の代表的品種12種を用い秋播を行つて抽苔時の草姿を調査し, 採種栽培に資せんとした。
    2. 抽苔草姿は系統によつて異り, 東洋系人参は一般に立性を示し主枝の発達が良く花傘も大型であるが, 側枝は発達悪く短小で数も少なかつた。然るに欧洲系人参は根型や抽苔の早晩の如何にかかわらず一般に開張性草姿を示し側枝の発達が良く, 大きな枝が多数出て花傘も大きかつた。
    3. 抽苔の早い東洋系品種が立性草姿を示すのに抽苔の晩い欧洲系人参が開張性草姿を取るのは, 後者の側芽が活動しやすいのに前者の側芽はなかなか動き始めない事に原因するものと思われる。
    4. 人参の採種には開花期のそろつた大きさの齊一な花傘をつける事が収穫調製を容易にし種子の品質向上に必要条件と考えられる。それで東洋系人参は密植して主枝のみをのこし側枝は剪除し, 欧洲系人参は粗植にして主枝は摘心して側枝の花傘から採種する事が望ましい。
    5. 金時人参種子は特に発芽が悪いものとされているが, その原因の一つはかかる品種を無整枝で発育の悪い側枝からも採種するためであろう。
  • 澁谷 茂, 岡村 知政
    1954 年 22 巻 4 号 p. 235-238
    発行日: 1954年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 本邦及び米国に栽培されている多くの蕪菁品種を蒐集し, 形態並びに生態学的研究を行うと同時に種子の解剖学的研究を行つた。
    2. 種子の解剖学的観察に於いて表皮細胞が水分を吸収すると膨脹して判然とするA型と吸水しても表皮層は単に膜状に見え明白なる外貌を呈しないB型とがあり, 更にA型B型の中には夫々色素層の判然と観察される Ac 型, Bc 型があつた。
    3. 著者等は本邦に栽培されている蕪菁を主として種子の表皮型により更に他の特性をも考慮して次の如く分類した。
    本邦に於ける蕪菁 (Brassica Rapa L.)
    A 西欧系品種群
    B 中間系品種群
    C 本邦在来種群 (アフガニスタン系)
  • 大野 俊雄, 小柳津 和佐久, 鈴木 恵三
    1954 年 22 巻 4 号 p. 239-243
    発行日: 1954年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    桜桃高砂及び那翁を用い 1950~52 年に亘り, 室内及び圃場試験を通じ, 桜桃の裂果防止対策として 2, 3 の展着剤を使用した結果, 効果の顕著なものがあつた。その結果を要約すると次の如くである。
    (1) 1950~52年の室内試験を通じ, カゼイン石灰が最も良好にして且その濃度が高くなるに従い, 裂果率は減少する傾向を認めた。
    (2) 1951年那翁収穫2週間前に, 1952年高砂収穫15日前, 那翁に対しては8日前に各種薬剤を撒布した結果, カゼイン石灰2.5及び5%液は最も裂果率少く, 著しく裂果を減少した。而も果面に汚点が残らないと言う点で有望な薬剤である。尚ボルドー液も或程度効果が見られた。
    (3) リノー, エステルは, 前者は果面に, 後者は果面並びに葉に薬害を生じ有害であつたし。
  • 馬鈴薯
    舟本 久義, 増田 繁
    1954 年 22 巻 4 号 p. 244-248
    発行日: 1954年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1953年馬鈴薯を材料として, 窒素肥料の:施肥法に種々処理を加え生育上に於ける植物体の外観的な生育相, 形態並びに収量, 植物体内の窒素養分含量及び土壤中に於ける可給態窒素の保持量について調査を行つた。
    1. 全量元肥では土壤中の可給態窒素の保持量は生育後期頃までは未だ可なり多く保持しその間生育状況も良好ならしめ且つ植物体内の窒素養分含量も多くし収量も又最も多からしめた。
    2. 2回分施区では土壤中の可給態窒素の保持量及び植物体内の窒素養分含量は生育中期までは全量元肥区には及ばないが, その他の区よりも多からしめ生育後期以後は他区に比し最も多からしめた。又生育状況も収量も全量元肥区に次ぐ結果を示した。
    3. 5回分施区では土壤中の可態窒素の保持量, 植物体内の窒素養分含量, 生育状況及び収量は10回分施区よりはよいが全量元肥区及び2回分施区には及ばなかつた。
    4. 10回分施区では前記各調査項目のすべてが他区に及ばず終始充分なる生育を遂げ得ずして終える結果を示した。
  • 岩間 誠造, 岩井 茂松
    1954 年 22 巻 4 号 p. 249-256
    発行日: 1954年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    (1) 秋キクの各品種の感温性及び感光性を知つて, 栽培上の参考に資せんとして, 1952年にはまず代表的な17品種を供試した。試験方法は, 標高 360m の長野と, 同じく 850m の長村の二ケ所で, 標高差を利用して気温の相異するようにし, 5月5日定植して7月1日より一般遮光方法によつて, 日長を10時間に制限した短日20日間, 30日間夫々継続した両短日区と, 無処理の自然日長区の3区を設けた。
    (2) 生育調査結果では, 定植前, 処理前に於ける草丈, 葉枚数とでは栽培地, 処理区, 品種間に差はみられなかつた。
    (3) 同じ秋キクも, 立波, 信濃川, 白馬の3品種は, 遮光有無にかかわらず花芽分化し, 日長条件には影響されない。一方その他の14品種は, 日長時間が14時間30分以下の日長条件となると, 花芽形成をするが, 品種間に遅速があり, 新東亜, ピンク東亜, 新月友, みのり, の4品種は比較的早い品種群のようである。
    (4) 花芽の発育は, 花芽形成のときと同様で立波, 信濃川, 白馬の3品種は, 温度条件のみに支配され, 気温の低い地帯では開花期は遅れる。
    一方他の14品種は, 13時間30分以下の日長時間で花芽の発育 stage は進むが, この場合ただ日長条件のみならず温度条件の影響もうけるようである。即ち新東亜, ピンク東亜, 新月友, みのりの4品種は比較的高温状態でも, 短日条件下であれば花芽は発育する。
    また, 岡山平和, ラスター, H. コイド, 白サギ, むらくも, 玉織姫, 国の光, 紅潮, 紅秋, 初がすみ, の10品種は, 短日条件でも高温状態では, 花芽の発育は緩慢となる。
    (5) 短日20日程度では, 花芽の不完全分化, いわゆる柳芽発生が多く, 実用的にこの程度の短期間の遮光で順調に開花する品種は見当らなかつた。
    短期短日条件下では花芽発育程度の如何によつて柳芽発生も相異し, この花芽の第二相の発育も, 日長及び温度条件で左右される。
    (6) 秋キクの品種の早晩性は, 花芽分化及び開花が, 温度条件にのみ左右される品種群では, 栽培地の気温に支配される。一方花芽分化, 開化が日長及び温度条件に左右される品種群では, 短日条件による花芽分化の早晩によるものでなく, 分化後開花までの所要日数で決るようである。
    また, 遮光栽培には所要期間のなるべく短い品種を, とり入れた方が合理的のようである。
    (7) 供試品種をその感温性及び感光性で分類するとつぎのようになるであろう。
    I 温度型品種: 花芽分化及び開花が, 日長条件に影響をうけないで, 温度条件にのみ支配される品種群, 立波, 信濃川, 白馬。
    II 日長型品種: 短日下 (花芽分化=14.5時間以下, 花芽発育=13.5時間) で, 花芽分化, 開花の行われる品種群。
    (1) 日長型であつて, この場合比較的高温条件でも花芽が発育し, 開花期が促進される品種。新東亜, ピンク東亜, みのり, 新月友。
    (2) 日長型であつて, この場合比較的高温条件だと花芽の発育は緩慢となつて, 開花期が遅延する品種。岡山平和, ラスター, H. コイド, 白サギ, むらくも, 初がすみ, 玉織姫, 国の光, 紅潮, 紅秋。
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