1.
Arvense 系の品種である GW,
hortense 系のAlaska およびウスイを用い, 春まきと秋まきとにおいて, エンドウの分枝性に対するジベレリンおよび TIBA (2, 3, 5-トリヨード安息香酸) の葉面散布の効果, また日長をことにした場合の摘心の効果について検討を行なつた。
2. ジベレリンは10ppm, TIBA は10ppm, または50ppmを1回または2回, 本葉5~10枚の幼苗時に葉面散布した。また摘心区では, 秋まきにおいては秋の自然短日下で5~10節を残して, また春まきにおいては春の自然長日下および8時間の人工短日下で7~8節を残してそれぞれ主枝の生長点を除去した。ジベレリンおよびTIBA は摘心区に対しても与えられた。
3. 用いられたすべての品種において, TIBA はその1次分枝数を増大させる。また GW と Alaska において処理によつて2次分枝数もかなり増えているが, ウスイでは反対に2次分枝の発生が減つている。その結果, TIBAはGW と Alaska の総分枝数を増大させるが, ウスイのような2次分枝の発生のさかんな品種では処理によつて総分枝数はむしろ減少する。
分枝数に対するジベレリンの影響は品種によつてやや異なつた様相を呈した。すなわち, 秋まきの場合には, いずれの品種においてもジベレリンは摘心の効果を減少させており, 春まきの場合でも Alaska とウスイでは摘心の効果が処理によつて弱められたが, しかし春まきのGWにあつては摘心後のジベレリン処理は2次分枝の発生を多くし, その結果, 総分枝数の増大をみている。
4. 摘心によつて分枝数が増大することは一般に知られているが, 本実験でも同様の事実が認められた。この場合, 特に長日下において分枝数の増加が著しい。しかし, 高節位に強く分枝を発生する品種であるウスイでは摘心はむしろ分枝数の減少をまねいている。
5. 用いられた生長調節物質は, またエンドウの分枝の分布にも著しい影響を与える。すなわち, TIBA は主枝上の低節位における分枝の発生を促進し, 高節位の分枝の発生を抑える。反対に, ジベレリンは低節位分枝の発生を抑制し, 高節位分枝の数を増大させる。この点に関してみるならば, TIBA は短日の作用と, またジベレリンは長日の作用と, それぞれきわめて類似した作用を示している。
6. 株当たり着花数には分枝数と分枝長と着花節位の3つが関与しているので, 各種の処理による着花数の変動はやや複雑である。しかし, TIBA によつて著しく分枝数の増加する GW のような品種では, 処理による着花数の増加も著しい。またジベレリンはすべての品種において一般的にその着花数を減少させた。摘心を行なうと秋まきでは着花数は多くなるが, 春まきではむしろ着花数を減少させる結果となった。
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