園芸学会雑誌
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31 巻, 3 号
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  • 建部 民雄
    1962 年 31 巻 3 号 p. 185-192
    発行日: 1962年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    ダイコンの自家ならびに交雑不和合性の遺伝行動はたいへん複雑で, それを遺伝学的に説明することは極めて困難である。著者は従来 RILEY (1930) の Capsella における仮説によつてその説明を試みたが, その後研究の進展と共に HUGHES および BABCOCK (1950) の Crepis における仮説 (その後 BATEMAN によつて更に展開された) によつて一層よく説明できることがわかつた。すなわち
    1. 花粉の反応は花粉のもつ遺伝子型によつて決定されるのでなく, 父植物の遺伝子型によつて決定される。
    2. 不和合性は1系列の離反因子 (S1~S10) によつて支配される。
    3. 花粉および雌蕋においてS遺伝子間にある種の優劣関係が存在する。
    以上の仮説によると従来報告した時無, 宮重, 聖護院,練馬および天満の諸成績はどれもよく説明することができる。
  • 山口 雅俊, 高橋 和彦, 杉山 直儀
    1962 年 31 巻 3 号 p. 193-197
    発行日: 1962年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    トマト, トウガラシ, タマサンゴ, アカナス, タマゴナスおよびナスについて, 開花時にジベレリン10ppmの溶液を散布して, その果実の発育および呼吸に対する影響を調べた。
    トマト, タマゴナスおよびナスにおいては, ジベレリン散布区の果実の大きさは対照区よりも明らかに小さかつたが, 他の種類についてはその差は統計的に有意ではなかつた (第1表)。
    果実の呼吸量をワールブルグ検圧計を用いて, 種々の発育の段階のものについて測定した結果, 単位重量当たりの呼吸量についてはジベレリン処理区と対照区との間には差異を認めることができなかつた (第1図)。
  • 狩野 邦雄
    1962 年 31 巻 3 号 p. 198-206
    発行日: 1962年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    2,4-D5ppm散布により単為結果的に発育を誘致したトマトの子房を, 植物体から切り取り, 殺菌後, NITSCHの基本培養液に種々の植物のしぼり汁や化学物質を添加した培養基に植え付け, 子房の発育におよぼす添加物, 光, 温度および花齢の影響をみた。暗黒処理と高温処理を除き, 培養は20°C, 自然日長の室でおこなつた。培養後80日または85日に収穫して, 果重, 発根, 着色その他について調査した。
    1. 添加物のうち, リンゴのしぼり汁は, トマトのしぼり汁と同程度に子房の発育に効果があつた。
    2. 子房は暗黒下でもよく発育し, 果重は明所のものと同程度であつた。しかし, 明所で培養したものにくらべ, 発根率は高いが着色率は橙低い。赤色種の暗黒下での着色は桃色であつた。
    3. 2,4-D 0.1ppmを含む培養基に植えた未受粉の子房は, ほとんど発育しなかつたが基部にはカルスを形成した。
    4. 花齢は子房の発育に本質的には影響がない。
    5. 30°C暗黒で培養した子房は, 20°C暗黒で培養した子房より果重が大であつた。また30°C暗黒では, 根量やカルスの形成が多かつた。
    6. 培養で大きくなつた果実は概して奇形で, 場合により, 子房の発育しないものでがく片が異常に肥大し, 着色するのがみられた。果実の膨大部では, 果皮, ゼラチン状胎座組織および胚珠も非膨大部にくらべよく発達していた。
  • 夜間温度および土壌水分について
    福島 与平, 増井 正夫
    1962 年 31 巻 3 号 p. 207-212
    発行日: 1962年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    本実験はトマト幼苗時の夜間温度および土壌水分が生育および花成にいかなる影響を与えるかを明らかにする目的で行なつた。
    1. 第1段花房の着生節位は子葉展開直後2週間の夜間温度に影響されることが大であり, 夜間温度が低い場合は着生節位は低く, 高い場合には上昇した。
    草たけ, 葉数ではかられる栄養生長は子葉展開後3~4週間の夜間温度に影響されることが大であり, 夜間温度が低い場合は栄養生長は貧弱であり高い場合には旺盛であつた。
    2. 葉数および花数の決定される時期を明らかにする実験から, 子葉展開直後5日から10日までの間は第1段花房の着生節位が鋭敏に反応する時期であり, 10日から15日までの間は第1段花房の花数が鋭敏に反応する時期であることがわかつた。
    3. 第1段花房の着生節位は子葉展開直後2週間の土壌湿度に影響されることが大であり, 土壌湿度が適湿の場合は着生節位は低く, 乾燥した場合には上昇した。夜間温度と土壌湿度の交互作用が第1段花房の着生節位にみられた。すなわち土壌湿度が適湿に保たれた場合には第1段花房着生節位は夜間温度が低い場合には低下し, 高い場合には上昇した。一方土壌湿度が乾燥に保たれた場合には第1段花房の着生節位は温度による差がみられなかつた。なお土壌の乾燥状態における処理期間の影響は第1段花房の着生節位に影響を及ぼし, 2週間処理の場合には低下し, 3週間処理の場合には上昇した。
  • 摘心および生長調節物質が分枝に及ぼす影響
    中村 英司, 服部 安一, 音野 秀幸
    1962 年 31 巻 3 号 p. 213-222
    発行日: 1962年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. Arvense 系の品種である GW, hortense 系のAlaska およびウスイを用い, 春まきと秋まきとにおいて, エンドウの分枝性に対するジベレリンおよび TIBA (2, 3, 5-トリヨード安息香酸) の葉面散布の効果, また日長をことにした場合の摘心の効果について検討を行なつた。
    2. ジベレリンは10ppm, TIBA は10ppm, または50ppmを1回または2回, 本葉5~10枚の幼苗時に葉面散布した。また摘心区では, 秋まきにおいては秋の自然短日下で5~10節を残して, また春まきにおいては春の自然長日下および8時間の人工短日下で7~8節を残してそれぞれ主枝の生長点を除去した。ジベレリンおよびTIBA は摘心区に対しても与えられた。
    3. 用いられたすべての品種において, TIBA はその1次分枝数を増大させる。また GW と Alaska において処理によつて2次分枝数もかなり増えているが, ウスイでは反対に2次分枝の発生が減つている。その結果, TIBAはGW と Alaska の総分枝数を増大させるが, ウスイのような2次分枝の発生のさかんな品種では処理によつて総分枝数はむしろ減少する。
    分枝数に対するジベレリンの影響は品種によつてやや異なつた様相を呈した。すなわち, 秋まきの場合には, いずれの品種においてもジベレリンは摘心の効果を減少させており, 春まきの場合でも Alaska とウスイでは摘心の効果が処理によつて弱められたが, しかし春まきのGWにあつては摘心後のジベレリン処理は2次分枝の発生を多くし, その結果, 総分枝数の増大をみている。
    4. 摘心によつて分枝数が増大することは一般に知られているが, 本実験でも同様の事実が認められた。この場合, 特に長日下において分枝数の増加が著しい。しかし, 高節位に強く分枝を発生する品種であるウスイでは摘心はむしろ分枝数の減少をまねいている。
    5. 用いられた生長調節物質は, またエンドウの分枝の分布にも著しい影響を与える。すなわち, TIBA は主枝上の低節位における分枝の発生を促進し, 高節位の分枝の発生を抑える。反対に, ジベレリンは低節位分枝の発生を抑制し, 高節位分枝の数を増大させる。この点に関してみるならば, TIBA は短日の作用と, またジベレリンは長日の作用と, それぞれきわめて類似した作用を示している。
    6. 株当たり着花数には分枝数と分枝長と着花節位の3つが関与しているので, 各種の処理による着花数の変動はやや複雑である。しかし, TIBA によつて著しく分枝数の増加する GW のような品種では, 処理による着花数の増加も著しい。またジベレリンはすべての品種において一般的にその着花数を減少させた。摘心を行なうと秋まきでは着花数は多くなるが, 春まきではむしろ着花数を減少させる結果となった。
  • 補助光の強さと花芽分化
    上野 善和
    1962 年 31 巻 3 号 p. 223-226
    発行日: 1962年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. イチゴ品種, 幸玉および Red Star を使つて, 長日処理の際の補助光の強さが, 花芽分化および栄養生長におよぼす影響をみた。補助光の光度は 100~2lux とし, 9月1日から10月31日まで長日処理 (夜間連続照明) を行なつた。
    2. 花芽分化を抑制する補助光の光度の限界は, 品種によつて多少異なり, Red Star では20lux附近, 幸玉では 10~20lux と考えられ, これ以上の光度では, 花芽分化は著しく抑制された。
    3. 栄養生長は, 補助光の光度が強いほど盛んで, 特に地上部への影響が大きく, その影響する限界は 10lux 附近と考えられる。
  • 大沢 孝也
    1962 年 31 巻 3 号 p. 227-234
    発行日: 1962年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    ホウレンソウ, ハクサイをガラス室内で砂耕し, NaCl 無加用ならびに 100 millimol 加用の条件下で, NO3 (10m.e./l), NH4+NO3 (5+5m.e./l) を与え, さらに各N形態区につき Ca 供給量を5m.e./l, 5m.e./l+Sp (5m.e./lの他に0.04M CaCl2 を週2回葉面散布), 15m.e./lとし, 塩害とN供給形態ならびに Ca 栄養の関係を調べた。なお培養液のpHは6.2~6.4に調節した。
    1. ホウレンソウでは, NaCl 無加用の場合には, NH4+NO3 区は NO3 区に比べて培養液中の好適 Ca レベルが高く, またCa塩散布も NH4+NO3 区でやや増収効果があつた。しかし NaCl 加用の条件下では, 培養液中の Ca 増施, Ca塩散布のいずれも, N供給形態にかかわらず無効でやや減収をきたし, NO3 の方がNH4+NO3 より有利であつた。
    ハクサイでは NH4-N 施用や NaCl 加用は Ca 欠乏発症を激化して結球, 収量, 品質に悪影響を与え, Ca塩散布は本症状の発生防止にきわめて有効であつたが, 培養液中の Ca 増施はほとんど無効であつた。
    2. 葉中のCa, K, Mg の含量はいずれも Na および NH4 と拮抗関係が認められた。ホウレンソウではCaの葉面散布や培養液中増施は葉中Ca含量を増加させた。一方, ハクサイ葉身中のCa含量は一般に外葉が最も高く, 内葉に向つて急減し処理による影響も小さくなり, またCa塩散布はよく葉身中のCa含量を高めたが, 培養液中のCa増施は外葉においてのみ, やや葉身中の Ca 含量を高め, 中葉や内葉ではむしろその低下をきたした。なおハクサイの葉身中 Ca 含量, さらに Ca/N当量比は, Ca 欠乏発症と密接な関連が認められた。
  • 横尾 宗敬, 松尾 平, 岩佐 俊吉
    1962 年 31 巻 3 号 p. 235-243
    発行日: 1962年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    モモの整枝を行なう際に, 主枝の間隔をあけて出すと下部主枝が優勢になりやすく, 3本の主枝を均斉に作るのは容易でない。従つて, この原因を明らかにし, 主枝形成のよい方法を見出すために1955年から1961年までこの研究を行なつた。
    1. 主枝間差の判定には, 主枝間最大差% (3主枝間断面積最大差/3主枝総断面積×100) を算出して行なつた。
    2. 主枝間隔をあけて出した場合には, 下の方の主枝が大きくなるが, 車枝の場合は必ずしも下の方から出た主枝が大きくなるとは限らず, 主枝間差も少ない傾向があつた。
    3. 第2年目には主枝の大きさの順位の変つたものがあり, 第2主枝が大きくなる傾向があつた。深耕してあるものは第1主枝の大きいものの割合が少なくなり, 主枝間差の顕著に回復するものもあつたが, 無深耕のものは依然として第1主枝の大きいものの割合が多かつた。
    4. 定植前細根を切去したものは主幹の下の方からの枝が多く伸び, 上の方からの枝は少なかつた。断根しなかつたものは関係が逆であつた。
    5. 台木を実生し居接をかけて直根の発達した樹では主枝間差を非常に少なくすることができた。
    6. 遅植, 追肥, 断根の処理から, 主枝間差の原因として, 発根が遅れ, ある時期以後根が急激に伸び, これが栄養供給の不均衡を起こすことが考えられ, その後の試験の結果, 3月下旬移植したものはその後2か月位は根が動かず, その後急激に伸長を始め, 6月下旬に大部分の根が動くのを認め, これを7月初旬からの急激な主枝間差の発現の大ぎな原因と考えた。
    7. 実生台木に居接したモモの直根は, その年の終りまでは明らかに認められたが, 2年目の終りには側根の発達が著しく, 認められなくなつていた。
    8. 深耕を行ない実生台木に居接し, 整枝した場合にも, 下部主枝優勢性は現われる。しかし, 満足な主枝形成のためにはこの方法が唯一の方法と思われる。
    9. 土壌条件の悪い場合には, 2本主枝にし, これから1本ずつ亜主枝を出すようにして, 4本主枝を出す整枝が合理的ではないかと考えられる。
  • 摘葉時期とモモ幼樹の生育
    吉村 不二男
    1962 年 31 巻 3 号 p. 244-250
    発行日: 1962年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. モモ樹の生長期間中の不時の落葉が樹体の生長, 生殖両作用に及ぼす影響をみるために, 1959年の6月~10月の間の各月の7日と22日に, 鉢植の幼樹について, 全葉を人為的に摘除し, その影響を2か年にわたって観察した。
    2. 一般に, 摘葉後に再び発芽するが, 摘葉時期がおくれるほど, 発芽数は減少し, かつ, 発芽所要日数は多くなり, 10月摘葉樹では全然発芽しなかつた。再発芽したものは, 秋枝が晩くまで伸び, 落葉期が30~55日もおくれた。翌春の発芽期もおくれて不揃いで, かつ, 発芽数が少なく, その傾向は8月7日摘葉樹で最も著しかつた。
    3. 6月および7月の摘葉樹には全然花芽が着かず, 8月摘葉樹には花芽状のものが, 9月以後の摘葉樹には完全な花芽がみられた。概して, 摘葉時期が早いと翌春の開花数が減少し, 開花が著しく不揃いとなつた。ただし, 9月上旬の摘葉樹では10月中旬に返り咲きした。8月摘葉樹では翌春にはなはだしくおくれて, ごく少数の異常花が咲いた。
    4. 摘葉した年の枝の伸長は一般に良好で, 7月摘葉樹だけがやや劣つた。しかし, 摘葉樹の翌年の枝の伸長は10月摘葉樹を除いて, 極端に劣つた。さらに, 根の伸長期である7月~8月上旬に摘葉すると, 根の生育が著しくおさえられた。
    5. 以上のことから, 高知県ではモモ樹 (岡山早生, 1年生) の花芽の分化が8月の末には完全に終つており, 9月中~下旬には花芽が, 9月末には葉芽が自発休眠に完全に入つたことが明らかである。自発休眠に入るまえに葉がなくなると, 夏, 秋枝を発生して落葉がはなはだおくれ, 翌春には休眠覚醒の遅延の兆候が見られて樹の発育が一層悪くなる。
  • きゆう果の発育ときゆう果および葉内成分との関係
    一井 隆夫
    1962 年 31 巻 3 号 p. 251-256
    発行日: 1962年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    1. 兵庫県多紀郡における3つのクリ園の傾斜地の上下からきゆう果および葉を採取して分析し, 果実の大きさとの関係を明らかにした。
    2. 傾斜地の下部は上部に比してきゆう果の発育は良好で, 果実および葉内N含量に関係しているように思われた。
    3. 1果重ときゆう果および葉内N含量, およびK/N比との間には高い正および負の相関がみられたが, きゆう重と成分間には低い相関しか認められなかつた。
    4. 20~25gの大きさの果実に対応する果実および葉内N含量は, それぞれ1.14~1.33%および1.98~2.33%であり, 果実内K/Nの比は0.97~0.68であつた。
    5. 1果重と果皮率との間には負の相関があつた。1果重と糖含量, 糖含量とN含量との間には有意な相関が認められなかつた。
    6. 果実およびきゆう重と成分間の相関関係を解析することによつて, きゆう果の発育はきゆうおよび果実の相反するK/N要求度にもかかわらず, 果実がきゆうの生長を促進することによつて統一されている面を明らかにした。
    7. きゆう果の発育様式に従って, 20~25gの果実100kgの生産に必要なぎゆう果内NおよびK量を推定した。果実の大きさに従つてN0.64~0.81kgおよびK0.81~0.70kgである。
  • 果汁中の全糖ならびにクエン酸含量におよぼす影響
    坂本 辰馬, 奥地 進, 薬師寺 清司
    1962 年 31 巻 3 号 p. 257-262
    発行日: 1962年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    温州ミカン成木に対して1946年より1960年までの15か年にわたり緑肥を連用した結果, 果汁中の全糖または可溶性固形物およびクエン酸含量につぎのような変化をもたらした。なお試験区は年間のN, P, Kを, 全部緑肥中に含有されているこれらから補給する緑肥100%区, 75%を緑肥から25%を化学肥料 (硫安, 過石, 硫加) から補給する緑肥75%区, 以下同様緑肥50%区, 25%および0%区である。
    1. 1946年より51年まではおおむね緑肥0%区の果実の可溶性固形物およびクエン酸含量は緑肥100%区のそれらより高い値を示した。
    2. 1953年より58年までの期間でも緑肥0%区は100%区より高いクエン酸含量を示したが, 全糖含量は年度により変化し, 一定の傾向を認めにくかつた。緑肥50%区の果実のクエン酸含量はおおむね緑肥100%区と0%区の中間的な値を示したが, 可溶性固形物または全糖含量は年度によつて変化する傾向を示した。
    3. 1960年の採収果実につき, 従来の試料採取法による果汁中の全糖およびクエン酸含量の分析値を検討するため, 主要果実群 (果実の大きさと果皮の着色度より分別し, 全果実に対して主要な割合を占めるもの) を供試し, これよりの混合果汁, さらに主要果実群それぞれの果汁中, また個々の果実の果汁中の全糖およびクエン酸含量を分析した。この結果緑肥100%区の全糖含量は0%区のそれより低いのではないかとの推定をえた。
    4. 以上より緑肥少量区 (0%および25%区) の果実のクエン酸含量は年次の経過とともに多量区 (緑肥100%および75%区) より高くなつたことが考察され, さらに緑肥多量区の全糖含量は少量区より低くなつたのではないかと考察された。
  • 藤井 利重, 三橋 美恵子
    1962 年 31 巻 3 号 p. 263-270
    発行日: 1962年
    公開日: 2007/05/31
    ジャーナル フリー
    この実験はマツバボタンを材料として, 挿木の発根に関する生理的諸現象を究明するために行なつたものである。実験は1960, 1961年の両年にわたり東京教育大学農学部において行なつたもので, いずれも3角フラスコを使用した水挿しである。
    マツバボタンは赤茎を選んで使用した。マツバボタンの発根促進物質は葉において合成され葉中に貯蔵され, 基部切断という刺激により活動が開始される。これには葉5枚以上, 時間的には2時間以上を経なければ発根の必要量は移動しない。
    この移動には光線その他の環境条件が必要と思われるが, 本実験ではこれにはふれなかった。
    この発根物質自体の究明その他は第2報以下に譲る。
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