園芸学会雑誌
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34 巻, 1 号
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  • 摘花果および収穫時期と花成について
    大垣 智昭, 藤田 克治, 伊東 秀夫
    1965 年 34 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1965年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    1. 温州ミカンについて, 摘果の時期や程度および収穫時期の相違が翌年の着花率および枝内の養分構成状態に及ぼす影響を調査した。
    2. 1955年には予備的に, 7月12日, 8月11日,30日, 9月16日に摘果し. それらの摘果した結果枝およびそれと同一栄養圏内の無着果の春枝について, 翌春の花つきの状態を調査した。摘果した結果枝の着花率はそれぞれ42.8%, 20.8%, 12.5%, 4.0%であつた。
    3. 1956年には, 6月上旬から9月下旬の間に, 摘果期を異にする5つの処理区を設け, 翌春の着花率について1955年の成績を再確認するとともに, 摘果した結果枝および無着果の春枝内の炭水化物および全窒素の含量を定量した。その結果, 12月下旬における枝内の炭水化物含量およびC/N率が, 翌春の着花率と密接な関係を示すことが明らかとなつた。
    4. 1957年には, 摘果期について5月下旬摘花, 7月中旬摘果, 8月中旬摘果。摘果程度については7月中旬強度摘果, 7月中旬軽度摘果。収穫期については10月下旬~11月下旬早期収穫, 12月中旬晩期収穫, ならびに無摘果の8処理を施した樹を設けた。各区に9~1月の間に, 毎月摘葉する側枝ならびに無摘葉の側枝を作り, 翌春その側枝上の無着果春枝, 摘果された結果枝を含めた1年生枝の着花率を調査した。9~10月に着果負担の重い場合は, その期に摘葉処理した枝の着花率はめいりように低く, 花成のための養分の集積が少ないことを示し, その後, 形態的な花芽分化期までの養分の集積も少なくて, 翌春の着花が過少となる。摘果が早く, かつ強いほど花成のための養分の集積は早くから多く, 収穫期から冬期にも累進的に多くなることが推論される。
  • わく試験による温州ミカンの生育について
    坂本 辰馬, 奥地 進, 薬師寺 清司
    1965 年 34 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 1965年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    1. 温州ミカンの生育に及ぼす母材を異にした土壌の影響をしらべるために, 縦1.8m, 横1.8m, 深さ1.2mのコンクリートわくで栽培試験を行なつた。供試土壌には, 愛媛県下の主要なミカン産地の関前土壌 (秩父古生層硬砂岩, 石灰岩の砕片を多量に含む), 双海土壌(緑泥片岩), 大平土壌 (黒雲母安山岩), 吉田土壌 (中生層白堊紀砂岩), 小野土壌 (洪積層) および伊台土壌(花崗閃緑岩) の6種の未耕地土壌を用いた。1957~1961年の5年間における供試樹 (南柑4号, 試験開始時の樹齢は4年生) の生育状況, ならびに供試土壌の調査結果を要約すれば, つぎのとおりである。
    2. 試験5年目の樹容積から判定すると, 温州ミカンの生育の優劣についての供試土壌の順位はつぎのようになつた。関前土壌>双海土壌>大平土壌>吉田土壌>小野土壌>伊台土壌。小野および伊台土壌では, 有機質肥料 (魚肥, 骨粉など) を連用すると, 無機質の化学肥料(硫安, 過リン酸石灰, 硫酸カリ) を連用した場合に比べて生育がすぐれた。この傾向は大平および吉田土壌でも認められた。幹径の肥大, 新梢の伸長量, 剪定量および果実収量の調査結果にも, 上述のような土壌ならびに肥料の違いによる影響が明らかに認められた。
    3. 温州ミカン供試樹の生育に対する土壌要因を検討した結果 (物理的な要因の詳細な検討は後報にゆずつた), pHが微酸性で置換性塩基に富んだ関前土壌ではこれらの化学的要因の好影響とともに窒素の肥効が高かつたこと, 強酸性であつた吉田土壌ではこれがはなはだしい生育の制限因子とならなかつたこと, 砂粒に富んだ伊台土壌では窒素肥料の溶脱流失がはげしかつたことなどが指摘された。また, 双海土壌と大平土壌の比較では塩基置換容量および置換性塩基以外の土壌要因による影響が強く, 大平土壌と小野土壌の比較では粘土の質的な差異の影響が強くあらわれるものと思われた。
    4. わくの表層土における硝酸態窒素の推移をみると, 関前土壌においてレベルが高く, 伊台土壌は低く, 吉田土壌はこれらの中間であつた。また, 有機質肥料区は無機質肥料区よりもとくに夏季以降の硝酸態窒素のレベルが高かつた。これらの硝酸態窒素の消長は, 温州ミカン供試樹の生育の優劣を示唆する1つの窒素要因の指標になるように思われた。
    5. わく試験に供試した土壌の採取地付近の温州ミカン成木園の調査では, 温州ミカンの生産性は土壌の深さや断面の物理性との関連性が深く, 土壌の化学的要因の影響を具体的に解析するのはむつかしかつた。
    6. 以上を総合すると, 温州ミカンに対しては母材を異にした土壌の影響がかなり強いことが見いだされたが, 土壌の物理的な要因だけでなく化学的な要因もかなり強く影響する場合があることが指摘された。
  • 冷蔵および追熟中の成熟過程ならびに呼吸量
    杉山 直儀, 岩田 正利, 高橋 和彦, 崎山 亮三, 高田 峰雄
    1965 年 34 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 1965年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    長野産および山形産のバートレットの冷蔵中および室温あるいは20°Cで追熟中の果皮の色, 硬度, 果汁の成分, 呼吸量の変化について調査を行なつた。その成績の主な点は次のとおりである。
    1. 無冷蔵で20°Cで追熟したものは, 順調, かつせいいつに成熟し, 熟果の品質もよかつた。呼吸量はしだいに増加し, 適熟期はその頂点とほぼ一致した。無冷蔵室温追熟区は採収時期の早かつた長野産の果実では果肉の軟化はおくれ, かつ熟度は不せいいつで, 腐敗果の発生が多かつた。呼吸量の上昇は20°C区よりおくれ, その頂点も低かつた。熟度の進んでいた山形産ではその差は顕著ではなかつた。
    2. 冷蔵中には果皮の黄化や硬度の低下はわずかながら進行し, 呼吸量も長野産果実の3週間冷蔵中に増加を示した。
    3. 冷蔵後室温あるいは20°Cに移すと, 果皮の黄化や果肉の軟化はすみやかに進み, 呼吸量も急増して, その頂点のころに適熟期に達した。冷蔵期間の長い場合には, 室温区と20°C区との間に適熟に達するまでの早さに差がないか, あるいは室温区の方がやや早かつた。
    4. 呼吸量と果実の軟化との間には密接な関係が認められた。
    5. 室温で成熟が遅延したり, 熟度が不せいいつになつたりするのは, 追熟の適温である20°Cよりも高いため, 成熟を促進する要因の作られるのが抑制されるためと考えられる。冷蔵中にはこの要因が徐々に作られ, 作られた後は室温でもよく成熟するのであろう。この要因は既往の研究成績からエチレンであろうと推定した。
  • 成熟期の夜温が Delaware の熟期と品質に及ぼす影響
    小林 章, 行永 寿二郎, 板野 徹
    1965 年 34 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 1965年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    1) 鉢植えの3年生の Delaware ブドウの結実樹を果実の完熟前約1か月間 (8月6日~9月10日), 毎日夜間 (午後6時~午前8時) に15°,22°, 28°, および35°Cの恒温室に入れ, 昼間は自然の浴光下におき, それぞれの収穫期における果実の品質を比較した。
    2) 果皮が品種固有の状態に完全着色したときをもつて完熟期とすると, 28°C区は8月27日, 22°C区は9月3日, 15°C区は9月10日が完熟期であり, 35°C区はその後もついに完全着色しなかつた。9月10日に果皮の色素含量を比色法によつて比較したのに, 28°≥22°>15°>35°Cの順であつた。
    3) 果汁の可溶性固形物含量 (屈折糖度計) は各区とも成熟のすすむにつれて増加した。ただし, 8月27日に28°>22°>15°>35°Cであつたものが, 9月3日には28°=22°>15°>35°Cとなり, 9月10日には22°>15°>28°>35°Cとなつた。この場合, 主な糖の種類 (ペーパークロマトグラフィ法) はブドウ糖と果糖であつたが, 各区の完熟期には両者はほぼ等量であり, さらに熟期がすすむとブドウ糖よりも果糖が多くなつた。
    4) 遊離酸含量 (滴定法) は成熟とともに急激に減少し, その傾向は高温区ほどすみやかであつたが, 過熟になると各区の間でいちじるしい相違がなくなつた。この場合の主な遊離酸は酒石酸とリンゴ酸であり, 成熟がすすむほど, あるいは高温なほどリンゴ酸の消失が目だつた。
    5) わが国のブドウの主産地から完熟期の Delaware の果実を取り寄せ, その品質と収穫期前1か月間の日平均気温との関係をみた。その結果, 気温が22~28°Cの範囲内では, 気温が低いほど熟期は遅れるが, 果汁中の可溶性固形物および遊離酸の含量がともに多くなり, 着色が良好であつた。しかも, 気温の低い長野では果糖がブドウ糖よりも多く, 反対に気温の高い香川では遊離酸の中のリンゴ酸含量が少なかつた。
  • 正常および高温処理をうけたつぼみの雌雄ずいの形態的観察
    岩堀 修一
    1965 年 34 巻 1 号 p. 33-41
    発行日: 1965年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    高温処理をうけたつぼみの雌雄ずいの形態的異常を, 正常なものの発育経過と対比しながら観察した。用いた品種は福寿2号である。高温処理は40°C1日3時間ずつ2日間行ない, 処理直後と5日後の2回つぼみを採取して, FAA固定, DELAFIELD′s haematoxylin で染色, 検鏡した。つぼみの長さと開花日までの日数の間に高い相関があつたので, 高温処理直前に測定したつぼみの長さから処理時のステージを推定した。
    正常なつぼみの発育は以下のようであつた。開花10日前: 胚のう母細胞, 花粉母細胞, 開花9~8日前: 花粉母細胞減数分裂, 花粉4分子形成, それより1日ほど遅れて胚のう母細胞減数分裂。開花7~3日前: 胚のう細胞は減数分裂3分子退化後, 核が3回分裂して, 卵細胞, 助細胞, 極核, 反足細胞を形成, 花粉は4分子離散, 収縮, 後肥大し, 2核となつて発芽孔を完成, 球状になつて形態的には成熟する。開花2~1日前: 助細胞は洋梨状となり, 極核は融合して中心核形成, 反足細胞は崩かいし, 胚のうは形態的に完成する。
    減数分裂期に高温処理をうけた花粉はすべて濃く染まり, 原形質分離を起したようになるが, 後空きよとなつた。タペート細胞は消失せず, むしろ肥大した。高温処理時の花粉のステージが進むにつれ, 空きよ花粉の出現の頻度は少なくなり, 完成花粉では高温処理をうけても形態的な異常はみられなかつた。
    減数分裂期に高温処理をうけた胚のうは処理直後は形態的な異常はみられなかつたが, 5日後にはステージが進んでおらず, 崩かいが観察された。その後のステージに高温をうけた胚のうでも, 処理5日後に卵細胞や極核が崩かいしたり, 発育が遅れたものが見いだされた。しかし開花2~1日前に高温処理をうけた胚のうでは形態的な異常は認められなかつた。
    減数分裂期以前の花粉母細胞や胚のう母細胞の時期に高温処理をうけたものには形態的な異常は観察されなかつた。
    以上の結果は前に報告した圃場実験で得られた不結実の傾向とよく一致していた。
  • たい積土における団粒の形成, 崩壊と腐植化
    高橋 和彦, 李柄 〓, 吉田 雅夫
    1965 年 34 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 1965年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    温床育苗用の床土をたい積熟成中に, どのような過程, 機構で土粒の団粒化が行なわれているかを知る目的で次の2実験を行なつた。
    1. まずA土 (関東ローム赤土+新鮮な畑雑草), B土 (砂壌土+乾燥したイネワラ, モミガラ) およびC土(関東ローム黒ボク+ほとんど完熟したイネワラ主体のたい厩肥) の3たい積土より採土し, 団粒および機械分析を行なつた。
    A土ではたい積により団粒化が行なわれたが, 最終採土時にはかなり崩壊しており, 基土よりもむしろ団粒が少なくなつていた。B土ではたい積期間中団粒が漸増し, C土ではほとんど不変であつた。
    2. 次に東大農学部ほ場で, 火山灰土黒ボクとイネワラまたは腐葉土を混合し, それに石灰窒素施用量を変えてたい積した土について団粒分析, および腐植化の程度を調べた。ワラ区では腐植の進行にともなつて団粒化が進むが, さらに進行すると崩壊した。腐葉土区では団粒の形成は少N区を除いては顕著でなかつた。
    ワラ多N区は少N区に比べ腐植化が遅れ団粒化も遅れた。たい積開始時に土と有機物を混合した場合と, 層にたい積した場合には, 後者は団粒化がそれほど顕著に行なわれなかつた。
    3. 以上の結果から, 土や有機物の性質, 施肥量, たい積の方法などにより団粒の形成, 崩壊の様相が異なり, それらは主として微生物による有機物の分解腐熟作用に影響されているものと思われた。
  • 花蕾の分化発育に関する生理学的研究
    加藤 徹
    1965 年 34 巻 1 号 p. 49-56
    発行日: 1965年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    ハナヤサイの花蕾形成に関する生理学的基礎資料を得る目的で, ほ場栽培および phytotron で育成した野崎早生, Eariy Snowball A を供試して頂芽部の Auxin, Gibberellin, Nucleic acid および茎内の炭水化物, 窒素化合物を分析して検討した。
    1. 夏まき苗は春まき苗にくらべ, 大苗になつてから花蕾を形成していた。
    これら生育に伴う体内成分の消長は次のとおりである。
    (1) 炭水化物•窒素化合物は生育に伴つて増加していたが, とくに可溶性糖分の蓄積が著しい。
    炭水化物および窒素化合物は花蕾分化時に最高値を示し, 以後花蕾の発達とともに減少していた。
    (2) Auxin は花蕾分化の直前に少なく, その前後に多く含まれていた。特にIAAに相当するRfの部分のAuxin が少なくなつていた。
    (3) 生育期間中 Gibberellin 含量は非常に少ないが,花蕾分化後増加していた。
    (4) Nucleic acid のうちDNAは生育に伴つて著しい変動がみられなかつたが, 花蕾形成後わずか増加していた。一方 RNA は生育に伴なつて顕著に増加し, 花蕾形成前一時低下し, 花蕾形成後また増加していた。
    花蕾形成前と花蕾形成後のRNAの塩基組成を調査した結果, 形成前は Purine 系塩基が Pyrimidine 系塩基より相対的に多かつたが, 分化後は逆に Pyrimidine 系塩基が Purine 系塩基より多くなつていた。
    2. 10°C, 17°C および25°Cの Phytotron 内にてEarly Snowball A を生育せしめると, 10°C区では5日目に, 17°C区では10日目にそれぞれ花蕾を形成し, 25°C区では花蕾がみとめられなかつた。
    それに対応する体内成分の消長は次のとおりであつた。
    (1) 25°C区では可溶性糖分も不溶性糖分も少なかつた。処理温度が低下するにつれて可溶性糖分も不溶性糖分も急速に増加し, 10°C区では最も早く最高に達していた。一方窒素化合物は逆に25°C区で急激に増加していた。処理温度が低下するにつれて, 窒素含量は少なく, 花蕾形成時最高を示していた。
    (2) 頂芽部における Gibberellin は花蕾形成後顕著に増加し, 10°C区は10日目から, 17°C区は15日目から増加していたのに対し, 25°C区ではわずかしか増加していなかつた。
    (3) DNA は花蕾形成後少しずつ増加したが花蕾形成前はほとんど変化がみられなかつた。一方 RNA は25°C区において著しい増加がみられたのに対し, 10°C区では処理後一時減少し, 17°C区では処理後一時増加してPeak に達し, 後減少して花蕾を分化した。
    3. 以上の結果にもとづいて, ハナヤサイの花蕾形成は低温によつて Auxin の一時的低下が招来され, それに伴つてRNAの質的転換が起つて花蕾を分化するものと考えられる。RNAの質的転換は Purine 系塩基の相対的な減少, Pyrimidine 系塩基の相対的増加となつて現われるものと思われる。
  • 短日処理開始後の各週における散布の影響
    田中 豊秀, 塚本 洋太郎
    1965 年 34 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 1965年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    1. キクの品種新東亜を用い, 短日処理開始後の各週にNAA, ジベレリンを散布して生長, 発蕾, 開花におよぼす影響を調べた。
    2. 7月中旬から限界日長の短日処理をした場合, 第3週目は最も茎の伸長の著しい時期で, このときに与えたNAAおよびジベレリンは他の週に与えられたものに比し, それぞれ生長抑制と促進が目だち, NAAでは開花を抑制した。
    3. 9月1日から自然の短日日長を与え第2週目にNAAおよびNAAとジベレリンの混合液を散布すると他の週に与えられたものに比し発蕾を抑制した。
    4. 舌状花数はNAAの第3週目の散布で減少した。
  • Cymbidium種子の発芽および発育について
    鳥潟 博高, 沢 完, 志佐 誠
    1965 年 34 巻 1 号 p. 63-70
    発行日: 1965年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    Cymbidium の無菌発芽および実生の発育に対し, 好適培養基探求のために実験を行ない, 以下の結果を得た。
    1) 熱帯産 Cymbidium hybrid の種子の無菌培養基としては KNUDSON C液および BURGEFF Eg-1液が良い成績を示し, KNUDSON B 液およびVACINとWENTのトマト汁培養基はこれより劣つた。
    2) ペプトン加用の fish soluble 培養基は生長促進効果が認められた。
    3) KNUDSON C 培養基に対する添加物として, L-アルギニンおよびL-アスパラギン酸の加用は Cymbidiumの生長を促進したが, グルタミン酸はその効果が認められなかつた。一方, ビタミン類ではB2およびCで実生の生長促進が認められた。
    4) KNUDSON C 培養基にNAAを添加すると, 0.1.ppm でも Cymbidium の種子発芽を阻害するが, 実生の発育に対しては0.1~1.0ppm の濃度で著しい促進効果を示した。とくに移植培養基にNAAを添加した場合に顕著に生長促進作用が認められた。
    5) KNUDSON C 培養基に蚕蛹抽出物を加えたものは. 生長を促進したが, 血粉の分解抽出物ではなんらの効果も認められなかつた。
  • 抑制栽培における摘心時の成熟葉の役割について
    小西 国義, 稲葉 久仁雄
    1965 年 34 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 1965年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    摘心して伸長させる側枝の位置と主茎に残す成熟葉とが, その側枝の生長•開花に及ぼす影響をしらべた。側枝は下から1節または3節目のものを伸長させ, 主茎にはその側枝に近い葉を0, 2, 4 または6枚残して他は摘心と同時に摘除した。
    1. 0葉区の側枝の伸長は非常におくれ, 開花も他の区に比べて約25日おくれた。2葉以上の区では2葉区が劣つたが, 茎長, 開花期の差はいずれもわずであつた。
    2. 1節目の側枝と3節目のそれとでは, いずれの葉数区も後者の方が早く開花した。
    3. 切り花品質としての茎長, 切り花重および節数は2葉以上の区では2葉区がわずかに劣つた。0葉区は1節目の側枝では茎長, 重さ, 節数ともにきわめて大きく, 3節目の側枝の場合は茎長, 重さは他の区より小さかつたが, 節数はわずかに大きかつた。
    4. 1節目と3節目の側枝とで切り花品質を比較すると, いずれの葉数区も前者がすぐれており, 3節目のものには切り花として不十分なものもわずかに認められた。
    5. 3節0葉区は前後2つの時期に分れて開花した。前期に開花したものは後期のものに比べて茎長, 切り花重, 節数ともにきわめて小さく, とくに節数は3節2葉区と近かつた。
    6. このことは側枝の花芽分化がひじように早い時期に行なわれ, 3節目の側枝の一部は摘心時にすでにflower induction を受けていたことを示すものと考えられる。
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