白ワイン用原料ブドウ ‘リースリング’, ‘シャルドンネ’, ‘甲州’, ‘リースリング•リヨン’について, 果粒成熟中の果汁成分変化と栽培上の特性を調査した.
1. 完熟期は‘甲州’が10月中旬, 他の3品種は9月中旬で, その時の果粒重は‘甲州’が4.0g, ‘リースリング•リヨン’が3.4gと大粒で, ‘シャルドンネ’は1.9g, ‘リースリング’は1.6gと小粒であった.
2. 果汁pHはそれぞれ特徴ある変化を示し, 完熟期には‘リースリング’, ‘シャルドンネ’は3.5, ‘リースリング•リヨン’は3.3, ‘甲州’は3.2と低かった.
3. 糖度において, ‘リースリング’, ‘シャルドンネ’‘リースリング•リヨン’は9月上旬に15%に達し, 9月下旬に18, 19%の最高値に達した. ‘甲州’は9月下旬に15%に達し, 10月中旬に17%の最高値に達した.
4. 酸度は‘リースリング’, ‘シャルドンネ’ともに7月下旬に, ‘リースリング•リヨン’, ‘甲州’はややおくれて, 8月上旬に最大値に達した. 完熟期に‘リースリング’は0.60g/100ml, 他の3品種は0.70g/100ml以上であった.
5. 完熟期の糖酸比はいずれも20以上で, その時期, 糖度(%), 酸度(g/100ml), 糖酸比は‘リースリング’9月中旬, 17.3, 0.76, 22.8; ‘シャルドンネ’9月中旬, 17.7, 0.88, 20.1; ‘甲州’10月上旬, 17.7, 0.88, 20.2; ‘リースリング•リヨン’9月下旬, 18.4, 0.81, 22.7であった.
6. 完熟期の酒石酸•リンゴ酸比 (T/M) とブドウ糖•果糖比 (G/F) は‘リースリング’1.5, 0.9, ‘シャルドンネ’は1.1, 1.0, ‘甲州’は2.0, 0.9, ‘リースリング•リヨン’は1.6, 1.0であった.
7. 栽培上の特性は, ‘リースリング’は密着果房で裂果しやすく, 白腐れ病, 晩腐病に弱い. 成熟日数が短いことから寒冷地の栽培に適している. ‘シャルドンネ’は病害に強く, 収量も多く, 栽培しやすい品種で, 寒冷地の栽培に適している. ‘甲州’, ‘リースリング•リヨン’はべと病にやや弱いが栽培しやすい品種で, ‘リースリング•リヨン’は収量規制が必要であった.
8. 利き酒の結果, ‘リースリング’はアロマ弱く, ボディーも不足していた. ‘シャルドンネ’はフルーティーでボディーもあり, 調和がとれていた. ‘甲州’はフレッシュでフルーティーであった. ‘リースリング•リヨン’は際立った特徴はなく, 少々水っぱかった.
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