14年生 (1980年) 及び16年生 (1982年) の‘キャンベル•アーリー’を用い, 1980年はエチクロゼート並びにNAAの各100及び200ppm溶液による葉面, 花穂の両処理を行い, 1982年は各50, 75及び100ppmの葉面処理を行って, それらの摘粒効果を調査した. また,1979年及び1980年に, 3年生‘キャンベル•アーリー’幼樹について, NAAの葉面及び花穂処理を行い, 処理部位の違いが花穂への同化産物の転流に及ぼす影響を
14Cを用いて調査した.
1. エチクロゼート及びNAAは葉面処理によって正常果粒数を減少させ, 摘粒効果を示したが, その程度は年によって大きく変動した. また, いずれも処理後5~8日に脱粒が多かった. なお, 花穂処理でも正常果粒数を減少させたが, 無核小果粒の着生が増加し, 高濃度ほど著しかった.
2. エチクロゼート及びNAAは果粒の肥大を促進する傾向であった. 両者とも糖度には影響を与えなかったが, 酸度を減少させ, かつ, その減少は葉面処理の方が花穂処理よりも大きい傾向がみられた.
3. エチクロゼート及びNAAの葉面処理によって処理後数時間から7~10日間, 結果枝先端部や葉に下垂症状がみられ, 結果枝の伸長を阻害した.
4. NAAの葉面処理によって
14Cの全転流率が著しく低下した. 花穂処理は無処理とほぼ同じであった.
5. 花穂の上位2節目の葉からの同化産物は, NAAの花穂処理及び無処理では, 大部分が花穂着生位置より上部へ移行したが, 葉面処理では下部へ移行するものの割合が著しく増加した.
6. 花穂の直上葉からの同化産物は, 無処理では初め花穂着生位置より上部に多く移行したが, 日数の経過につれて, 花穂並びに下部への移行が次第に増加した.NAAの花穂処理では, 処理4日後までは花穂着生位置より上部への移行が増加したが, 処理7日後には花穂並びに下部への移行が激増した. 葉面処理では, 処理4日後までは花穂着生位置より上部への移行が減少し, 花穂への移行が増加したが, 処理7日後には上部への移行が回復し, 花穂への移行が激減した.
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