火山灰土壌下層土の床土量が, 温室メロンの生育と果実の肥大及び品質に及ぼす影響について検討した.
1. 火山灰土壌下層土区は, 沖積土壌区に比べて初期生育は劣ったが後期には差がなくなった. 1株当たりの床土量では10kg区が最も劣り, 15, 20, 25kg区の順に生育は勝った.
2. 果実の発育肥大と重量は沖積土壌区に比べて火山灰土壌下層区が勝り, 両土壌とも10kg区で劣ったが, 床土量を増すにつれて果実の重量は増加した.
3. 果実のネット及び果形, 果色など外観的品質は, 火山灰土壌下層土では15kg, 沖積土壌では20kg以上の区が良好であった.
4. 果実の糖度, 糖含量 (ショ糖, ブドウ糖, 果糖) について, 火山灰土壌下層土区は沖積土壌区に比べて糖度, ショ糖, 果糖含量には顕著な差がなかったが, ブドウ糖含量が高かった. 糖含量の合計は床土量の20, 25kg区が高く, 10, 15kg区で低かった.
5. 果実のクエン酸含量は, 沖積土壌区に比べて火山灰土壌下層土区が低く, 床土量を増すにつれて高まった.
6. 果実の水溶性ペクチン含量は, 沖積土壌区に比べて火山灰土壌下層土区が全般的に高く, 床土量による差はなかった.
7. 果実の食味は, 沖積土壌区に比べて火山灰土壌下層土区がわずかに劣った. 床土量では10kg区が最も劣り, 15, 20kg区が良好であった.
8. 植物体のリン酸含量は沖積土壌区に比べて火山灰土壌下層土区が低く, カリウム, カルシウム, マグネシウム含量が高かった. 床土量を増すにつれてリン酸, カリウム含量が低く, カルシウム, マグネシウム含量が高くなった.
9. 以上の結果から, 本実験では1株当たりの床土量は, 沖積土壌の20~25kgに対して火山灰土壌下層土では15~20kgが適量と思われた. すなわち, 火山灰土壌下層土を床土に利用する場合, 床土量を減じても沖積土壌と同様に利用し得ることが明らかになった.
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