1. メロン, キュウリ, トカドヘチマの果柄と果実の維管束連絡は, 主として, 果柄→果托→果皮 (外果皮→中果皮→内果皮)→隔壁→果心→胎座→種子の順序であった. 果柄頂部から直接果心部へ連絡する維管束も観察されたが, 果托部の維管束より細く, 本数も少なかった.
2. 維管束の基本数は, 果柄頂部, 果托部及び外果皮部では10本, 果心部では1心皮当たり1本, 胎座部では1種子当たり1本であった. 中果皮部と内果皮部及び隔壁部では多くの維管束が認められ, 基本数は決定できなかった.
3. 維管束の走向は, 果柄, 果托部, 外果皮部, 内果皮部及び果心部では求頂的であり, 中果皮部, 隔壁部及び胎座部では果実横断面において, それぞれ, 接線方向, 求心的及び遠心的であった.
4. マクワウリ‘早田ウリ’の両性花の心皮数は3~6枚の範囲であったが, 5枚の花が最も多かった. 夜温が低いと5枚の花が多く, 夜温が高いと3, 4枚の花が増加した. 心皮数5枚の花では, 5枚の心皮と花托部•外果皮部の10本の維管束との対応が最も整っていたので, 早田ウリの心皮の基本数は5枚とみられた.
5. 早田ウリの心皮の配列型を心皮の大きさを考慮してみると, 心皮数3枚の両性花では4種類, 4枚の両性花では8種類, 5枚の両性花では5種類が観察された.
6. 心皮の配列型 (第2~4表) の出現率は, 心皮数3枚ではIII
1, 4枚ではIV
1 とIV
3, 5枚ではV
2 とV
4が多かった.
7. ウリ科野菜の心皮が個体発生の過程で普通葉の場合と同様に1枚から5枚に増加すると考えれば, 主として, I, II
1, III
1, IV
1 又はIV
3, V
2又はV
4の配列型になるものと考えられた (第12図).
8. 以上の結果, 1個の子房や果実を構成する複数の心皮の間に本来の発生位置や時期の違いがあるものと考えられた. したがって, 特定の心皮の発生位置や時期の違いが特定の心皮ひいては, 子房や果実の特定の部位の肥大の良, 不良と関係すると考えられた.
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