園芸学会雑誌
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58 巻 , 4 号
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  • 石田 雅士, 平田 元, 北島 宣, 傍島 善次
    1990 年 58 巻 4 号 p. 793-800
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    果実の気孔が果実発育にどのようにかかわっているのかの基礎資料を得るために, ネクタリン果実を用い, 果実表面の気孔の発達, 密度及び気孔開度の日変化について調べた.
    1. 果実発育第1期の5月初旬, 果実の発育が最も盛んな時期に, 気孔は急速に発達した.
    2. 気孔の密度は, 赤道部が最も高く(1.2×104個/cm2), 他の部分は低かった. また, 縫合線部には気孔は存在しなかった.
    3. 気孔は果頂部で大きく, よく発達していたが, 果底部へ行くにしたがって小さくなり, 未発達の気孔が多く認められた.
    4. 気孔開度の日変化は, 日中と深夜に2つのピークを示した. また, 暗処理した果実でも夜間に気孔は開いていた.
    これらの結果から, 果実の気孔は夜間や暗処理した場合も開いて, ガス交換を行っていることが示唆された. したがって, 果実の気孔は明らかに葉とは別の生理的機作をもつことが推察された.
  • 土田 廣信, 水野 進, 小机 信行
    1990 年 58 巻 4 号 p. 801-805
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    本報はモモ果実 (Prunus persica) ‘大久保’を収穫後, 20°Cに貯蔵し, 追熟, 老化に伴うアブシジン酸 (ABA) 及びファゼイン酸 (PA) の消長について検討を行ったものである.
    1. 収穫当初のモモ果実のABA総含量は0.12μg/gFWであったが, 追熟に伴い増加し, 貯蔵5日後には最高値4.20μg/gFWに達した. ABAの二つの異性体(cis- 及び trans- 体) の存在割合をガスクロマトグラフィー (GC) 及びガスクロマトグラフィー•マススペクトロメトリー (GC-MS) で検討した結果, 追熟に伴い増加したABAのほとんどのものが trans- 異性体であることが確認された.
    2. ABAの代謝産物のうち, ABA様生理活性を有することが知られているPAがモモ果肉中に存在することを確認すると同時に貯蔵中のその含量の消長について検討を行った. その結果, PAは追熟, 老化に伴いほぼ線的に急速に増加することが明らかになった. この消パターンは果肉の軟化の消長パターンと逆の関係にあことから, PAは果肉の軟化に何らかの形で関与してるものと思われた.
  • 原田 久, 板村 裕之, 平 智, 鄭 国華
    1990 年 58 巻 4 号 p. 807-811
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    1. ‘次郎’の果実の肥大と果実中の可溶性タンニン含量の変化を山形と京都において調査し, それらと両地域における気温の推移との関係を比較検討した. その結果, 両地域とも果実の肥大に伴って可溶性タンニン含量が減少し, 京都では8月上中旬にほぼ完全に消失したのに対し, 山形ではある程度まで減少したのち, その後の減少が徐々で9月下旬においても渋味の消失のみられない年があった. このような両地域における可溶性タンニン含量の変化にみられる差異は, 果実発育期の日平均気温, とくに生育後期における日平均気温の相違によるものと推察された.
    山形では, 果実の生育初期が低温で経過した場合, 可溶性タンニンの減少が抑えられる傾向がみられた. しかし, 果実内にわずかに残った可溶性タンニンの消失とその時期における日平均気温との関係は必ずしも明らかではなかった.
    2. 山形において, 同じ日に採取した果実でみた場合, 新鮮重の大きな果実ほど可溶性タンニン含量が少ない傾向がみられた.
    3. 京都において, 完全甘ガキの11品種を供試し,果実肥大と可溶性タンニン含量の変化との関係を調査した. その結果, 各品種の可溶性タンニン含量の減少速度には品種間で大きな差が認められず, また品種固有の果実肥大の様相との間に明確な関係が認められなかった. しかし, 渋の残り易い品種ほど生育初期における可溶性タンニン含量が高い傾向がみられた.
  • 平 智, 板村 裕之, 阿部 喜至夫, 大井 欣也, 渡部 俊三
    1990 年 58 巻 4 号 p. 813-818
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    カキ‘平核無’果実の脱渋性に及ぼす熟度の影響について調査した.
    脱渋処理は20°Cの温度条件のもとで, 異なる濃度のエタノール溶液を脱渋剤として行った.
    脱渋は未熟果ほど, また, 高濃度の脱渋剤処理果ほど速く, かつ, 果肉硬度の低下も速かった.
    果実中に取り込まれるエタノール量は脱渋剤の濃度が高いほど多かったが, 果実の熟度にはあまり影響されなかった. しかしながら, 果肉に含まれるアセトアルデヒドの量は, 果実の熟度によって異なり, 未熟果ほど多かった.
    以上の結果から, 未熟果ほど脱渋しやすいのは, 果実内に取り込まれたエタノールが果実内でアセトアルデヒドに転換されやすいことが主な原因のひとつであると推察された.
  • 副島 淳一, 渡辺 正子, 森口 卓哉, 山木 昭平
    1990 年 58 巻 4 号 p. 819-826
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    リンゴの茎, 葉, 果実に含まれるアブシジン酸 (ABA) 量が, エレクトロンキャプチャー検出器を備えたガスクロマトグラフィー (GLC-ECD), 及びモノクローナル抗体を用いた酵素免疫分析 (ELISA-MA) 法によって, 一致するかどうかを確かめた.
    遊離型と結合型ABAの定量のために, 各試料をメタノール抽出, 酢酸エチルによる分配, 薄層クロマトグラフィー (TLC) 分離などによって精製そしてメチル化後, GLC-ECDによって分離•定量したところ, 試料はABAの純品と一致する保持時間に明瞭なピークを示した. これらの明瞭なピークはガスクロマトグラフィー質量分析計 (GC-MS) による解析の結果, 主にABAから構成されることが確認された. 即ち, リンゴの各器官からの内生ABAはGLC-ECDによって定量的に分析できることが明らかになった.
    ELISA-MA法によりリンゴの各器官に含まれる内生ABA量を定量したところ, 上述のようにGLC-ECDによる分析試料と同じ前処理をした場合には, 各器官に含まれるABA量はGLC-ECDによる値と良く一致した. 茎や葉の場合にはいくつかの前処理の段階を省くことができた. さらに, モノクローナル抗体のABAに対する結合性は非常に高いので, 茎, 葉, 果実それぞれ50, 50,200μg新鮮重のレベルでABAの検知が可能である.
    以上より, ELISA-MA法による内生ABAの定量は, それぞれの試料に適した前処理法を行えば, 生体試料, 特にミクロ組織に含まれるABA量を定量出来る優れた方法であることが判明した.
  • 小池 洋男, 吉沢 しおり, 塚原 一幸
    1990 年 58 巻 4 号 p. 827-834
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    M. 26わい性台木における‘ふじ’の適正な着果基準を確立するため, 葉果比と収量, 果実品質並びに生育との関係を検討するとともに, 着果量と純生産量の分配及び生産力について検討した.
    1. 7月上旬に決定した葉果比と収量, 果実品質, 新梢重, 及び次年度の花芽率との間には高い相関関係が認められた.
    2. 平均果重及び果実糖度は葉果比の増大とともに増加したが, 葉果比が90程度以上では増加が鈍り, その値は品種特性発現の限界と判断された.
    3. 新梢重並びに次年度の花芽率は葉果比の増大とともに増加したが, 収量は葉果比の増大にともなって減少する傾向であった.
    4. 葉果比と果実品質, 生育並びに収量との関係の回帰式による推定値から, 長野県果樹試験場のほ場条件におけるM. 26台木の‘ふじ’は50~60程度の葉果比により高品質果実を安定生産出来ると予測された.
    5. 普通着果のM. 26台木における9年生の‘ふじ’の平均純生産量は8,357g/樹•年で, 10a当り167本植えに換算すると1,936kg/10a•年となり, 多着果樹の8,133g/樹, 1,358kg/10a•年との間に大きな差は認められなかった.
    6. 普通着果樹の単位葉量当り純生産量 (純生産量/乾物葉重) は8.34g, 多着果樹では11.00gとなり, また単位葉量当り果実生産量 (乾物果実生産量/乾物葉重)は普通着果区が4.53g, 多着果区が8.34gであった.着果量を多くすると単位葉重当りの果実生産量が急増し, 単位葉重当りの純生産も増加する結果となった.
    7. 純生産量は普通着果樹で49%, 多着果樹では73%が果実へ分配された.
    8. 長野県果樹試験場 (須坂市) で栽培されている普通着果の9年生‘ふじ’/M. 26の単位葉量当り純生産量を8.0gと仮定すると, 本研究の供試樹は1,397kg/10a•年の乾物生産量となり, その約50%が果実に分配されるため, 理論上の新鮮果実4,103kg/10a•年の生産が予測される.
    9. 以上のことから, M. 26台木における成木の‘ふじ’の着果基準は50~60枚程度の葉果比が栽培上適当と判断出来, 標準的な園では4~5tの収量を目標とすることが可能と思われる.
  • 渡辺 慶一, 高橋 文次郎, 白戸 一士
    1990 年 58 巻 4 号 p. 835-840
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    キウイフルーツ (A. deliciosa) の雄性品種‘マチュア’, 雌性品種‘アボット’, ‘ブルーノ’及びマタタビ(A. polygama), サルナシ(A. arguta) を用いて体細胞染色体, 減数分裂について観察調査を行った. キウイフルーツの3品種の体細胞染色体数は2n=174であり, マタタビの2種では2n=58, サルナシの4種では2n=58, 2n=116, 2n=ca. 174と算定された.
    これらの染色体数から, Actinidia においてはx=29が基本数であることが認められた.
    サルナシにおいては, 2仁を有する2n=58, 4仁を有する2n=116と仁数は不明確であったが2n=ca. 174の2x, 4x, 6xの倍数関係が示された. 本報のマタタビは2n=58の2倍性であったが, これまでに報告された2n=116の存在を考えると両者の間には, 2xと4xの同質倍数性関係があるのかもしれない. 本研究の2n=174のキウイフルーツの3品種‘マチュア’, ‘アボット’, 及び‘ブルーノ’は体細胞核に6仁または小胞子核で3仁を有し, いずれも基本数x=29の6倍性を示している.
  • 志村 勲, 樋口 幸男, 石川 駿二
    1990 年 58 巻 4 号 p. 841-847
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    尿素系サイトカイニン, 4-ピリジル尿素 (4PU) を用いキウィフルーツ新梢節間の培養を行い, それからのシュート形成とその伸長に及ぼすGAの影響を調査した. 培養はMS+ショ糖 (30g/l)+寒天 (7g/l) の基本培地に所定濃度の4PU, NAA, BA等を加えた培地を用い, 25°C, 連続明条件下で行った.
    実験結果は次のように要約される.
    1. 4PU (0.02~20.0ppm) 処理区では濃度にかかわらず一次カルスからのシュート分化が認められた. 高濃度区 (0.2ppm以上) で分化したシュートは, 葉状のものであり, それらからはシュートの伸長がみられなかった. 低濃度区 (0.02ppm) では伸長したシュートが得られた. なお, 新梢節間組織は生長調節物質無添加のMS培地にショ糖 (30g/l) と寒天 (7g/l) を添加した基本培地のみでもシュートを分化した.
    2. 材料の採取時期 (5, 7, 8, 9月) にかかわらず, 4PU 2ppm区は0.02ppm区に比べ高率で一次カルスからのシュート分化を生じたが, 前者は全て葉状のシュートであった. 降雨期に採取した試料は外植体の汚染率が高かった.
    3. GA4+7及びGA3 (0.1~10.0ppm) を含む4PU2ppm培地での培養でもシュートの伸長は認められなかった. カルスからの葉状シュートの分化はGA濃度が高まるにつれて抑制された.
    4. 4PU処理により生じた一次カルスからのシュート形成は置床20日後のカルス上に葉原基と生長点の分化が観察されたことから, 不定芽形成によるものであることが確認された.
  • 澤登 早苗, 志村 勲
    1990 年 58 巻 4 号 p. 849-857
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    キウイフルーツ果実の発育•成熟特性と, それに及ぼす産地及び栽培年次の影響を検討するため, 晩秋まで比較的温暖である神奈川県小田原市と秋季早くから気温低下がみられる山梨県牧丘町の果樹園で栽培されている‘ヘイワード’を供試して果実の特性調査を行なった. 調査は幼果期から成熟期までの果実の肥大 (果径, 生体重, 乾物重), 果肉硬度, 呼吸及びエチレン排出量, 可溶性固形物含量, 滴定酸度, 糖及びデンプン含量, 並びに有機酸含量の推移について行なった.
    1. 果径は, 開花後6~8週間目頃まで急激に肥大し, その後は開花後20週間目頃まで緩やかな肥大を示した.
    2. 果実の呼吸量は, 幼果期に最も高く, 発育に伴い漸減して開花後20±2週間目で最小となり, その後再び増大する傾向を示した.
    果実からのエチレン排出は全発育期間をとおして認められなかった.
    3. デンプン含量は, 発育に伴い増加し開花後20週間目頃に最大となり, その後急激に減少した. 両年次ともデンプン含量には産地間差異が認められ, 神奈川産果実の方が山梨産果実より高かった. 全糖含量及び可溶性固形物含量は, 開花後18~20週間目以降急激に増加した. 主な構成糖はショ糖, 果糖並びにブドウ糖であった.
    4. 総有機酸含量には全発育期間をとおして大きな変動が見られなかったが, 主要構成酸 (特にキナ酸とクエン酸) の含量及びその量比は大きく変化した. すなわち, キナ酸含量は幼果で高く (総有機酸含量の90%以上), その後は開花後20週間目頃まで減少した. 一方,クエン酸含量は幼果で低く, 発育と伴に開花後20週間目頃まで増加した. 開花後20週間目以降の果実では,両者はほぼ同量か後者がわずかに上回っていた.
    5. 以上の結果から果実諸形質の推移パターンには産地間あるいは年次間での相違が認められないが, デンプン含量, 全炭水化物含量, クエン酸含量及び有機酸組成には産地間差異が認められ, また可溶性固形物含量並びに糖含量の増加時期及び糖組成には年次間差異のあることが明らかになった.
  • 間苧谷 徹, 寿松木 章, 田中 敬一, 木村 和彦, 杉浦 俊彦, 熊本 修, 西村 達弘, 大島 康平, 正田 友章
    1990 年 58 巻 4 号 p. 859-863
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    ‘幸水’及び‘新高’の裂果防止技術について検討し, 果実肥大の面から裂果の発生機構について若干の考察を行った.
    1. GAテープを満開30日後頃にていあ部 (‘幸水’ のみ) あるいは果梗部に貼付すると (それぞれをていあ区, 果梗区), 顕著な裂果抑制効果があった. その効果は特にていあ区で優れた.
    2. 無処理の対照区に比べ, ていあ区及び果梗区では収穫時の1果重が重くなった. 果肉硬度及び果汁の屈折計示度は処理間に大差なかった.
    3. GAテープの貼付により裂果が抑制できたのは, GAが果肉の細胞数を増加させたためではなく, 果頂部の細胞肥大を促し, 果実全体が均衡を保ちながら肥大したためと思われた.
  • 高溝 正, 杉山 信男
    1990 年 58 巻 4 号 p. 865-869
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    ブルーベリーのNH4及びNO3同化能力を明らかにする目的で, 施用N形態とともに培養液のN濃度またはpHを変えて, ラビットアイ•ブルーベリーを砂耕し, 生育と体内N成分濃度を調べた.
    施用N濃度が14ppmの場合には, いずれのN形態でも生育が悪く, N形態間で生育に有意差は認められなかった. 56ppmまたは140ppmでは, NH4区やNO3区よりもNH4NO3区で生育が優れた.
    PH 7の場合にはNH4区の方がNO3区よりも生育が優れたが, pH 4と5.5の場合には両区間に有意差は認められなかった.
    施用NH4濃度を高めると, NH4区では, 葉中NH4濃度が著しく高まったが, アミド態N濃度の上昇はわずかであった. 施用NO3濃度を140ppmに高めても, 葉, 根ともにNO3は蓄積しなかった. 亜硝酸はいずれの部位においても検出されなかった.
    以上の結果は, ブルーベリーが過剰のNH4を同化する能力が劣り, NO3を吸収する能力が劣る作物であることを示すものと思われた.
  • 橘 温
    1990 年 58 巻 4 号 p. 871-875
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    ワセウンシュウ‘宮川早生’を用い, 栽植密度1,250本/haと2,500本/ha, 及び5,000本/haと10,000本/haを込みにした低密度区及び高密度区において, 栽植密度が果実生産力 (単位葉面積当たり結実量, kg/m2), 圃場面積当たり収量 (t/ha), 葉面積指数(LAI) 及び樹冠占有面積率に及ぼす影響, ならびに果実生産力, LAI及び樹冠占有面積率と収量との関係を検討した.
    1. 低密度区の果実生産力は10~21年生時にわずかな減少 (1.21~1.00kg/m2) を示したが, 高密度区においては4~17年生時に大きく減少した (0.93~0.50kg/m2). 高密度区は, 低密度区よりつねに高いLAI及び樹冠占有面積率を示した.
    2. LAI及び樹冠占有面積率と果実生産力との関係において, LAIが5及び樹冠占有面積率が80%までの範囲では, 果実生産力はほとんど変化せず, 両者の値がそれより大きい場合に減少傾向を示した.
    3. 樹齢にともなう収量の増大は, 最初は主にLAIあるいは樹冠占有面積率の著しい増大によるものであり, それ以後の収量の減少は主に果実生産力の著しい減少によるものであった.
    4. 高密度区及び低密度区の収量はほぼ11年生時に同値 (60t/ha) となったが, それまでは高密度区が, 以後低密度区が優った.
  • 泉 秀実, 伊東 卓爾, 吉田 保治
    1990 年 58 巻 4 号 p. 877-883
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    日照条件が, 発育中のウンシュウミカン果実の品質に及ぼす影響を明らかにする目的で, 樹冠内•外層に位置する果実の発育中における果汁中の糖とAsA含量について調べた.
    1. 果実の肥大量, 果皮色(a/b値), 果汁中の可溶性固形物含量は, 樹冠外側の果実の方が内側に比べて高く, 酸濃度は内側の果実の方が高かった.
    2. 果汁中の糖は, ブドウ糖, 果糖及びショ糖とも発育期間中を通じ, 樹冠の外側の果実の方が内側より高い含量を示した. 糖含量を果汁100ml当りで表すと, 発育期間中樹冠内外の果実の差はほぼ一定であったのに対し, 1果当りで表すと果実の発育に伴ってその差は大きくなった.
    3. 果汁中のAsA含量は, 果汁100ml当りで表すと, 樹冠外側の果実は内側に比べ発育期間中ほぼ一定の割合で高かった. これを1果当りに換算すると, 樹冠内外の果実のAsA含量の差は発育に伴って大きくなった.
    4. 発育中の1果当りで示したショ糖, ブドウ糖及び果糖含量とAsA含量との間には, いずれも0.98**の高い相関係数が認められた.
    5. 果実発育期間中に果実への遮光処理を施すと, 成熟期における果汁中のショ糖とAsA含量は減少を示した.
  • 泉 秀実, 伊東 卓爾, 吉田 保治
    1990 年 58 巻 4 号 p. 885-893
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    樹冠の内•外層に位置するウンシュウミカン果実を収穫後5°Cと15°Cに貯蔵し, 貯蔵中の品質変化を比較検討した.
    1. 果実の腐敗は5°Cではほとんどみられなかったが, 15°Cでは樹冠内側の果実の方が外側より多く発生し, 軸腐れ病が最も多かった. 貯蔵前半は両温度区とも外側の果実の方が浮皮になり易い傾向がみられた.
    2. 果実の呼吸量は, 両温度区とも貯蔵期間中外側の果実の方が内側より多かった.
    3. 果皮色 (a/b値) は, 両温度区とも樹冠外側の果実の方が内側より多く増加し, 特に5°Cでは樹冠内外の果実間の差が大きくなった.
    4. 果汁中の酸含量の減少は, 両温度区とも外側の果実の方が少なく, 貯蔵後半5°Cでは樹冠内外の果実間の差が大きくなった.
    5. 果汁中のブドウ糖, 果糖及びショ糖含量は, 1果当りで表すと両温度区とも貯蔵中ほぼ一定の値を示し, 外側の果実の方が内側より顕著に高い値を維持した. フラベド中の全糖含量は, 15°Cでは樹冠内外の果実間に差はみられなかったが, 5°Cでは樹冠内側の果実の方が多く減少した.
    6. 果汁中のAsA含量は, 1果当りで表すと5°Cではほぼ一定の値を示し15°Cでは徐々に減少した. 貯蔵期間中を通じ, 日射量の多い樹冠外側の果実の方が内側より常に高い含量を維持し, 貯蔵後半特に5°Cでその傾向が強かった. フラベド中のAsA含量は, 両温度区とも減少傾向を示した. 樹冠内外の果実を比較すると, 貯蔵終了時には外側の果実の方が減少率は大きかった.
  • 八巻 良和
    1990 年 58 巻 4 号 p. 895-898
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    有機酸の大部分はクエン酸であり, リンゴ酸はクエン酸の1/10以下, コハク酸, シュウ酸, およびその他の有機酸はさらに少量であったため, 有機酸の変動パターンはクエン酸またはクエン酸とリンゴ酸の和によりほとんど決定されていた.
    生食用カンキツ類の収穫期はクエン酸濃度, リンゴ酸濃度がともに低下した時期に相当したのに対し, 香酸カンキツの収穫期はクエン酸の濃度が最高値に達し, かつ,リンゴ酸濃度も高い時期に相当した.
    リンゴ酸に対するクエン酸の比の値は, 香酸カンキツでは収穫期以後の5月に最高値があり, 生食用カンキツ類では収穫期以前に最高値があった. 香酸カンキツ, 生食用カンキツ類ともこの値が低下した頃が収穫期であった.
  • 八巻 良和
    1990 年 58 巻 4 号 p. 899-905
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    無害の減酸刻の開発に資することを目的とし, ヒ酸鉛が果肉中のクエン酸縮合酵素(CS)活性, 及び果汁遊離酸濃度に及ぼす影響を調べた. ヒ酸鉛処理は, 1977~1981年及び1983~1984年に, 満開後3~7週目のウンシュウミカン樹に0.3%ヒ酸鉛を散布した.
    いずれの年にも, ヒ酸鉛処理果実では無処理果実に比べて, 収穫期の果汁遊離濃度が15~36%低く, ヒ酸鉛による減酸効果が認められた.
    ヒ酸鉛処理が果肉中のタンパク質含量, CS量に及ぼす影響は不明であった.
    果汁酸濃度が急速に上昇する時期, すなわちクエン酸の生成が盛んな時期のCS活性は, 無処理果実に比べてヒ酸鉛処理果実で13~33%低かった.
    ヒ酸鉛処理果実における満開後9~12週のCS活性低下率と収穫期の遊離酸濃度低下率との間には, 相関関係が認められた.
    酵素反応液にヒ酸鉛を添加すると, その添加量に応じてCS活性が低下した.
    満開後3~7週のヒ酸鉛処理による果汁遊離酸濃度の低下には, CS活性の阻害が関係していることが示唆された.
    酸の蓄積が行われない時期になると, CS活性はヒ酸鉛処理果実で無処理果実より高くなった. 着色期以降の時期に果肉中でCS活性がヒ酸鉛処理によって高まっても, 果汁遊離酸濃度に影響を及ぼすことがない理由として, 有機酸代謝系の転換が考えられた.
  • 八巻 良和
    1990 年 58 巻 4 号 p. 907-911
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    満開後3~5週目のウンシュウミカンに0.3%ヒ酸鉛を散布し, その後の果肉中の全コエンザイムA濃度 (全CoA 濃度), アセチルコエンザイムA濃度 (AcCoA 濃度), 全 CoA る AcCoA の割合 (“アセチル率”), 及び収穫期の果汁遊離酸濃度に及ぼす影響を1980年かち1983年にかけて調べた.
    1. いずれの年にも果汁酸濃度は処理区で16~17%低く, 減酸効果が認められた.
    2. ヒ酸鉛処理により, 果肉中の全 CoA 濃度は明らかな変化を示さなかったが, AcCoA 濃度は低下し, “アセチル率”が低下した.
    3. ヒ酸鉛処理後約5週目の“アセチル率”の, 処理による低下率は, 収穫期の遊離酸濃度の, 処理による低下率と高い正の相関関係を示した.
    4. ヒ酸鉛処理を受けた果実の果汁酸濃度が, 無処理果実に比較して低い理由の一つは, AcCoA の一部が加ヒ酸分解されてクエン酸の生成に用いられないためである可能性が示唆された.
  • 井上 宏
    1990 年 58 巻 4 号 p. 913-917
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    鉢植えのカラタチ台ウンシュウミカン (興津早生)の1年生樹を, 春枝の緑化•充実した6月中旬より環境制御室の15, 20, 25°C室及び露地区で6か月間栽培した.これらに6~11月の各月に11日と26日の2回, ジベレリン水溶液 (GA3, 100ppm) を散布し, 各月の散布樹の新梢と花蕾発生の状況を調査するとともに, 12月中旬に摘葉高温処理 (25°C) を行い, 発生した花蕾と無着花新梢数からウンシュウミカンの新梢発生と花芽分化に及ぼす夏秋季のジベレリン散布と温度の影響を観察した.
    1. 露地及び25°C区でのジベレリン散布は, その直後に夏枝の発生を促進した. 夏枝の発生を見ない春枝は散布時期が早いほど太くなったが, この傾向は高温区ほど著しかった.
    2. 摘葉高温処理後の花蕾発生数は高温区ほど少なかったが, ジベレリン散布によりさらに花蕾の発生が抑制され, 早期の散布ではほとんど発生しなかった. 最も遅い11月散布でさえ無散布区の4分の1以下に花蕾発生数が減少した.
    3. 摘葉高温処理後の新梢の発生数は低温区ほど多くなったが, ジベレリン散布の影響は温度区によって異なった. すなわち, 低温の15°C区では早期に散布するほど新梢発生数が多くなったのに対し, 高温の25°C区では散布により著しく減少し, 遅く散布するほどその傾向は大であった. 露地区では無散布区での新梢発生数が最も少なく, ジベレリン散布は新梢発生を多くしたが, 6~8月の散布より, 9月以降の散布で多くなった.
  • 井上 宏
    1990 年 58 巻 4 号 p. 919-926
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    ウンシュウミカンのえき芽の休眠と花芽分化の温度条件を観察するため, 鉢植えのカラタチ台1年生ウンシュウミカン (‘興津早生’) を供試して実験を行った.
    1. 春枝の伸長が停止し, 緑化が進んだ6月中旬から, 0.5か月毎の全葉摘除により, 春枝上に夏枝の発する状況を露地で観察したところ, 発芽日数は当初の12, 13日から次第に短くなり, 9月中旬までは数日内に発芽した. 平均気温が20°C以下に下降する10月上旬以降は, 露地ではまったく発芽しなかった. 摘葉しない個体では, 7月上旬から8月上旬ごろまで, 夏枝の発生が認められた. しかし, いずれも花蕾は発生しなかった.
    2. 露地の供試個体を, 時期別に全ての葉を摘除し, ファイトトロンの25°C室に搬入 (摘葉高温処理) して後の春枝の発芽所要日数を6月中旬から0.5か月毎に観察した. 7月中旬までは発芽に10日以上を要したが, 以後急減し, 9月中旬までは3, 4日で発芽した. その後, 再び長くなって, 10月下旬に最長 (12日) となり, 以後また短くなった. 10月下旬を中心とする発芽の遅延を, ウンシュウミカンのえき芽の休眠現象と推定した.
    3. 露地の供試個体を, 6月中旬からファイトトロンの15, 20及び25°C室に搬入し, 0.5か月毎に全葉を摘除して後, 25°C室内において発芽•発蕾状況を観察した. 露地区及び25°C区では7月中旬までは発芽に10日前後を要したが, その後日数が急減し, 7月下旬から8月下旬までは5日以内に発芽した. 一方, 20°C及び15°C室に1.5か月以上おいた個体では, 8月下旬までの処理で10日以上を要し, 休眠移入を伺わせた. また, 15°C区では7月下旬, 20°C区では8月下旬の処理個体から花蕾が発生した. 25°C以上を花芽分化無効温度と考えると, ハウスミカンの着果数確保の目安である1結果母枝当たり2花蕾を発生させ, えき芽の休眠も打破するためには, 25°C以下の積算温度で750°Cを必要とした.
    4. 6月中旬から15°C室におく期間を種々変えた無摘葉の個体を, 着葉したまま25°C室に移したものでは, 15°C室においた期間が長いものほど25°C室での発芽所要日数が短くなった. 2.5か月以上15°C室のおいたものでは25°C室搬入後, 20日前後で発芽した. 発蕾は15°C室に2か月以上おいたものから認められ, 15°C室に長くおくほど花蕾数は多くなった.
    5. 6月中旬にファイトトロンの15°C室に露地から搬入した個体を, 3.5か月間同室においても発芽•発蕾は見られなかったが, 7月中旬までに全葉を摘除すると処理後30日以内に15°C室内で2~3本の夏枝の発生を見た. 同室に1.5か月以上おいたものでは摘葉しても発芽しなかった. これらの個体を摘葉後も15°C室におき, 9月下旬に一斉に25°C室に搬入したところ, いずれも数日後に新梢が伸長した. 発蕾は7月中旬以後に摘葉した個体にみられ, 15°C室での着葉期間の長いものほど花蕾数が増加した. 一方, 新梢発生数は着葉期間が短いもので多い傾向を示した. 新梢と花蕾の合計数に占める花蕾数の割合は着葉期間が長くなるほど大となった.
  • 井上 弘明, 高橋 文次郎
    1990 年 58 巻 4 号 p. 927-934
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    1. 静岡県沼津市西浦久連の山田寿太郎氏園に栽植の‘Mexicola’, ‘Zutano’, ‘Jalna-J’, ‘Fuerte’ を用い, 花の形態的観察, 開花型, 開花時の温度が開花習性に及ぼす影響について調査した.
    2. 走査型電子顕微鏡による雌雄異熟現象の観察を行った結果, 両性花の雌ずい及び雄ずいの活動時における花器の開花機構が明らかとなった.
    3. 開花型は, ‘Mexicola’ がA群に属し, ‘Zutano’, ‘Fuerte’ はB群に属し, 既報の研究結果と一致していた. しかし, 我が国へ導入されていた ‘Jalna’ はA群とされてきたが, 本調査の結果から異品種であることが明らかとなり, それはB群に分類され, ‘Jalna-J’ と仮称した.
    4. 開花時の気温が比較的高い15~25°Cの条件下では, 各品種とも雌ずいと雄ずいの活動が正常に行われ,雌ずいとしての開花比率が高く, 一花の寿命は短かくなった. また, 雌•雄ずいの活動交叉時間は短かった.
    5. 開花時の気温が比較的低い15°C以下の条件下では, 雌ずいの開花比率が低く, 雌ずいの活動が低下したり, 活動開始が遅れたり, あるいは開花時間の延長がみられ, 一花の寿命も長くなった. さらに, 7°C以下では雄ずいの開やくはみられなかった.
    6. 開花順序は, 最初に雌ずいとして開花した花は,翌日に大部分が雄ずいとして開花するが, 同時間に雄ずいとして活動する花は前日及び前々日に開花すべき花が含まれ, 低温条件になるほど, これらの開花時間は長くなった.
    7. 開花時の気温は, 4月中旬より5月中•下旬の方がアボカドの開花の好適気温であった.
  • 矢澤 進, 佐藤 隆徳, 並木 隆和
    1990 年 58 巻 4 号 p. 935-943
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    トウガラシ属のCapsicum annuum 7品種, C. chinense3品種, C. frutescens 2品種, C. baccatum 3品種を供試し, 種間雑種に発現する座止及びウイルス病類似病状 (Virus-like Syndrome, VLS) について検討した.前報(8)で C. chinense ‘No. 3341’ と C. annuumとの種間雑種で座止を発現することを認めたが, ここで供試した C. chinense の他の2品種も‘No. 3341’と同一と思われる座止発現遺伝子を持つことが明らかとなった.
    C. frutescens ‘タバスコ’もC. chinense ‘No. 3341’と同一と思われる座止遺伝子を持つことが認められた.
    C. annuumC. chinense 及び C. frutescens とのF1における座止発現には細胞質の関与は認められなかった.
    C. chinenseC. baccatum 及び C. frutescensC. baccatum の種間雑種は, いずれの組合せび C. baccatumを花粉親とした場合にVLSが発現し, 逆交雑では. VLSは発現しなかった. このことからVLSの発現には核内遺伝子とともに, C. chinense あるいはC.
    frutescens の細胞質が関与していると認められ, C.chinenseC. frutescens の細胞質には遺伝的に一部共通性があることが示唆された. また, C. annuum ‘ブラック•プリンス’×C. baccatum ‘No. 3985’にVLSが発現し, C. annuum の品種の中には, C. chinenseあるいは C. frutescens の細胞質と遺伝的に一部共通するものの存在が認められた.
  • 金浜 耕基, 斎藤 隆, 曲 英華
    1990 年 58 巻 4 号 p. 945-950
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    1. トマトにおいて, 5枚のがく片の発生位置と順序に葉序の左右性に従った規則性が認められた.
    2. トマト, トウガラシの果実とも, 果柄から果実内への維管束連絡は, (1) 果柄→果托部→がく片, (2) 果柄→果托部→花弁, (3) 果柄→果托部→雄ずい, (4) 果柄→果托部→果皮部→果実頂部, (5) 果柄→果托部→果心部→胎座部→種子の順であった.
    3. 維管束の走向は, がく片, 花弁, 雄ずいでは果心部に対して遠心的方向, 果皮部, 果心部では求頂的方向であった.
    4. 果皮部の維管束は心皮中央を縦走していた. 果心部では果実基部から果実中心部までは半円状に隔壁に添って縦走し, 果実中心部で接近していた. その後, 隔壁と隔壁の中間の方向に分岐した後, 胎座部を経由して種子へ連絡していた.
    5. 主たる維管束の本数は1枚ないし1本のがく片, 花弁, 雄ずいに対してそれぞれ1本ずつであった.
    6. 果実内部の維管束について心皮を単位としてみると, 果皮部に1本, 果心部に1本であった.
  • 桝田 正治, 田中 豊秀, 松成 茂
    1990 年 58 巻 4 号 p. 951-957
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    NFT方式の水耕トマトとキュウリにおける培養液管理の基礎資料を得るため, 昼間 (午前6時から午後6時) と夜間 (午後6時から午前6時) における水と養分の吸収比を求めた.
    1. 園試標準濃度の培養液においての夜間の吸水量はトマト, キュウリとも1日の吸水量の12%となっていたが, 夜間の養分吸収量はトマトで1日の28~45%キュウリで18~46%となった. そのたみ, 成分(me)/水 (l) の値は夜間において著しく高く, トマトではNO3-N, P, K, Ca, Mgがそれぞれ52, 25, 25, 20,8, キュウリでは38, 27, 25, 27, 4となった. 昼間の成分/水の値は培養液濃度 (me/l) に近かった.
    2. 培養液濃度が2倍になるとトマトの吸水量は昼夜間とも減少し, 逆に養分の吸収量は増加した. この場合, 夜間/昼間で表した吸収比はリンを除いてどの成分も高まった. 培養液のEC値はその濃度に関係無く昼間に高くなり夜間に低くなった. また, 培養液のpHは昼夜間とも上昇し, その変化は昼間より夜間の方が, また濃度の低い方が大であった.
    3. NFT方式のトマト栽培において, 残存培養液のEC値と成分濃度は夕方から朝方にかけて低下し, 朝方から夕方にかけて上昇した. 特に, NO3-N の濃度変化が大きく, その変動パターンはEC値の変化のパターンに非常に良く類似していた.
  • 細木 高志, 石橋 章広, 北村 均, 甲斐 伯彦, 浜田 守彦, 太田 敏彦
    1990 年 58 巻 4 号 p. 959-970
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    東洋系メロンの系統的な分類体系を作るため, 生態型の異なる32種類のメロンが, 日本, 中国, 台湾および南アジアから集められ, これらの形態, 生態および生理的特徴が調べられた.
    形態的差異に関して, 葉柄の刺の基部は日本種が最大で南アジア種が最小であった. 葉の気孔密度と葉縁の欠刻程度も南アジア種が最小であった. 種皮の内層の数は日本種では2, 3またはこれらの混合型であり, 中国種ではほとんどが2層, 南アジア種ではすべて2層であった. 生態的差異に関して, 水分ストレスに対する抵抗性は南アジア種が他の地域のメロンより強かった. また低温に対する抵抗性は, 日本種がもっとも強かった. 生理的差異に関して, 南アジアのすべてのメロンで種子発芽時に4本の明瞭な酸性フォスフォターゼアイソザイムバンドが検出された. 中国や日本種のいくつかのメロンは, 4本のバンドのうち1~2本が薄いか欠けていた.葉のフェノール様物質組成は南アジア種のいくつかで他の地域のメロンとやや異なっていた. 果実の糖に関して, 多くの中国種と日本種ではしょ糖を含んでいたが, 南アジア種ではそれを欠いていた. また中国種の半数と南アジア種の多くのメロンには, 日本種にない糖 (未同定) を含んでいた. 南アジア種の種子の休眠は深く, 日本種と中国種の多くは浅かった.
    他の調査項目を含む26形質を用いてクラスター分析にかけたところ, 南アジアのすべてのメロン, 数種の中国メロン, シロウリおよび雑草メロンは一大グループに属した. 多くの中国種とすべての日本種 (シロウリを除く) は別の1大グループに属した. こうした結果より,日本のメロンは中国でいくらかの育種過程を経てから導入され, シロウリや雑草メロンは中国であまり変化を受けずに, または直接南アジアから入った可能性が示唆された.
  • 細木 高志, 太田 勝巳, 浅平 端
    1990 年 58 巻 4 号 p. 971-976
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    低温下で育苗されたトマトの乱形果発生の品種間差が, 多心室および少心室をもつ品種を用いて, 調べられた.
    低温育苗されたトマトの乱形発生程度は, ポンデローザや大型福寿の多心室品種において大きく, 旭光やスイーティーなど少心室品種で小さかった. ポンデローザや大型福寿は, 苗がTIBAやGA3で処理されると, 他の品種より程度の大きい乱形果を発生させた. 旭光より乱形程度の大きかった大型福寿は, 低温時に茎頂部における全糖やジベレリン含量が高かった.
  • アリ モハメド, 藤枝 國光
    1990 年 58 巻 4 号 p. 977-984
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    ナスと近縁野生種とを交配し, 花粉管の伸長行動と種子稔性について調べた.
    S. gilo, S. insanum, S. integrifolium とナスとは高い交雑和合性が認められた. S. indicum は‘千両2号’とは正逆交雑で多くのしいなをえたが, ‘Uttara’とは種子親の場合に50%の稔実種子をえた. S. surattenseS. xanthocarpum は‘千両2号’が花粉親の場合に少量の発芽力のある種子をえた. S. mammosum の花粉管は‘千両2号’の花柱内を正常に生長したが, この組合せでは雑種種子はえられず, 単為結果にとどまった.なお‘千両2号’は8つの近縁種の花粉で単為結果を生じたが, ‘Uttara’はそれらを花粉親にした交配では全く着果しなかった.
    交雑不和合の組合せでは, 花粉の不発芽または発芽不良, 花粉管の生長遅延•子房到達前の生長停止•微弱な螢光発色, カロースプラグの不規則な沈積•分布•大きさ, 花粉管先端の肥厚や分岐などが, 単独あるいは複合して観察された.
  • 前川 進, 鳥巣 陽子, 稲垣 昇, 寺分 元一
    1990 年 58 巻 4 号 p. 985-991
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    リーフスポットと呼ばれるセントポーリア葉の障害は葉温より低い水を葉面灌水することによって生ずる. この障害の発生機構を明らかにするため, 葉を種々の温度の水に浸漬処理して, リーフスポットの発生と葉組織からの電解質の漏出について検討を加えた.
    1. 葉を40, 45, 50°Cの水に漬けて温度を上げた後, 25°Cの水に浸漬して, 葉温を急激に低下させたとき, いずれの葉も障害が発生し, 葉温と水温との差が大きいほど障害の程度は大きかった.
    2. 水浸漬処理前の生育温度の違いによって障害の発生程度は異なった.
    3. 葉組織からの電解質の漏出量は漏出中の水温20~25°C付近で最低で, それより低温でも高温でも増加した. 暗黒下での漏出量は光照射下より多かった.
    4. 葉温を障害発生温度に急激に低下させた場合に, 葉からの全電解質並びにKイオンとMgイオンの漏出は障害発生温度に遭わせないものより明らかに増加したが, Caイオンの増加量は少なかった.
    5. 葉身を海綿状組織の部分で上表皮側と下表皮側切片に分けたとき, Kイオンの漏出量は柵状組織を含む上表皮側切片で大であった.
    6. リーフスポット発生部の柵状組織において, 浸漬処理1日後にすでに細胞の異常収縮が顕微鏡観察され,その後, 葉緑体の破壊が進行した.
    7. 障害の発生しやすい葉令の進んだ外葉が内葉より電解質の漏出量は多かった.
    8. 強光を受けた葉が障害発生温度に遭ったとき, リーフスポットは発生し易く, また, 電解質の漏出量も多かった.
  • 森 源治郎, 坂西 義洋
    1990 年 58 巻 4 号 p. 993-998
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    1. ロードヒポキシスの自然環境下における生育開花習性を明らかにするとともに開花に必要な温度条件及び栽培時の温度•日長の影響について調べた.
    2. 春から秋にかけての生育期間中に20数個の花序が仮軸分枝の繰返しにより形成された. これらのうち8月上旬までに分化した20前後の花序は, いずれも第1小花が雌ずい形成段階に達するまで発育した後, 枯死した. これらに対し8月中•下旬以降に分化を開始し, 生長点膨大期から第1小花が雌ずい形成期に達した直後までの各段階で越冬した4~6花序だけが開花に至った.
    3. 球茎の萌芽及び形成された花序が開花に至るためには低温経過を必要とする. この低温を自然低温にたよる場合, 大阪では2月上旬までの低温遭遇を必要とすることが分かった. 恒温室を用いた実験結果では15及び20°Cでは18週間処理しても全く開花しなかったが, 10°Cでは16週, 6°Cでは12週処理で正常に開花することが認められた.
    4. 必要な低温条件が満たされた後は20~30°Cで萌芽が促進され, 35日前後で開花したが, 15及び10°Cの開花はこれらよりそれぞれ1, 4か月遅れた. また, 低温区では株当たりの開花花序数及び展葉総数が少なかった. 栽培時の日長は開花までの日数及び開花花序数にほとんど影響を及ぼさなかったが, 短日 (8時間日長) 区の葉総数は長日 (16時間日長) 区の約1/2で少なかった.
  • 吉田 裕一, 大井 美知男, 藤本 幸平
    1990 年 58 巻 4 号 p. 999-1006
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/07/05
    ジャーナル フリー
    4品種のメロン (Cucumis melo L.) について, 収穫適期前後の果実の糖蓄積およびCO2, C2H4放出量の変化と1,000ppm C2H4処理に対する反応について検討した.
    1. var. reticulatus Naud. に属する ‘Earl′s Favourite’, ‘IW-57’は climacteric 様のCO2放出量の上昇を示した. 特に, ‘IW-57’のCO2放出量の上昇は明瞭でピークも高くなった. また, C2H4放出量も多く, ピーク時には他の3品種の10倍以上であった. 果実のCO2放出量と貯蔵性の間に関連が認められ, 貯蔵性の低い‘銀泉’ (var. acidulus Naud.), ‘IW-57’ではCO2 放出量が多かった.
    2. C2H4処理は全ての品種で果肉の軟化を促進したが, ‘銀泉’では効果は小さかった. ‘Earl′s Favourite’, ‘IW-57’でも climacteric 期にはC2H4処理の効果は小さかった.
    3. ‘Honey Dew’(var. inodorus Naud.) は早い時期から可溶性固形物含量が高く, 開花後40日以降の変化は小さかった. 収穫適期においても収穫直後には, ショ糖の蓄積は少ないが, 追熟によってショ糖含量が増加した. 他の品種では, 収穫適期直前に可溶性固形物含量とショ糖含量が急激に増加した. ‘Earl′s Favourite’では収穫後可溶性固形物含量, 全糖濃度ともに低下し, 追熟の効果は認められなかった.
    4. ‘Honey Dew’の収穫直後の果実では可溶性固形物含量と糖濃度の相関は低かったが, C2H4処理後には高い相関が得られた. 他の品種では可溶性固形物含量と全糖濃度の間に高い相関が得られた. ただし, 可溶性固形物含量と全糖濃度の値は一致せず, 可溶性固形物含量は常にかなり高い値を示した.
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