タバコモザイクウィルス(TMV)外被タンパク質遺伝子組換えトマト(組換え体),非組換えトマト(非組換え体),トマト属の栽培種(
L.escultentum)および近縁野生種(
L. pimpinellifolium, L, peruvianum, L. hirsutum, L. cheesmanii)を用いて,果実の可溶性固形物,酸度,水分,糖,有機酸,ビタミンCおよびアミノ酸含量を比較し,さらに,組換え体と非組換え体については,ビタミンB2,食物繊維およびグルタチオンの含量を比較した.
1.組換え体と非組換え体について,同一時期に採取した試料で比較した結果,可溶性固形物,酸度,水分,糖,有機酸,ビタミンB
2,ビタミンC,食物繊維およびグルタチオン含量については,両者の間に有意差は認められなかった.また,アミノ酸のアスパラギン酸,グルタミン酸,アスパラギン,グルタミンおよびγ-アミノ酪酸含量は,2年間の繰り返し試験で両年にわたって有意差が認められたものはなかった.以上の結果から,TMV外被タンパク質遺伝子を組換えても,これらの成分に関しては有意な含量変化は起こらないと考えられる.
2.トマト属における種間比較の結果,
L.Peruvianumと
L.hirsutumのショ糖含量が他に比べてかなり高かった.また,
L.Peruvianumと組換え体,非組換え体は他に比べてビタミンCおよびアスパラギン酸の含量がかなり高く,γ-アミノ酪酸の含量が比較的低かった.
L,cheesmaniiはグルタミン酸,アスパラギンおよびグルタミンの含量が他に比べてかなり高かった.
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