被覆条件下の根域制限ベッド(培地量約160 liter/樹)に植栽した5年生ニホンナシ'幸水'27樹を供試し, 着果程度が乾物生産および分配に及ぼす影響を検討した.F/L比(果実乾物重/葉乾物重)が高いほど収量が増加したが, 平均果重は減少する傾向がみられた.F/L比が高いほど新梢, 旧枝, 穂木部材, 太根および台木部の各乾物重が減少した.新梢数, 総新梢長, 葉数, 葉面積および葉面積指数が増加するにつれて, それぞれ新梢, 旧枝, 穂木部材, 穂木部, 太根, 台木部および全樹の各乾物重は増加した.F/L比が高いほど旧枝, 穂木部材, 太根および台木部の各乾物増加量が減少した.F/L比と単位葉面積および単位葉乾物重当たり乾物生産量との間には, 正の相関が認められ, F/L比が高いほど葉の乾物生産力が高まった.F/L比が1.85(葉果比35)の場合では, 年間の葉1m
2当たり乾物生産量は約0.542kg, 葉1kg当たり乾物生産量は約6.332kgであった.新梢数, 総新梢長, 新梢乾物重, 葉数, 葉面積, 葉面積指数および葉乾物重が増加するにつれて, それぞれ旧枝, 穂木部材, 穂木部, 太根, 台木部および全樹の各乾物増加量が増加した.同化産物の分配率については, 果実への分配率が高いほど新梢, 旧枝, 太根および台木部への分配率は減少した.穂木部への分配率は台木部への分配率に対してきわめて高い負の相関があった.
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