園芸学会雑誌
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73 巻 , 6 号
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  • 山下 裕之, 大門 弘幸, 赤坂-ケネディ 庸子, 増田 哲男
    2004 年 73 巻 6 号 p. 505-510
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    試験管内で増殖しているリンゴ台木品種'マルバカイドウ長野No.1' (Mains prunifolia Borkh. var. ringo Asamistrain Nagano N0. 1)にRiプラスミドを保有するAgrobacterium rhizogenes MAFF-02-10265株,MAFF-02-10266株,MAFF-03-01274株およびMAFF-03-012725株を有針接種した.毛状根はMAFF-02-10265株およびMAFF-02-10266株を接種した植物体から得られたが,その形成率は2.0%と非常に低かった.MAFF-02-10265株を有針接種して毛状植が形成された幼植物を5.0mg・liter-1 6-ベンジルアデニン,0.1mg・liter-1インドール酪酸,0.1mg・liter-1ジベレリンA3を添加したMS培地に移植し,毛状根から不定芽を形成させて再分化個体を得た.それを用いてオパイン分析およびPCR分析を行った結果,形質転換体であることが確認された.得られた植物体はin vitroで旺盛な発根を示し,さらに順化個体は,分枝が旺盛で葉が小型化し,節間か詰まりわい化した.
  • 澤村 豊, 齋藤 寿広, 高田 教臣, 山本 俊哉, 木村 鉄也, 林 建樹, 壽 和夫
    2004 年 73 巻 6 号 p. 511-518
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    ニホンナシ'豊水'の親品種の同定を試みた.'豊水'の交配年とされる1954年前後の1953年から1955年に果樹研究所(旧農林水産省園芸試験場)においてニホンナシの品種育成のために実施された交配84組合せについて果皮色,S遺伝子型およびSSRマーカーによる調査を行った.交配に使用されたニホンナシ23品種についてS遺伝子型がS3S5である'豊水'の親となる可能性のある交配組合せは84組合せ中9組合せのみであった.また,この9組合せはすべて赤ナシ同士の組合せであり,果皮色の面からも矛盾が認められなかった.この9組合せについて10種のSSRマーカーによるDNA鑑定を行ったところ,'幸水'および'イ-33'を親とする組合せのみ矛盾が無く,それ以外の組合せは2~6の遺伝子座で一致しなかった.さらに51種類(計61種)のSSRマーカーで分析を行ったところ,すべてのマーカーで'豊水'の親を'幸水'および'イ-33'とすることに矛盾しなかった.まだ幸水'および'イ-33'のどちらが種子親であるかを同定するために葉緑体DNAのtrnL-F region の配列を調査したところ,'幸水'の配列が'豊水'と一致し,'イ-33'と一致しなかったため'豊水'の種子親が'幸水'であると判定した.これらのことからニホンナシ'豊水'は1954年に'幸水'に'イ-33'を交配して育成されたと結論づけられた.
  • パワス アチャラー, 藤重 宣昭, 山根 健治, 八巻 良和, 本條 均
    2004 年 73 巻 6 号 p. 519-523
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    宇都宮大学の圃場で栽培した11品種・系統(以下,品種)のハナモモの自然低温に遭遇した枝梢を2002年12月上旬から2003年2月下旬まで採取して,枝もの促成条件である20℃の暗黒下で開花を調べた.切り枝の開花に必要な低温遭遇量(CU)は'オキナワ'の732から'菊桃'の1433の範囲で品種間差が認められた.品種によって促成条件下と自然条件下のgrowing degree hours Celsius (GDH℃要求量)も異なった.'源平枝垂'を除く品種の低温遭遇量と促成条件下での開花までのGDH℃要求量には有意な負の相関関係が認められた.促成条件下のGDH℃は自発休眠打破後の付加的CUによって減少した.自発休眠覚醒に必要な低温遭適量と,20%または80%開花日との相関係数はそれぞれ0.87(P≦0.001)と0.81(P≦0.01)であった. 20%と80%開花までの自然条件下でのGDH℃要求量に品種間差が認められた.全品種における自然条件下でのGDH℃要求量と20%と80%開花日の相関係数はそれぞれ0.96(P≦O.001)と0.89(P≦0.01)であった.20℃でのGDH℃要求量と20%開花日には相関がなかった(r=0.31, non-significant at P=0.05).早咲き品種'オキナワ'.'矢口'および'中生白'ではCUとGDH℃要求量が低く,中生品種'白枝垂',箒桃','残雪枝垂'と'源平枝垂',遅咲き品種'菊桃'および'相模枝垂'ではCUとGDH℃要求量が高かった.しかし,中生品種'京更紗'と'寒白'のCUは低かったが,高いGDH℃要求量を必要とした.自発休眠打破のCU要求量,自発休眠完了後の350CUまでの低温への反応およびGDH℃要求量が開花の品種間差をもたらすと考えられる.
  • 岡田 和馬, 高崎 剛志, 齋藤 寿広, 守谷 友紀, / 乗岡 茂巳, 中西 テツ, Tetsu Nakanishi
    2004 年 73 巻 6 号 p. 524-528
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    以前の交配試験で句心遺伝子型と決定されていたニホンナシ'雲井'の遺伝子型を, PCR-RFLP(S1~S9)分析および交配試験により再検討した.'雲井'は'清玉'(S3S4)と交雑和合性を示したので,S3S4ではないことが判明した.PCR-RFLP(S1~S9)分析により,'雲井'の遺伝子型はまだ報告されていないS1S3と推定された.'雲井'がS1およびS1S3対立遺伝子を持つことを示すためには更なる交配が必要であったが,'雲井'は十分な交配花数を供給できなかった.'世界一'はPCR-RFLP(S1~S9)分析によりS1S3と推定され,'雲井'と交雑不和合性を示した.そこで,'雲井'の代わりに'世界一'にS3ホモ個体の花粉と,S4だけではなくS1対立遺伝子も認識することができるSsm4ホモ個体の花粉を交配した.'世界一'はS3花粉Ssm4花粉の両方と交雑不和合性を示したことから,その遺伝子型はS1S3あるいはS3S4と予測された. PCR-RFLP(S1~S9)分析から'独逸'(S1S2)×'世界一'の雑種種子はS1S3とS2S3の2つの遺伝子型に分離することが示され,'世界一'におけるS1対立遺伝子の存在が確認された.以上の結果から'世界一'がS1とS3対立遺伝子を持つことが明らかになり,'世界一'と交雑不和合性を示す'雲井'のS遺伝子型は句心に修正すべきであると考えられた.
  • クルス アンドレ フェレイレ, 石井 孝昭, 松本 勲, 門屋 一臣
    2004 年 73 巻 6 号 p. 529-533
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    バヒアグラス草生のウンシュウミカン園において,アーバスキュラー菌根(AM)菌生長促進物質の一つであるユーパリチン含量と菌根菌の発達との関連について調査した.菌根形成や土壌中のAM菌の胞子数を調査するため,ウンシュウミカンおよびバヒアグラスの根,ならびに土壌を1か月に1回採取した.またユーパリチン含量を分析するため,バヒアグラス根も毎月採取し,冷凍庫に保存した.ユーパリチンはフラッシュクロマトグラフィー,ゲルろ過および高速液体クロマトグラフィーで単離・精製し,ユーパリチン標準液を用いて定量した.その結果,バヒアグラスおよびウンシュウミカンの菌根感染率は夏季において最も高く(約80%),10月から感染率は低下した.土壌中の胞子数は3月から増加し始め,6月に最大胞子数(土壌25g中約800個)となった後,低下した.バヒアグラス根内のユーパリチン含量は5月から11月の期間において高く,特に5月および7月の高まりは顕著であった.横内のユーパリチン含量とウンシュウミカンの菌根感染率との間には明らかな相関がみられなかったが,バヒアグラスの菌根感染率や土壌中の胞子数との間には有意な相関が認められた.このことは,土壌におけるAM菌生長促進物質含量と菌根菌の発達との間には密接な相互関係が存在することを示唆している.
  • 村松 昇, 田中 敬一, 朝倉 利員, 土師 岳
    2004 年 73 巻 6 号 p. 534-540
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    モモ果実の軟化に伴う細胞壁および物理性の変化を調査した.酵素を失活させた果肉の粗細胞壁からペクチン及びヘミセルロースを順に抽出した.各面分のウロン酸及び中性糖を測定し,さらに各面分の中性精組成をGLCを使って測定した.さらに,各面分をゲル濾過カラム(sepharose CL-4B 1.5×40cm)にかけ,精鎖の分子量を推定した.その結果,ヘミセルロースの一種であるキシログルカンは,調査期間中徐々に分子量が低下するのに対して,ペクチンは軟化の最終段階において大量に可溶化したことから,モモ果実の軟化には2つの段階があると考えられた.また,これらの変化は,同時期に測定した簡易な応力緩和法による最大荷重と緩和率の変化とそれぞれ一致していた.さらにペクチンのエステル化率の測定,粗細胞壁への酵素処理を行いモモ果実のペクチンの性質を調査し,細胞壁多糖間の架橋構造および果実の軟化に関与する酵素について論議した.
  • 村松 昇, 田中 敬一, 朝倉 利員, 立木 美保, 土師 岳
    2004 年 73 巻 6 号 p. 541-545
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    モモ果実由来の細胞壁中のアルカリ性溶液に可溶のペクチン性多糖類の単離及び分析を行った.モモ果実の粗細胞壁から,水とキレート剤(CDTA)によって溶出される多糖類を取り除いた後50mM Na2CO3, 1 M KOH及び4 M KOHを使って分画した.分画された多糖にイオン交換カラム・クロマトグラフィー(DEAE-Sepharose 5 cm×30 cm)を用いて,さらに分画を試みた.その結果,50mM Na2C03画分の多糖類は更に分画できなかったが,1 M KOHでは3つ(1 M KOH-a, b, c), 4 M KOH (4 M KOH-a, b, c, d)では4つに,それぞれ分画できた.1 M KOH可溶性画分のうち酸性多糖類を含む分画(1 M KOH-b, c)についてさらに分析を行った.分画b及びcの主要な糖はそれぞれキシロースとアラビノースであった.分画bとcにゲルろ過(Sepharose CL 4B 1.5 × 30 cm)を行った結果,分画bの方が分画cよりも明らかに分子量が低かった.また,未熟果(8月7日収穫)から得られた細胞壁は過熱果(8月24日収穫)よりも分子量が両分画とも高かった.さらに,キシラナーゼ処理と糖分析の結果から,分画bはキシランとラムノガラクツロナンの複合糖鎖であると推定された.また,分画cは糖分析と加水分解の結果から,キシログルカンとラムノガラクツロナンの複合糖鎖であると推定された.
  • 仁宮 章夫, 村田 芳行, 多田 幹郎, 下石 靖昭
    2004 年 73 巻 6 号 p. 546-551
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    窒素形態としてウレイド(アラントインとアラントイン酸)を多く含有するヤマノイモ科'ツクネイモ'を試料として,'ツクネイモ'中のウレイドとアミノ酸の挙動を明らかにするために,農家の圃場で栽培された'ツクネイモ'を材料として,その生育過程で採取した葉,茎および新芋中のウレイドとアミノ酸(特にアルギニン)を定量分析した.葉のアラントイン含有量はCDUの追肥をしても経時的に減少した.茎のアラントイン含有量は1回目のCDU施肥(植え付け後96日)後増加しなかったが,2回目(植え付け後122日)のCDU施肥後に増加した.新芋のアラントイン含有量は新芋の生長過程を通してほぼ一定であった.葉および茎のアルギニン含有量は生育過程で,それぞれ0.15および4.8μmol・g-1FW以下であった.茎のアルギニン含有量の経時的変化はアラントイン含有量の経時変化と類似した.新芋の植え付け170日後のアルギニン含有量は142日後の14倍に増加し,170日後以降減少した.これらの結果から,'ツクネイモ'は葉と茎中にアラントインとアルギニンを一時的に貯蔵し,最終的には生長した新芋中にアラントインの形で蓄えることが示唆された.
  • 澤田 博正, 竹内 繁治, 浜田 博幸, 木場 章範, 松本 満夫, 曳地 康史
    2004 年 73 巻 6 号 p. 552-557
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    Capsicum属植物が有する抵抗性遺伝子L(L1-L4)とトバモウイルスの病原型は階層的な関係を示すが,日本ではこれまでP1型トバモウイルスが未検出であったため,がとどの分類を行うことができなかった.本研究では,L1またはL2を有するピーマン品種の分別を目的として,P1型トバモウイルスPaprika mild mottle virus Japanese strain (PaMMV-J)をピーマン30品種・系統へ接種し,病徴とDIBA法によるウイルス感染について調査した.8品種で,L1を有するC. annuum cv. Verbeterde Glasと同様に,上位葉にモザイクが誘導された.一方,22品種・系統のピーマンには,PaMMV-Jは全身感染し,全身で壊死が認められた.C. futescens cv. Tabascoと同様に,接種葉に過敏感反応が誘導された品種は認められなかった.全身に壊死を呈した固定系統'MK18-3-1'とL1/L1植物とのF1,F2およびBC1世代にPaMMV-Jを接種した検定結果から,全身の壊死症状にはL1とは異なる遺伝子が関与することが示唆され,この遺伝子をL1aと呼ぶことを提唱した.PaMMV-Jは,26℃で栽培したL1a/L1a植物に全身感染したが,24℃で栽培したがL<1a/L1a植物はPaMMV Jに抵抗性を示した.
  • 杉山 充啓, 坂田 好輝
    2004 年 73 巻 6 号 p. 558-567
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    汁液接種によるメロン品種・系統のMNSV抵抗性検定を行い,それらのMNSV抵抗性の遺伝に関する解析を試みた.802品種・系統を用いてMNSV-NHを子葉に接種した結果,接種葉に局部病斑が認められない45品種・系統を得た.これらの45品種・系統に他の2分離株のMNSVを接種したところ,それぞれの接種葉には局部病斑は認められなかったことから,これらの45品種・系統はMNSVに対して安定した抵抗性を保有しているものと考えられた.本研究で得られた新たに見いだした抵抗性45品種・系統と罹病性'夏系6号'とのF1にMNSV-NHを接種したところ,罹病性であったことから,これらの品種・系統のMNSVに対する抵抗性は劣性遺伝することが明らかになった.一方,抵抗性'Perlita'とのF1にMNSV-NHを接種したところ,接種葉に病斑は認められず,抵抗性を示した.これらの結果から,新たに見いだした抵抗性品種・系統のMNSVに対する抵抗性は'Perlita'と同様に劣性であり,また,同様な遺伝子座である可能性が示唆された.
  • 鄭 成淑, 金 国光, 大野 始, 原 徹夫, 松井 鋳一郎
    2004 年 73 巻 6 号 p. 568-573
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    キク(Dendranthema grandiflora (Ramat.) Kitam.)の挿し芽苗を用いて定植1か月後に25ppmウニコナゾール処理を行った.処理後直ちにエチレン生成が増大し,処理3日後に最大になった.ブラッシング処理区のエチレン生成はウニコナゾール処理区より多く,処理3日後に最大値を示した.しかし,AVG処理区でのエチレン生成は最も低い値であり,また,AVG処理により,ウニコナゾールとブラッシングによるエチレン生成の増大は著しく抑制された.対照区ではGA1,GA3およびGA7様物質が検出され,GA1およびGA3様物質はウニコナゾールおよびブラッシング処理区では著しく減少したが,AVG単独処理区では大きな変動は認められかった.さらに,AVG処理によってもウニコナゾールとブラッシングによるGA1およびGA3様物質含量の低下は回復しなかった.これらの結果から,ウニコナゾールとブラッシングによるキクのわい化はジベレリンおよびエチレンの両方に関係があることが示された.
  • 鈴木 康生, 田中 敬一, 天野 貴之, 朝倉 利員, 村松 昇
    2004 年 73 巻 6 号 p. 574-579
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    リンゴの場内フローラ改善効果のメカニズムを解明するために,リンゴペクチンの特徴であるアラビナンに由来するアラビノオリゴ糖の場内細菌による資化性をin vitroで調べた.三糖以上のアラビノオリゴ糖は,調査した26菌種のうちBifdobacterium adolescentis, Bifidobacterium longum, Bacteroides vulgatuにこのみ資化され,ビフィズス菌に極めて特異的利用されることが明らかとなった.アラビノオリゴ糖のヒト消化液による分解性をin vitroで調べたところ,人工唾液,人工胃液,人工膵液には全く分解されず,人工小腸故により数%分解されただけであった.以上のことからアラビノオリゴ糖は効果の高い新規のプレバイオティックスであること,リンゴの腸内フローラ改善効果はペクチンによることが示唆された.
  • 栗山 昭, 小林 徹, 林 重喜, 前田 桝夫
    2004 年 73 巻 6 号 p. 580-582
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    ホウライシダ(Adiantum capilllus-veneris)配偶体(前葉体)から有性生殖で胞子体植物を形成させるための培地を検討した.MS培地にショ糖を加えることにより配偶体の増殖速度は高まり,3%の添加が最も効果的であった.しかしショ糖の添加は胞子体形成には有効ではなかった.MS培地からNH4N03を除去した場合,胞子体が形成されたが,KNO3の除去では胞子体の形成はみられなかった.また,MS培地の全窒素量を25%に希釈することによっても胞子体誘導は可能であった.これらの結果より,ホウライシダの有性生殖による胞子体形成にとって,培地の窒素源は重要な制御要因であると推定された.
  • 金 国光, 内藤 俊栄, 松井 鋳一郎
    2004 年 73 巻 6 号 p. 583-591
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    Cattleya属とその近縁属間,Cattleya属内の亜属間および種間関係を明らかにする目的でRAPD(randomly amnlified polymorphic DNA)分析を行った.Cattleya属とその近縁属を含む9属の15種からランダムプライマー15種により70個のRAPDマーカーが得られ,クラスター分析により3個の系統に区別された.4花粉塊をもつ属のうちでCattleya属はEpidendrum secundumと近縁であったがEncyclia cordigeraとは遠縁であった.また,Sophronitis属を除き,8個の花粉塊のLaelia属,Sophronitis属,Rhyncholaelia属およびBrassavola属は近縁であった.Sophronitella violaceaと6花粉塊のLeptotes bicolorは近縁で,別のクラスターを作った.Cattleya属の36種からはランダムプライマー9種により93個のRAPDマーカーが得られ,Briegerら(1981)の示す形態的分類に近いクラスターが得られた.Cattleya属はCattleya亜属,Diphyllae亜属,Skinneri亜属およびRhisanthemum亜属の4つに分かれた.Diphyllae亜属内のGuttatae節はC. guttataを代表する種群とC. schillerianaを代表する種群の2つのクラスターに分かれ,C. kerriiはCattleya亜属とDiphyllae亜属の中間に位置した.したがってこの亜属内の種間関係はさらなる検討が必要と思われる.
  • 村松 昇, 田中 敬一, 朝倉 利員
    2004 年 73 巻 6 号 p. 592-594
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    モモ果実は軟化に伴って,大量のペクチンが水溶化する事が知られているため,水溶化したペクチン物質の解析を行った.過熱果および未熟果の粗細胞壁から水溶性分画を得,イオン交換樹脂にて,3つの塩濃度(0, 0.1および0.5 M NaCl)により分画した.その結果,未熟果では2つ(I,II),過熱果ては3つ(I, II, III)に分画することができた.イオン交換カラムに吸着された多糖中(分画IIおよびIII)にペクチンが存在すると考えられるため,これをゲルろ過カラム(Sepharose CL-4B)にかけ分子量分布を調査した.その結果,分画IIIは,分画IIより分子量が高かった.また,糖組成分析を行ったところ,IIではアラビノース(40-48%)とガラクトース(30-40%)が主要な中性糖であるのに対して,IIIでは中性糖の65%以上がアラビノースであり,両者は,性質の異なる多糖であると考えられた.
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