Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
  • Thanda Aung, 村松 幸成, 堀内 尚美, 車 敬愛, 望月 佑哉, 荻原 勲
    原稿種別: 原著論文
    2014 年 83 巻 4 号 p. 273-281
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    [早期公開] 公開日: 2014/07/03
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    本研究の目的は人工光型栽培室におけるブルーベリー樹の生育および果実品質を明らかにすることである.品種にはノーザンハイブッシュ種‘ブルーレイ’とサザンハイブッシュ種‘ミスティー’および‘シャープブルー’を用いた.茎葉の生育特性,葉の光合成能力および果実品質を異なった環境下の太陽光型栽培室(温室)と人工光型栽培室で比較した.予備実験から,人工光型栽培室の環境は温度を 15~25°C,湿度を 50~70%,光強度を 150~350 μmol・m−2・s−1,日長を 10 時間とした.このような環境における人工光型栽培室では,収穫まで太陽光型温室と同等の樹勢と葉の光合成能力を示し,全ての品種で正常な果実を生産した.さらに,‘ブルーレイ’および‘ミスティー’(‘シャープブルー’を除く)において,人工光型栽培室で収穫された果実は高品質で,太陽光型温室のそれに比べて,糖度が高く,アントシアニン量が多く,酸度は低かった.よって,人工光型栽培室において,高品質なブルーベリー果実生産が可能となる品種が存在することが示された.
  • 吉田 裕一, 入江 宣行, Tran Duy Vinh, 大山 光男, 田中 義行, 安場 健一郎, 後藤 丹十郎
    原稿種別: 原著論文
    2014 年 83 巻 4 号 p. 282-289
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    [早期公開] 公開日: 2014/07/04
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    トマトの尻腐れ果発生に影響する要因を明らかにするため,培養液中の Ca/K 比率(4/12–12/4,me·L−1)ならびに栽培時期が尻腐れ果発生直前の果実先端部の形態別 Ca 濃度と尻腐れ果発生に及ぼす影響について検討した.春季と夏季には培養液中 Ca/K 比が低くなるほど尻腐れ果発生率が高くなったが,冬季には尻腐れ果発生率にはほとんど変化が認められなかった.Ca 濃度は冬季が最も高く,夏季が最も低かった.また,水溶性,NaCl 可溶性,HCl 可溶性のいずれの画分でも培養液の Ca/K 比が低いほど低くなった.3 回の実験結果をまとめて解析した結果,Ca 濃度と尻腐れ果発生率との相関関係は 3 つの画分の中で水溶性画分が最も強かった.急速に成長する条件下では,トマト幼果先端部の水溶性 Ca 濃度が 0.20 μmol·g−1 FW より低くなると尻腐れ果発生のリスクが高くなると考えられる.重回帰分析の結果,果実発育期の気温と比較して日射量と培養液中 Ca 濃度はアポプラストと細胞質中の Ca2+ イオン濃度を示す水溶性 Ca と果実発育期間を通じての総転流量を示す全 Ca の濃度により大きな影響を及ぼすことが明らかになった.
  • 尾崎 行生, 竹内 陽子, 岩戸 美由紀, 坂園 聡美, 大久保 敬
    原稿種別: 原著論文
    2014 年 83 巻 4 号 p. 290-294
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    [早期公開] 公開日: 2014/07/18
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    SSR 分析およびフローサイトメトリー分析により,アスパラガス(Asparagus officinalis L.)の二倍体間交配によって得られた三倍体の起源を調査した.‘Gold Schatz’と‘北海 100’の二倍体間交配によって 124 個体が得られ,SSR 分析を行った結果,そのうちの 1 個体 07M-61 では,2 つの対立遺伝子が種子親から,1 つの遺伝子が花粉親から伝達されており,残りの 123 個体では種子親,花粉親からそれぞれ 1 つずつ遺伝子を受け継いでいた.フローサイトメトリー分析により 07M-61 は三倍体であることが示された.この三倍体は非還元卵に由来しており,種子親における減数分裂の異常が原因である.減数分裂の異常は,減数第一分裂に異常が生じ,第二分裂のみが起こる FDR(First Division Restitution)と,減数第二分裂に異常が生じ,第一分裂のみが起こる SDR(Second Division Restitution)のいずれかであると考えられたが,どちらの場合でもキアズマを伴っている.今回の交配で得られた二倍性実生と三倍性実生との間に,形態的差異は見られなかった.
  • 河崎 靖, 松尾 哲, 金山 喜則, 金濱 耕基
    原稿種別: 原著論文
    2014 年 83 巻 4 号 p. 295-301
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    [早期公開] 公開日: 2014/09/03
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    トマト施設生産において低温障害を緩和するとともに,原油価格高騰による光熱費の増加を抑えるために低コストな加温技術が求められている.本研究では根域加温の生理学的・形態学的知見を得ることを目的に,トマトを NFT 水耕により栽培し,根域加温として培養液を加温した場合の影響を調査した.根域加温の短期的影響として,生育,養分吸収,根の活性の指標となる出液速度および根呼吸速度,根の IAA 濃度,根の内部形態を調査し,長期的影響として果実収量を調査した.根域加温により,最低根域温度は 16.6°C となった.一方で最低気温および根域加温をしない対照区の根域温度はそれぞれ 5.9°C および 5.8°C となり,低温障害が発生するのに十分な低温であった.根域加温開始から 7 日で,無機養分の吸収と出液速度が促進し,根の乾物重および相対成長速度は培養液を加温しない対照区より増加した.また,これら地下部特性の変化により,処理 21 日目において地上部の乾物重も増加が促進された.根の内部形態は,表皮部および木部を含む中心柱部分ともに同程度の肥大が観察され,木部の特異的肥大が観察された高温期における根域冷却とは異なる結果が示された.収穫期における部位ごとの乾物分配率は根域加温の影響は認められなかったが,根域加温により全体の乾物重が増加した結果,果実収量および 1 果あたりの果実重は増加した.以上のことから,低温期の根域加温は,高温期の根域冷却と同様に根の活性を促進し,根の生育促進および遅れて地上部の生育を促進するため,低温期の低コストな温度管理技術として有効であることが示されたが,全体的な生育促進の効果が大きく,特定の組織の発達や生理活性の変化が認められた高温期の根域冷却とは作用が異なる可能性が示された.
  • 堀部 貴紀, 山田 邦夫
    2014 年 83 巻 4 号 p. 302-307
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    [早期公開] 公開日: 2014/05/22
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    多くの花きは特定の時間帯に開花が進行することが知られており,バラも樹上では明け方から数時間の時間帯に開花が進行することが報告されている.収穫したバラ切り花の葉をすべて取り除き,12 時間明期・12 時間暗期の条件下で保持して観察した.すると切り花の開花は暗期終了直前から数時間の特定の時間帯に集中して進行し,葉を取り除いた切り花も開花リズムを示すことが明らかになった.この結果は,花弁やがく片,あるいは茎が光を感知し花弁成長を外部の日長に同調させることができることを示している.次に,切り花を 24 時間暗期で保持すると,周期的な開花の進行が観察されたが,開花が進行する周期は 12 時間明期・12 時間暗期で保持したときに比べ短くなった.一方,切り花を 24 時間明期で保持した場合は開花リズムが観察されず,開花は連続的に進行した.以上の結果から,バラの周期的な開花の進行とそのリズムの維持は,明暗の変化に大きく影響を受けることが明らかとなった.また花弁 1 枚を 12 時間明期・12 時間暗期の条件下で保持した場合でも周期的な花弁の肥大成長が観察されたことから,花弁 1 枚でも光を感知し自身の成長を外部の日長に同調できることが示された.
  • 松田 沙弓, 佐藤 充, 大野 翔, 梁 修静, 土井 元章, 細川 宗孝
    原稿種別: 原著論文
    2014 年 83 巻 4 号 p. 308-316
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    [早期公開] 公開日: 2014/09/20
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    組織培養時の体細胞突然変異体の発生における内生的あるいは外生的な原因を特定することを目的とし,セントポーリア(アフリカスミレ)‘タミレス’を用いたバイオアッセイ系を開発した.本品種はピンク色の花弁に青い斑点を持つ品種であるが,これは flavonoid 3′,5′-hydroxylaseF3′5′H)のプロモーター領域に存在するトランスポゾン VGs1Variation Generator of Saintpaulia 1)の切り出しによる.本品種から不定芽を誘導すると親タイプの他に,多くの青色変異体やキメラ変異体が発生する.これらの親タイプと変異体を識別することができるマルチプレックス PCR を用いて,組織培養変異を引き起こす 4 つの候補,すなわち既に外植体に存在している変異細胞の影響,in vitro あるいは ex vitro といったシューティング環境の違い,外植体の切断,さらに植物ホルモン添加の影響を評価した.まず,葉身断片と雄ずいから発生した全シュートに占める組織培養変異率はそれぞれ 46.6%と 56.5%であり,外植体に存在していた変異細胞率から推定された変異体発生頻度(それぞれ 3.6%と 1.4%)よりも高かった.この結果は外植体に既に存在していた変異細胞は体細胞突然変異体発生の主な原因ではないことを示す.in vitroex vitro で育成した親株の葉身を用いて ex vitro でシュートを誘導した場合,体細胞突然変異体の発生はそれぞれ 9.2%と 8.5%であったことから,培養変異の発生には外植体を採取する親株の影響はほとんどないと考えられた.また,in vitro で育成した親株から採取した葉身を in vitro で不定芽誘導した場合の体細胞突然変異体の発生率も 4.9%と低かったことから,in vitro 環境そのものは体細胞突然変異体の発生原因ではないと考えられた.一方,10 × 5 mm に切った葉身断片を外植体として植物ホルモンフリーの培地で不定芽誘導した場合,体細胞突然変異体の発生率は 26.4%であった.さらに,植物ホルモンは非切断葉身および切断葉身の体細胞突然変異体の発生率を上昇させた(それぞれ 39.9%と 46.6%).セントポーリア‘タミレス’を用いたバイオアッセイは短期間かつ簡便なことから,多くの環境要因をスクリーニングすることを可能とし,変異を回避する新しい組織培養技術の開発に寄与するものと考える.
  • 駒井 史訓, 岡田 佳奈子, 井上 侑子, 矢田 光徳, 田中 収, 桑畑 進
    原稿種別: 原著論文
    2014 年 83 巻 4 号 p. 317-321
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    [早期公開] 公開日: 2014/09/23
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    通常では発芽孔が花粉粒の内部に押しやられて乾燥状態である,ユリの成熟花粉を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した.従来の SEM 観察では試料をグルタールアルデヒドで固定し,脱水処理後に臨界点乾燥を行い,さらに金属蒸着を施すことが必要であるが,これらの複雑で煩雑な操作は花粉粒の形態を著しく損ねてしまう.そこで,従来の前処理を行わずに SEM 観察のための試料を得るため,室温でも液体状態の塩であるイオン液体を活用した有用な技術を確立した.イオン液体で処理した成熟花粉は SEM の真空環境下においてもアーティファクトが認められず,さらに,膨潤状態の充分な画像を得ることができた.SEM 観察におけるイオン液体研究の今後の可能性について考察した.
  • 村上 覚, 生駒 吉識, 矢野 昌充
    原稿種別: 原著論文
    2014 年 83 巻 4 号 p. 322-326
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    [早期公開] 公開日: 2014/09/02
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    キウイフルーツ‘レインボーレッド’は,食味が良好で,果実の一部が赤い特徴を有する.一方で,他の品種に比べて追熟しやすく,低温貯蔵中においても,追熟が進む.そこで,本研究では低温貯蔵がエチレンに対する反応性に及ぼす影響について調査した.25°C と 4°C で 8 日間保存した後にエチレン処理を行い,果実品質及び追熟関連遺伝子の発現の推移を調査した.4°C で保存した処理区は 25°C で保存した処理区に比べて,エチレン処理後は果芯部硬度,果肉部硬度,クエン酸含量が速やかに低下するとともに,糖度も速やかに高くなった.一方で,エチレン生合成遺伝子である ACS1ACO3,エチレン応答遺伝子である EIL4ERF14,果実軟化関与遺伝子である PGB はいずれもエチレン処理後は 4°C で保存した処理区は 25°C で保存した処理区に比べて早く発現した.以上の結果,‘レインボーレッド’では,低温貯蔵はエチレンに対する反応性を高めることが明らかとなった.
  • 二階堂 華那, 地子 立, 前田 智雄, 鈴木 卓, 荒木 肇
    原稿種別: 原著論文
    2014 年 83 巻 4 号 p. 327-334
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    [早期公開] 公開日: 2014/09/02
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    アスパラガスは収穫後の品質劣化が早く,理想的な貯蔵環境は,気温 0–2°C,相対湿度 95–100%とされている.本試験では,雪室と冷蔵庫に貯蔵したアスパラガス若茎の品質保持性を比較した.グリーンアスパラガス‘Grande’と‘Gijnlim'を雪室と冷蔵庫に 0–20 日間貯蔵し,1)硬度,貯蔵前後の生重変化,表面の色調といった物理・外観品質と 2)Brix,糖含量,アスコルビン酸含量,ルチン含量といった内部品質を調査した.貯蔵期間中,冷蔵庫の気温と相対湿度はそれぞれ 3–6°C,65–85%と大きく変動したが,雪室の気温と相対湿度はそれぞれ 0–1°C,100%と安定していた.‘Grande’の生重は冷蔵庫において大きく減少した.‘Gijnlim’の外観は貯蔵 10 日目までほぼ保たれたが,貯蔵 20 日目には雪室と冷蔵庫の双方で若茎の先端の緩みが観察された.一方,貯蔵 15–20 日目で冷蔵庫に貯蔵した‘Grande’はやや褐変し,基部に委縮が認められたが,先端部の緩みは確認されなかった.ほとんどの内部品質では‘Gijnlim’と‘Grande’の双方で雪室と冷蔵庫間で有意差はみられなかった.ライフサイクルアセスメントでは雪室貯蔵での 20 日当たりの CO2 排出量は冷蔵庫貯蔵の約 50%に減少し,貯蔵期間中では CO2 排出が一切みられなかった.エネルギー利用と品質保持の観点から,アスパラガス若茎の貯蔵において,雪室が冷蔵庫の代替のひとつとなりうることが示された.
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