日本高気圧環境・潜水医学会雑誌
Online ISSN : 2760-599X
Print ISSN : 2432-9088
22 巻, 1 号
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  • Roy A.M. Myers
    1987 年22 巻1 号 p. 1-15
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    In 1977, the first of a bi-yearly circular was developed and sent to the then known active hyperbaric chambers throughout the country. Over the ensuing 9 years a hyperbaric registry has been developed in which the locations, staffing patterns, diseases treated, affiliations of the chambers and trends of hyperbaric medicine have been followed up since the 1970s. Blue Cross/Blue Shield/Medicare/Medicaid, the major third party insurers, have agreed to payments in 14 conditions labeled the “accepted group” , which include gas embolism, radiation necrosis, decompression sickness, carbon monoxide poisoning, gas gangrene, refractory osteomyelitis, necrotizing fasciitis, soft tissue infections, crush injury, ischemic conditions, compromised skin grafts/skin flaps, wound healing enhancement, burns and anemia.
    Negotiations may be undertaken in the treatment of 16 conditions in an investigative category. The accepted conditions are those where the body of literature, animal and clinical research, indicate that the use of hyperbaric oxygen is either the primary treatment (decompression sickness, air embolism, carbon monoxide poisoning) or adjunctive treatment. The Diver's Alert Network is a system whereby injured scuba divers or commercial deep sea divers may find the nearest and most appropriate hyperbaric chamber for recompression therapy on a 24-hour/7-days-per-week basis. There is a central telephone network at Duke University, Durham, NC, (919) 684-8111, and a second system through the Hyperbaric Registry located at the MIEMSS, (301) 328-7814.
    The statistics of the registry will be presented. Of the 220 existing hyperbaric facilities, there are 85 multiplace, 118 monoplace, and 17 of both types. Over the 16 years (1971-1985) 44,095 patients have been treated for hyperbaric-related conditions. In this group 71.9% are in the accepted category and 28.1% are in the investigative and other categories.
    As a result of the registry, one has been able to determine the trend in hyperbaric medicine and also the steady increase in its usage nationwide. From the original 37 chambers in 1977 to the 220 chambers in 1985, one has seen a dramatic increase in usage of hyperbaric oxygen.
総説
  • 竹重 公一朗
    1987 年22 巻1 号 p. 17-26
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    ヒト好中球はその食作用時あるいは合成走化性ペプチドやカルシウムイオノファアA23187などの可溶性刺激物質によって刺激された時,分子状酸素を還元してスーパーオキシド,過酸化水素,水酸ラジカルを生成する。この“呼吸の爆発”は殺菌に必須な反応であり,またある炎症疾患の病因として重要であると考えられているが,好中球の細胞膜に局在するNADPH oxidaseによって触媒されている。NADPH oxidaseはフラビン蛋白質とb型チトクロムからなると考えられつつあるが,遺伝性疾患である慢性肉芽腫症の患者好中球は本活性を欠損している。休止期にみられないNADPH oxidaseがどのような機構で活性化されるのか現在のところ明らかではないが,最近得られた知見は次のような活性化機構を示唆している:リガンドが細胞膜上の受容体に結合するとGTP結合蛋白質を活性化する。活性化GTP結合蛋白質はホスホリパーゼCを活性化するのでホスファチジルイノシトール4,5―二リン酸は蛋白リン酸化酵素Cを活性化するジアシルグセロールと細胞内貯蔵部位からのカルシウムの遊離を促すイノシトール三リン酸に水解される。細胞内遊離カルシウム濃度が上昇するとカルシウム―カルモジュリン依存性蛋白リン酸化酵素が活性化される。このように, NADPH oxidaseの活性化には蛋白リン酸化反応が関っていると考えられている。好中球におけるNADPH oxidaseの活性化機構の研究は,細胞の刺激一応答連関の1つのモデルとして注目されている。
原著
  • 八木 博司
    1987 年22 巻1 号 p. 27-40
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    四肢難治性潰瘍は末梢動脈閉塞症,静脈不全,動静脈瘻,悪性腫瘍,外傷など種々の疾病によって生じ,その名の如く難治性で,患者の多くは長い病悩期間を持っている。
    私共は創傷治癒における酸素の役割を重視し,これら症例に種々の治療法と共に,補助療法の意味で高気圧酸素(OHP)療法を併用した。
    その結果,95例の阻血性潰瘍,10例の鬱血性潰瘍,5例の動静脈瘻性潰瘍,1例の癌性潰瘍に25回以上のOHP療法を試み,次の成績を得た。
    1.各種治療に抵抗した阻血性潰瘍95例中62例(65.3%)はOHP療法の併用により治癒した。
    2.リントン氏手術の前後にOHP療法を試みた10例の鬱血性潰瘍は全例治癒させる事ができ,10年間の遠隔時観察で再発を認めたものは1例もなかった。
    3.各種手術をうけた後の動静脈瘻性潰瘍の5例に対し,OHP療法に皮膚移植を行ったところ,全例潰瘍を治癒させる事ができた。
    4.熱傷後の癌性潰瘍1例に対し,制癌剤にOHP療法を併用したところ,組織学的に潰瘍底に癌細胞を認めなくなり,潰瘍切除後皮膚移植を行い,退院させる事に成功した。本例は術後3年7ヵ月目に肺転移のため死亡したが,局所再発は認められなかった。
  • 市丸 雄平, 宇都宮 隆史, 児玉 泰幸, 佐藤 義則, 矢永 尚士
    1987 年22 巻1 号 p. 41-48
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    健常人10名に対して360mmHg,3時間の低圧下負荷を行い自律神経の反応を深呼吸下及び安静時で観察した。自律神経反応は心電図記録を行い,不整脈の出現様式及び深呼吸時の瞬時最大心拍および瞬時最小心拍を測定することにより判定した。低圧時の深呼吸時に限って2例に上室性期外収縮が出現し,1例に房室ブロックが認められた。低圧になると平均心拍が66.7±10.1(bpm)より85.5±18.6(bpm)と有意に(P<0.01)増加し,収縮期血圧は117.0±8.4(mmHg)より104.4±8.4(mmHg)と有意の低下を示した。深呼吸時の最大心拍と最小心拍の差は有意の変化を示さなかった。以上の結果より,低圧下では,交感神経系の機能亢進と副交感神経系の反射の亢進があることが推測された。
  • 後藤 文夫, 佐々木 昌代, 藤田 達士
    1987 年22 巻1 号 p. 49-52
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    128人の突発性難聴患者を治療した。65人(グループ1)を星状神経節ブロック(SGB)と高圧酸素(HBO)により治療し,63人(グループ2)はSGBとOHPにプロスクグランジンE1(PGE1)を加えた。SGBは0.25%ブピバカインで行い,PGE1は30分間で点滴してからHBOを2.0ATAで60分間行った。発症後2週間以内に治療を開始したグループ1の88%及びグループ2の94%の症例は平均10dB以上の聴力改善が認められた。発症後2週以降4週以内に治療を受けた症例ではグループ1で42%,グループ2で73%に10dB以上の改善が得られた。グループ2では40才以下の症例は1例を除き10dB以上の改善が認められた。これらの結果より,HBOとSGBに併用したPGE1は治療が遅れた(発症後2週)症例に試みる価値があると考えられる。
  • ―中枢性酸素中毒の臨床・脳波学的検討―
    大田 英則, 日沼 吉孝, 鈴木 英一, 根本 正史, 川村 伸悟, 波出石 弘
    1987 年22 巻1 号 p. 53-59
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    218例の脳障害患者において,痙攣発作と脳波上の突発性異常波を判定基準とした中枢性酸素中毒について検討した。HBO中に痙攣をおこしたのは191例中2例(1%)で,この痙攣は酸素吸入を中止することで収った。高酸素血症下でのparoxysmは159例中4例(3%)に出現した。このparoxysmも酸素吸入を中止することで消失した。全218例中6例(2.7%)に高酸素血症による中毒症状を認めている。この218例中7例には痙攣発作の病歴があり,うち3例(43%)が酸素中毒症状をおこしていた。脳障害患者においては酸素に対する血管反応性(O2response)が障害されている場合があり,この様な症例にHBOを行うにあたっては,十分な配慮が必要と言える。
  • ―breath by breath呼吸気pattern及び換気・血流測定法に関する基礎的研究―
    大岩 弘典, 小此木 国明, 橋本 昭夫, 甲斐 有司, 大野 文夫, 妹尾 正夫, 鈴木 卓, 永野 昭則, 富沢 儀一, 渋谷 寛人, ...
    1987 年22 巻1 号 p. 61-69
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    高圧環境下の呼吸循環動態の新しい測定法を研究した。
    ガスサンプリング装置(呼吸及び環境ガスProbeを4ATA以下用と以上用の2種類),ガスミキシング装置,ニューモタコグラフ,質量分析計及び集中データー処理装置のシステム構成で;
    1)Breath by breath呼吸Patternは各要素(TV,FO2,FCO2,FN2,FHe,FAr,FH2O)について高S/N比を得る信号処理により解析し,換気動態指標(VE,VO2,VCO2,R)を経時的に測定。
    2)C2H2混合ガス再呼吸法による心拍出量の測定。
    3)N2洗いだし測定による換気コンパートメント解析,を行った。
    高圧環境下からの呼吸気連続サンプリングは,新しく開発したガスサンプリング装置で,呼気中の各成分ガス濃度を他の生理及び環境データーと経時的に同期させ,速い応答性で呼吸気Pattern解析を可能にした。各呼吸気中の水蒸気分圧の正確な計測は,プログラムされた同時解析用集中データー処理装置により,動態指標を連続して求めることが出来た。
    この呼吸循環動態の測定法は,高圧環境における生体の馴化・適応を研究するうえで,より明確で,幅広いデーターを提供出来るものである。
  • 中山 徹, 三宅 修司, 高野 尚志, 土井 庸正, 芝山 正治, 秋場 仁, 真野 喜洋
    1987 年22 巻1 号 p. 71-76
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    酸素中毒発生の指標を検討する目的で,ウサギを100%及び50%の高濃度酸素暴露し,血漿中のHydroxyl Radical(•OH),GSH peroxdase(GPX),Lipoperoxide(MDA),赤血球中のSODにつき12hr毎に経時的に,死亡又は156hrまで検討した。
    •OH は電子磁気共鳴法により測定したが,酸素暴露で大きく変動した。GPX については50%酸索暴露群に比し100%酸素暴露群で値の上昇する傾向が認められ,Hydrogen peroxide発生量の増大が推測された。MDAに関しては100%酸素暴露群のみで値の上昇する傾向が認められた。赤血球SODに関しては酸素暴露による有意の変化を認めなかった。•OHの変動の機序は明らかではないが,その解明により•OH の測定が酸素中毒の発症の予防及び酸素治療の指標となり得る事が示唆された。
症例
  • 沖浜 裕司, 梅原 松臣, 内藤 善哉, 松田 健, 山田 和人, 松倉 則夫, 鄭 淳, 金 徳栄, 滝沢 隆雄, 田尻 孝, 森山 雄吉 ...
    1987 年22 巻1 号 p. 77-82
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤を合併した肝硬変症例に選択的食道静脈瘤塞栓術(以下PTOと略す)及び牌動脈塞栓術(以下SAEと略す)を施行したが,その後高ビリルビン血症が増悪し肝不全への移行が危惧された為,高圧酸素療法を試みた。症例は,55歳,男性,食道静脈瘤と診断されたが,手術困難と判断され塞栓術を施行した。その後血清ヒリルビン値が上昇し,各種治療にもかかわらず肝不全への移行が憂慮されたが,高圧酸素療法を試みたところ,ビリルビン値と共に,全身状態も著しく改善することができた。
    以上より,高ビリルビン血症の新しい治療法として,高圧酸素療法の可能性を示唆する1症例と思われた。
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