日本高気圧環境・潜水医学会雑誌
Online ISSN : 2760-599X
Print ISSN : 2432-9088
22 巻, 3 号
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原著
  • 古山 信明, 樋口 道雄, 鈴木 卓二, 大塚 博明
    1987 年22 巻3 号 p. 141-145
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    348例の術後イレウスに対し,1.7〜2.0ATA,治療時間70〜90分の条件下で高気圧酸素療法を施行した。
    254例が有効であった。また術後癒着性イレウスに限定すれば300例中254例,84.7%に有効であった。
    高気圧酸素療法後に再び22.4%にイレウスが発生した。しかし,くりかえし高気圧酸素療法を行うことにより多くの症例でイレウスが解除された。
  • 設楽 文朗, 楢木 暢雄, 山口 仁士, 富安 和徳, 毛利 元彦
    1987 年22 巻3 号 p. 147-152
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    海洋科学技術センクーの潜水シミュレータを使用し,水中作業を与えた際の心拍数,酸素消費量,分時換気量を測定した。負荷は,300m相当圧下で自転車エルゴメータを用い,50,75,100wattの水中作業を7分間ずつ与えた。潜水呼吸ガスは,He-O2(PO2=0.51ATA),31ATA下の環境ガスはPO2 0.4ATAのHe-O2を使用した。水温は26℃,環境温は,1ATA下で26℃,31ATA下では31℃とした。
    31ATA下の水中安静時の心拍数・酸素消費量,分時換気量は,同圧下のチェンバー内におけるよりも有意に増加し,1ATA下でみられる潜水性徐脈は認められなかった。これは,31ATA下では,1ATA下よりも寒冷刺激を強く受けるためと考えられた。作業負荷では,1ATA下,31ATA下ともに,心拍数,酸素消費量,分時換気量の直線的増加をみたが,31ATA下では,1ATA下よりも増加量がゆるやかであった。これは,31ATA下では呼吸ガス密度,呼吸装置などによる呼吸抵抗の増加により,作業能力が低下したためであろうと考えられた。
  • 小島 範子, 恩田 昌彦, 森山 雄吉, 田中 宣威, 田尻 孝, 徳永 昭, 笹島 耕二, 滝沢 隆雄, 吉安 正行, 古川 清憲, 金 ...
    1987 年22 巻3 号 p. 153-161
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    高度肝障害の治療に対するOHPの有効性が報告されているが,その作用機序を明らかにするため,CCl4障害肝に対するOHPの影響を検討した。
    ラットにCCl4を0.25ml/100gを腹腔内投与するとその生存率は73.3%であるのに対し,OHP(3 ATA,2 hrs.)を投与直後施行するとその生存率は100%に上昇し,さらに組織学的所見からもCCl4による致死的障害は軽減されていた。また血清GOT,GPT,T-Bil値の変動から,24時問後が最も障害が強く,72時間後では正常域に戻っていたが,この際もOHP施行することにより,その障害の程度は低く抑えられ,正常域に復すのもより早期から見られた。また,DNA量は経時的に増加するが,72時間後においてはOHP施行したことにより有意に上昇した。更に病理組織学的にみると,CCl4による障害の程度はOHP施行することにより軽度で,しかも72時間後では,肝組織の再生がより顕著に認められた。
    以上のことより,OHPは,CCl4による肝障害の軽減および改善さらに,肝再生の促進に有効であり,臨床的にも肝障害の治療の手段の一つとして有用であるものと思われる。
  • 小林 浩, 野寺 誠, 後藤 與四之, 梨本 一郎
    1987 年22 巻3 号 p. 163-170
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    スポーツダイバーの減圧症のリスクを評価するために,潜水プロフィールと減圧性気泡の調査を行った。潜水プロフィールは,ダイビングの際に潜水記録器をダイバーに携行させて記録し,1日の最終潜水後に,パーソナルコンビュータのフロッピィーディスクまたは,テープに保存した。このデータは,その後再生して解析を行った。
    潜水深度/時間区分から米国海軍の減圧表により減圧スケジュールを求めた。それらは,実際の減圧プロフィールと比較した。さらにダイバーの減圧性気泡のモニターを浮上後行った。
    54日分の潜水プロフィールが43人のダイバーから得られ,個々の潜水の最大潜水深度の範囲は,5〜38mであり,潜水時間は20〜71分であった。もし,米国海軍減圧表が使用されたならば,54例のうち32例の潜水が減圧を行わなければならなかった。減圧性気泡は,20人のダイバーのうち8人に検知されたが,減圧症はみられなかった。
  • 浦山 博, Julius H. Jacobson Ⅱ, Rosario A. Zappulla, 渡辺 洋宇, 岩 喬
    1987 年22 巻3 号 p. 171-175
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    高気圧酸素(HBO)はラットに神経障害をきたし,また,頚部交感神経は脳の血管系を支配している。HBOと頚部交感神経切除のラット脳へ与える影響を調べるために36匹のラットに90分間のHBOを4~8日間連日施行した。36匹のラットは以下の4群に分けた:A群(8匹),2.5ATAのHBOと交感神経非切除;B群(8匹),2.5ATAのHBOと交感神経切除;C群(10匹),3.5ATAのHBOと交感神経非切除;D群(10匹),3.5ATAのHBOと交感神経切除。神経障害は歩行失調,四肢硬直,全身痙攣にて評価した。HBO終了後Evans blueを経静脈的に投与し,脳血液関門を調べた。
    A,B群の16匹全てにおいて神経障害は認めなかった。C群の10匹中3匹に歩行失調もしくは四肢硬直を認めたが,全身痙攣は認めなかった。D群の10匹全てにおいて歩行失調,四肢硬直もしくは全身痙攣を認めた。36匹全てにおいてEvans blueによる脳の着色は認めなかった。頚部交感神経切除はHBOによる神経障害の発現を促進した。しかし,その機序は脳血液関門の透過性亢進によるものではなかった。
  • 吉成 道夫, 佐々木 巌, 喜島 邦彦, 佐藤 敏幸
    1987 年22 巻3 号 p. 177-181
    発行日: 1987年
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー
    われわれは1982年1月から1986年6月までの4年半に19例の低酸素性意識障害患者を治療した。治療の主体は脳浮腫軽減作用とfree radical scavenger作用を有する仙台カクテル(20%マニトール300ml+デキサメサゾン32mg+ビタミンE200mg)の1〜2回/日投与(小児例では5~6ml/kg,1~2回/日投与)および高圧酸素療法(2.5~3.0ATA,60分,1~2回/日)である。この結果10例の患者が回復し、1例が不全回復,8例が非回復であった。非回復の8例はいずれも推定5分以上の心停止を起こした症例であった。かかる患者にたいし現在われわれが行っている治療法は無力であるが,それ以外の症例には有効であり,今後も試みられて良い治療法と考える。
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