本論文は,年最大降雨量を母集団とする確率分布に関する研究である.降雨には年総雨量,日雨量,時間雨量及び10分間雨量の4種をとり,場所には札幌,仙台,前橋,彦根,松山,福岡の6気象台のできるだけ長年の資料を採用した. まず,Table 2に示す5つのタイプの確率密度関数を採用し,(3)式で定義される2乗平均誤差によって精度の評価を行った.その結果,各降雨共,I型からV型に進むに従って誤差は小さくなることが示された.次に,降雨資料を同定期間と検証期間に2分し,確率降雨推定という立場から検討した結果,同定時の係数が検証時には,最適でないことが示された. 次に,対数正規分布の性質を利用して,確率密度関数の統合化を試みた.観測値xi,を平均xmで除した値の対数を取り,更にそれをその標準偏差σで除して基準化した.その結果,降雨集計時間に拘わらず,同一直線に統合されることが認められた.また,上述の6地区の直線も,ほぼ同一の直線に統合されることが示された.この方法は,資料数に対して,再現期間の短い内挿の場合に有用である.
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