霊岩湖は韓国の西南海岸に位置し,隣接した榮山江河口湖から補充水(除塩した水)を導入する標準型淡水化湖である.本研究では霊岩湖の補充水の流入・混合パターンを分析するために,一般曲線座標系を用いた有限差分法を適用し流れ場の2次元シミュレーションを行った.また,霊岩湖の塩分濃度および淡・塩境界層の変化は,塩分収支式に基づいたコンピュータシミュレーションと現地測定データによって分析した.その結果,流れの数値シミュレーションによって,格子生成に係る諸条件を解明し,補充水・流域流入水・流出水の流れのパターンを速度ベクトルで示し,流入水による混合状況を再現できた.また,淡水化過程においての塩分濃度は,測定値と計算値がそれぞれ1,200~1,400mg/lと1,000~1,700mg/lであり,互いに近似した値となった.さらに,淡・塩境界層の水位の実測値は下流部で水深14~20mと観測され,計算値は補充水の流入の有・無によって,それぞれ水深16~21.5mと水深17.5~19.5mと計算された.この研究のシミュレーションでは,霊岩湖の塩分濃度が防潮堤からの塩水浸入や境界層からの拡散・混入,風,潮汐現象などによって変化し,特にその変動が除塩補充水の流入量に大きく関係していることが明らかになった.
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