有限要素法(FEM)による非定常二次元地下水流解析の偽振動解については, Neumen(1977), Wood(1996)などにより,70年代から,検討されており,その現象を回避するために,貯留集中有限要素法(SFEM),三角形メッシュ有限差分法(TFDM)が提案されている.しかしながら, FEM離散化式において,どの部分が偽振動解を起こさせるのかについては,特定されておらず,また,準三次元地下水流モデルでの偽振動解, FEM, SFEM, TFDM三方法の優劣などについては,十分に検討されていない.本研究では,まずFEMによる偽振動解が生じる原因を分析し,離散化式中の陰形式部分の加重が負で支配的になると,偽振動現象が生じることを示した.さらに,準三次元地下水流モデル及び単層二次元地下水流モデルにおける偽振動解の回避条件式を導出した.次に, FEM, SFEM及びTFDMの三方法による準三次元地下水流モデルの離散化式の数学的関係を明らかにし,安定性を比較した.以上の結果を検証するため,二次元モデルについては,タイス(Theis)方程式の解を基準とし,準三次元モデルについては,甲府盆地の単純化モデルを用いて,数値シミュレーションを行い,偽振動解を回避する条件の妥当性と各手法の優劣を確認した.
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