洪水氾濫を推定する場合,公表されている浸水実績や浸水予想図を活用することができる.しかし,これらはある限られた条件のものであり,客観的ではあるが,いわゆる乾いた情報であり,必ずしも氾濫域の住民に,あるいは河川災害に対応する行政担当者にも浸透していない面がある.そこで,本研究では子供を含む市民にも洪水氾濫による浸水危険性を理解しやすいように,地形学的な方法に焦点をあて,利根川での実流域における検討を行い,浸水範囲や浸水深を推定する方法を提示し,昭和22年カスリン台風の浸水実績と比較して検証を行った.また,判読技術を持たない一般の人にも氾濫原の浸水危険性等が理解しやすいように,治水地形分類図の三次元表示システムを構築し,地形分類と地盤高の情報を一目でわかるようにした.
さらに,洪水氾濫のきっかけとなる堤防決壊のうち,その大半を占める越水による堤防決壊を推定する標高計測についても考察を行った.
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