日本は先進工業国であって,都市や工業の用水需要が多い国だが,大量の水田用水が存在するために,他国に見られない水文・水資源学的特性をもっている. このような大量の取水を行う水田用水の取水の原単位と絶対量についての実績値の分析結果を示し,かつ,水田用水はかなりの部分が排水されて再び下流に現われるので,その排水先が重要であることを指摘した.つぎに,利水基準地点での確保流量の算定法として,筆者の提案したCB法が流用でき有用であることを明らかにし,さらに,利水基準地点の選定の原則を示し,具体的事例を検討した. 利水的には,その水源とすべき河川水は,既存の水田用水によって取水されつくされている河川が多く,それがpriorityをもっているので,新規用水は,貯水池の新設や流域変更のような水源増強と,中下流部での取水体制の整備を必要条件としていることを考察した.しかし一方,実際の管理段階では近年,上水道部門がpreferenceをもつようになっていることを示した.
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